日銀会合:政策現状維持、持ち直しペース緩やかに-タイ洪水影響も

日本銀行は16日午後、同日開い た金融政策決定会合で全員一致で政策の現状維持を決めたと発表した。 日銀は足元の景気について「持ち直しの動きが続いているものの、海 外経済の減速の影響などから、そのペースは緩やかになっている」と して前月の情勢判断を下方修正。先行きも「当面、海外経済の減速や 円高に加えて、タイの洪水の影響を受けるとみられる」としている。

日銀は政策金利を0-0.1%に維持。資産買い入れ等基金のうち、 リスク資産などの買い入れを「20兆円」、固定金利方式の共通担保オ ペを「35兆円」の計「55兆円」に据え置いた。

7-9月の実質国内総生産(GDP)は前期比年率6.0%増と4 四半期ぶりにプラスに転じた。日銀は前回会合で追加緩和を行ってお り、その効果波及を見極める構えだが、海外経済減速や円高、欧州債 務危機を発端とする金融市場の混乱、タイの洪水被害など、先行き不 透明感が高まっている。円高が急速に進むなど市場が混乱すれば、日 銀は追加緩和に踏み切るとの見方が根強い。

日銀は先行きの景気について「新興国・資源国にけん引される形 で海外経済の成長率が再び高まることや、震災復興関連の需要が徐々 に顕在化していくことなどから、緩やかな回復経路に復していく」と の見方を維持している。もっとも、リスク要因として「欧州ソブリン 問題は、欧州経済のみならず国際金融資本市場への影響などを通じて、 世界経済の下振れをもたらす可能性がある」としている。

米国も景気減速長引く可能性

米国経済も「バランスシート調整の影響などから、減速が長引く 可能性がある」と指摘。新興国・資源国も物価安定と成長を両立でき るかどうか「なお不透明感が強い」として、こうした不確実性が日本 経済に与える影響を「引き続き注視していく必要がある」としている。

日銀は8月4日の会合で資産買い入れ等基金を40兆円から50兆 円に、10月27日の会合でさらに5兆円拡大する追加緩和を行った。 円ドル相場は同月31日早朝の海外市場で1ドル=75円35銭と戦後最 高値を更新。政府・日銀が同日、円売り・ドル買い介入を実施した直 後には4円ほど急落したが、15日の東京市場で一時76円台をつける など、再び円高圧力が強まっている。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「円高リ スクが高まれば追加緩和というパターンは今後も変わりがないだろう。 前回会合で5兆円の追加緩和を賛成多数で決めたが、宮尾龍蔵審議委 員が10兆円増額を提案したという経緯があるため、あと5兆円の追加 緩和まではカードとして残したと考えることができる」と指摘する。

年内の追加緩和は6割超

モルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤健裕チーフエコノミス トは「海外経済の先行き不確実性は引き続き高く、12月の米連邦公開 市場委員会(FOMC)で追加緩和発動の可能性もくすぶることから、 日銀も引き続き対抗上緩和を模索しよう」と指摘。年内に追加緩和が 行われる可能性は「60%超」とみる。

佐藤氏はその際、予想される追加緩和として①資産買い入れ等基 金の一段の増額②資産買い入れ等基金における国債の年限延長(2年 →5年程度)③(米連銀が実施の場合には)超過準備に対する付利水準 の引き下げ-を挙げる。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは「来年3月末までに欧 州金融危機が投資家のリスク回避を強める局面がまだ予想され、日銀 が追加金融緩和に及ぶ可能性は高い」と指摘。もっとも、「今のところ 予想できるのは、資産買い入れ等基金増額ぐらいだ。前回10月がそう であったように、金利低下効果は小さいだろう」と語る。

追加緩和でも効果小さい

松沢氏は「オペの効果を高めるため買い取り対象年限を最大5年 に伸ばす可能性はあるが、日銀時間軸がすでに2.8年程度に伸びてお り、政策効果で5年金利が下がる余地はせいぜい5bpだろう」と指摘。 「政策金利を下げれば追加的にその分はイールドカーブを押し下げら れるが、今のところ日銀にその意思は乏しいようだ」とみている。

円ドル相場は、金融政策決定会合の結果発表直後、発表前とほぼ 同水準の1ドル=77円ちょうど近辺での取引。日経平均株価もほぼ変 わらず、8400円台後半を推移している。白川方明総裁が午後3時半に 定例記者会見を行う。議事要旨は12月27日に公表される。

金融政策決定会合、金融経済月報等の予定は以下の通り。*T 会 合開催 総裁会見 金融経済月報  議事要旨12月20、21日 12月21日  12月22日  1月27日 1月23、24日 1月24日 1月25日 2月17日 2月13、14日  2月14日   2月15日 3月16日 3月12、13日 3月13日 3月14日 4月13日 4月9、10日 4月10日 4月11日 5月7日 4月27日 4月27日 - 5月28日 5月22、23日 5月23日 5月24日 6月20日 6月14、15日 6月15日 6月18日 未定 *T

総裁会見は午後3時半。金融経済月報は午後2時、経済・物価情 勢の展望(展望リポート)は4月27日。議事要旨は午前8時50分。

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