ユーロ売り一服、ECBの欧州債購入を警戒-ドル・円は77円付近

東京外国為替市場では、ユーロ売 りが一服し、午後の取引でドルと円に対して反発。欧州で長期化して いる債務問題の影響が域外に伝播する可能性が懸念される中、欧州中 央銀行(ECB)が域内の国債を買い支えするとの警戒感から、終盤 にかけて値を戻す展開となった。

ユーロ・ドル相場は朝の取引で一時1ユーロ=1.3422ドルと、10 月10日以来のユーロ安値を付けたあと、午後の取引にかけて1.34ド ル台半ば付近で推移。午後2時以降はじりじりと水準を切り上げる展 開となり、1.3518ドルまで急速に値を戻した。

ユーロ・円相場は午前に一時1ユーロ=103円41銭と、前日に付 けた10月10日以来のユーロ安値に並んだあと、午後にかけて買い優 勢となり、104円08銭まで上昇する場面も見られた。

外為どっとコム総合研究所の植野大作主席研究員は、欧州勢が参 入してくる時間帯になると、ECBが域内の問題国債を購入している との観測を背景にユーロが上昇する局面も見られているため、アジア 市場でのユーロ売りが一巡したところで、いったん持ち高調整に伴う ユーロ買いが入っている感があると説明。また、消去法的に言えば、 ユーロを売りたいのだけれど、かといって、ドルも「前向きな気持ち になってどんどん買っていけるような通貨ではない」という面がある と指摘している。

ドル・円相場は1ユーロ=77円台前半での小動きが続いていたが、 午後の取引でユーロ高・ドル安が進んだ影響で、ドルが全面安になる と、76円97銭まで下押される場面も見られた。

欧州発債務問題の域外伝播懸念くすぶる

前日の欧州債券市場では、ECBがイタリアとスペインの国債を 買っているとの見方から、両国債相場が値を戻す場面が見られていた。 ただ、欧州の信用不安は根強く、戻りは限定的となった。

外為どっとコムの植野氏は、瞬間的な材料としてはECBの国債 買い支えはユーロ買いにつながるが、「自然体の売買でまともな金利が つかないような国債を中央銀行が買い続けざるを得ないと言うこと自 体はユーロの価値をどんどん上げていくような政策だとはとても思え ない」と指摘。ユーロの上昇には限界があるとみている。

16日には、格付け会社フィッチ・レーティングスが発表資料で、 「ユーロ圏の債務危機を時機を失することなく秩序立った形で収拾で きない限り、米銀行業界の広範な信用見通しが悪化する恐れがある」 と指摘。さらに、圧力にさらされているギリシャやアイルランド、イ タリア、ポルトガル、スペインの欧州各国市場への米銀の直接のエク スポージャーは手に負える範囲内にあるとしながらも、「しかし感染が さらに拡大すれば重大なリスクをもたらす」と警告した。

みずほコーポレート銀行国際為替部の加藤倫義参事役は、ここに きて市場では欧州の債務問題がフランスなど「勝ち組」にどこまで波 及するのか、「システミックリスク」への警戒が強まっていると指摘。 「投資家もどこかで世界中の当局が手を打って、悲観的な流れを止め ると思っているが、今の段階ではどこまでいったら止まるか、どのよ うに止めるのかが見えてこない」と言い、「疑心暗鬼のリスク」が広が るなか、「少なくともリスクを軽減する方向、エクスポージャーを縮め る方向に世の中が動いているのが現状だ」と説明している。

ドイツが16日に実施した2年債入札で発行額が目標上限に届か なかったことなどから同国債が下落。この日は引き続きスペインで40 億ユーロ規模の2022年償還債入札が予定されており、欧州信用不安の 深刻化が警戒されそうだ。

一方、イタリアでは、元欧州委員(競争政策担当)のモンティ氏 が16日、新首相に宣誓就任した。同氏は財務相も兼任し、政治家が入 らず経済に精通した有識者のみで固めた内閣を率いる。また、同日に はギリシャでもパパデモス首相が議会で信任された。

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