イタリア新政権誕生、モンティ氏が首相兼財務相に-政治家入閣せず

元欧州委員(競争政策担当)の マリオ・モンティ氏は16日、イタリア新首相に宣誓就任した。同氏 は財務相も兼任し、政治家が入らず経済に精通した有識者のみで固め た内閣を率いて、ユーロ圏3位の経済大国イタリアが債務危機に飲み 込まれないよう全力を挙げる。

モンティ氏(68)はローマで行われた式典に出席。ナポリターノ 大統領による首相と内閣の任命を受け宣誓した。新内閣ではインテー ザ・サンパオロ銀行のコラード・パッセラ最高経営責任者(CEO) が経済発展相に就くほか、反トラスト当局トップのアントニオ・カト リカラ氏が副首相となる。

モンティ氏は16日午前、ローマのクイリナーレ宮(大統領官邸) で記者会見し「欧州のパートナーや国際社会から多くの励ましを受け た」とし、「これが市場、特にイタリアをめぐる緊張の沈静化につな がることを望む」と語った。

イタリア国債利回りは救済の「危険水域」に入るとされる7%を 超えており、モンティ氏が負債圧縮策を緊急に打ち出すことを迫って いる。同国の主要政党が入閣要請に応じなかったことから、モンティ 氏は閣僚全員を政治家以外のテクノクラート(専門的知識を持つ人材) にせざるを得なかった。このため、議会で法案を通過させるための政 治基盤がないなど実行力に疑問符が出ている。

モンティ氏は17日午後1時(日本時間同9時)に上院で施政方 針演説を行う。審議後、上院は同日中に信任投票を実施する予定。そ の後、18日の下院での信任投票を経て新政府は正式承認される。

協議で政党の説得に失敗

モンティ氏は自由国民や民主党など主要政党と2日にわたり協議 し新内閣に加わるよう求めたが、説得は失敗に終わった。政権に参加 しなかった自由国民などはモンティ氏の政策に自由に異議を唱えるこ とができる。

民主党のベルサニ書記長(党首)は15日、モンティ政権の「強 い専門性を支持する」と述べ、ベルルスコーニ前首相の自由国民のア ルファノ幹事長は、緊縮策をモンティ政権が実施することが支持に 「不可欠な要件になる」と語った。

モンティ氏はこれら政党の非協力的姿勢を意に介さぬ姿勢を示し、 「政府内の政治家の不在は政府の活動を妨げるより、むしろ助けにな るだろう」と述べた。

「全てのグループ説得を」

カナダのクイーンズ大学の研究者、フィル・ガーランド氏(政治 学)はモンティ氏について、「欧州だけでなく世界的に勝ち得ている 信用と評判など必要な資質を全て備えているが、それだけでは十分で ない」と指摘。「彼は、自分の選挙区の権益を守ろうとしているこれ ら全てのグループに対し、犠牲を払う必要があると説得しなければな らないだろう」と説明した。

財政緊縮策に国民が反発した場合、モンティ氏の財政再建の取り 組みが成功するかどうかは、幅広い政治的基盤を得られるかどうかに かかる見込みだ。グレンデボン・キング・アセット・マネジメントで 運用に携わるニコラ・マリネリ氏は、資産売却や不動産・富裕税の導 入、医療・年金・教育支出の削減などの施策が必要になるだろうとし て、「これらが広く国民に知れ渡れば極めて大きな反発を招き、新政 権への支持を今のところあいまいな形で表明している政党はレディ ー・ガガが衣装を替えるよりももっと素早く手のひらを返すだろう」 と話した。

モンティ氏は、労働組合や企業経営者も協議に参加し、犠牲が必 要なことは理解されていると述べた。

ECB

イタリアのビジネススクール最高峰、ミラノのボッコーニ大学総 長を務めていた経済学者のモンティ氏は、同国の国債購入を続けるよ う欧州中央銀行(ECB)を説得する必要もある。

ECBはイタリアが455億ユーロ規模の財政緊縮策を発表した後、 8月8日から同国の国債を買い支えている。欧州連合(EU)はイタ リアが既に承認した施策に加えた成長加速・負債圧縮策の必要性を示 唆。EUとECBの代表団が先週イタリア入りしたほか、ベルルスコ ーニ前首相は国際通貨基金(IMF)による監視も受け入れている。

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