白川日銀総裁:最大のリスクは欧州ソブリン問題の今後の展開

日本銀行の白川方明総裁は16日 午後、定例記者会見で、日本経済にとって「最大のリスク要因は欧州 ソブリン問題の今後の展開だ」との見方を示した。また、同日開いた 金融政策決定会合で、経済・物価情勢の展望(展望リポート)を作成 した前月27日の時点よりも「リスクが高まったと認識される方もい た」ことを明らかにした。

総裁は欧州ソブリン問題について「既に世界経済に大きな影響を 与えているが、今後も欧州経済のみならず国際金融資本市場への影響 などを通じ、世界経済の下振れをもたらす可能性がある」と指摘。こ うした海外情勢をめぐる「不確実性そのものについて、その高まりを 指摘するなど、委員間でも若干のニュアンスの差があった」と述べた。

日銀は同日開いた金融政策決定会合で、全員一致で政策の現状維 持を決定した。日銀は前月27日の前回会合で、5兆円の資産買い入れ 等基金の増額を決定。同会合で10兆円の増額を提案した宮尾龍蔵審議 委員は今会合で提案を見送った。

日銀は会合後に公表した声明で、足元の景気について「持ち直し の動きが続いているものの、海外経済の減速の影響などから、そのペ ースは緩やかになっている」として、前月から情勢判断を下方修正。 先行きも「当面、海外経済の減速や円高に加えて、タイの洪水の影響 を受けるとみられる」と指摘した。

日本の金融機関も無縁ではない

白川総裁は欧州ソブリン問題について「先日の欧州サミットでは 多岐にわたる合意がなされたが、その後の展開をみると、欧州ソブリ ンや欧州金融機関に関する市場の懸念は払しょくされていない」と指 摘。「欧州各国の国債利回りや欧州金融機関の資金調達利回りが上昇 し、ギリシャ国債に加え、イタリア国債の利回りも一時ユーロ導入後 の最高水準を更新するなど、緊張した状態が続いている」と述べた。

日本経済に与える影響について「世界全体の金融市場が不安定化 し、金融機関が資金調達に不安感を持つと、どうしても貸し出しを抑 制する」と指摘。日本の金融機関の資金繰りは「現在非常に安定して おり影響は出てないが、もし将来もっと大きな混乱が世界的に起きれ ば、日本の金融機関も無縁ではないので注意していきたい」と語った。

タイの洪水の影響については「短期的にはわが国の輸出、生産を 目に見える形で押し下げる可能性が高い」とする一方で、「先行きタ イでの復旧が進むにつれて、部品供給の再開に伴う、いわゆる挽回生 産に加え、現地工場再開のための資本財への復旧需要などによって、 わが国の輸出や生産を押し上げる要因になる」と指摘。

白川総裁はその上で「こうした点については、被害状況を含め不 確実な要素が多いため、全体として日本経済や日本企業がどのような 影響を受けるか、引き続き動向を注意深く点検したい」と語った。

リスクの高まり指摘した委員は複数か

海外情勢をめぐる「不確実性そのものについて、その高まりを指 摘するなど、委員間でも若干のニュアンスの差があった」と述べたこ とについて、不確実性の高まりを指摘した委員は複数かとの質問に対 しては「高まったと認識される方が多かったわけではない」と語った。

オリンパス問題については「日銀としても関係金融機関から事態 の推移について情報収集に努めている」と指摘。「企業経営の公正性、 透明性に対して疑問を持たれることは非常に残念なことだ」と語った。

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