ユーロが5週間ぶり安値圏で底堅い-債務懸念も欧州の資金回帰意識

東京外国為替市場では、ユーロが 対ドル、対円で約5週間ぶり安値圏で底堅く推移した。欧州債務危機 悪化への懸念は根強いものの、週末を前に新たにユーロを売り込む材 料に乏しく、欧州投資家のレパトリエーション(自国への資金回帰) も意識される中、欧州市場に向けてはやや値を切り上げる展開となっ た。

午後4時56分現在のユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.3519ドル 前後。朝方に1.3447ドルを付けた後、正午前には欧州支援をめぐる中 国の当局発言を手掛かりに一時1.3504ドルまでユーロが小反発する 場面が見られた。その後、午後にかけては1.34ドル後半でもみ合う展 開となったが、欧州市場に向けては再びユーロ買いが優勢となり、一 時1.3533ドルを付けた。ユーロ・円相場も1ユーロ=103円半ば付近 から一時103円97銭まで値を切り上げた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券クレジット市場部外貨商品 課長の塩入稔氏は「悪材料も新しいものはなく、今あるものであれば だいぶ慣れてきた感じはある」と指摘。その上で、「最近は『欧州の人 たちはレパトリ(自国への資金回帰)せざるを得ない』という理解に なってきている。米国株などを処分すればユーロ買いになるので、悪 い材料イコールユーロ売りとも言えないという理解が出てきていると ころがある」と話した。

ユーロは前日、対ドルで1.3422ドルと10月10日以来の安値を更 新。対円でも16日に付けた同10日以来の安値に並ぶ103円41銭を付 けていた。

一方、ドル・円相場は1ドル=77円ちょうど前後で小動きが続い ていたが、徐々に上値が重くなり、午後には76円68銭と政府・日本 銀行が円売り・ドル買い介入を実施した10月31日以来の水準までド ルがじり安となった。

米紙ワシントン・ポスト(オンライン版)は、米国の財政赤字削 減計画の策定について、超党派特別委員会が来週の期限までに合意困 難も、と報じた。

中国の欧州支援

中国人民銀貨幣政策委員会の李稲葵委員は、中国は欧州支援に当 たって国際通貨基金(IMF)や他の諸国と協調すべきだとの見解を 示した。李氏は、欧州は国際的支援の前提として「実現可能」な計画 が必要だと述べた。北京のフォーラムで語った。

この発言が報じられた後、外国為替市場では一時ユーロ買いが強 まり、ユーロは対円で朝方に付けた103円52銭から一時103円93銭 まで値を切り上げる場面が見られた。

三井住友銀行市場営業部の高木晴久副部長は「欧州債務問題は景 気にとってもネガティブであり、ユーロのバリエーションを変更して いくという流れはある意味変わらない」と指摘。ただ、「事が深刻なだ けに対応策や当局絡みの発言などヘッドラインリスクもあり、一方向 にどんどん下がっていくかというと、相当ジグサグがあって徐々にユ ーロ安になっていくというイメージの方がいいかもしれない」と話し ていた。

ECBの役割

一方、ロイター通信は17日、ユーロ圏とIMFの当局者が、欧州 中央銀行(ECB)のIMFへの融資という提案を議論していると、 当局者を引用して伝えた。ECBの融資はIMFがユーロ圏の主要国 を救済する場合でも、十分な財源を提供することを目的としていると いう。

ECBをめぐっては、ドイツのメルケル首相が危機を封じ込める 頼みの綱として同中銀の最後の貸し手としての活用を求めるフランス の提案を拒否。ECB自体もさらなる支援提供要請に反対の意向を表 明している。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、欧州内で国債の選 別が激しくなっており、リスクから逃げて需要を減らすという動きが 強い中、ECBによる支援をめぐって独仏の対立が再び浮き彫りにな っていると指摘。債務危機の解決に向けて「先が見えてくるようなも のがない」とし、ユーロを「どんどん買っていく地合いではない」と 語った。

こうしたなか、この日は日本時間夕方にECBのドラギ総裁の講 演が予定されおり、欧州債務問題におけるECBの役割についての発 言が注目されている。

17日の欧州債市場ではECBによる国債購入観測を背景にイタ リア国債が上昇。一方、国債入札で借り入れコストが少なくとも7年 ぶりの高水準となったことが嫌気され、スペイン国債は下落し、同10 年債利回りは1999年のユーロ導入前の高水準に達した。

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