ユーロ続落、対ドルと対円で1カ月ぶり安値-財政不安や景気後退懸念

東京外国為替市場ではユーロが続 落。欧州財政不安の拡大や域内景気の後退懸念を背景にユーロは売り 優勢の展開が続き、対ドルと対円で10月10日以来の安値を更新した。

ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.3500ドルを割り込み、一時、

1.3429ドルまでユーロ安が進行。1.34ドル後半では損失を限定するた めのユーロ売り注文が誘発されたとみられており、ユーロの下落に拍 車を掛けた。ユーロ・円相場も1ユーロ=104円ちょうどを下回り、 一時103円42銭まで値を下げた。

大和証券投資情報部担当部長の亀岡裕次氏は、ユーロ下落につい て「欧州の債務懸念の横への広がりが一番大きい」とし、「イタリアに 限らず、スペインやフランスなどへの波及がさらに本格的に進むよう だとユーロ圏の中で処理するのが難しくなり、最終的にはECB(欧 州中央銀行)やユーロ圏域外の国の支援が必要になってくる」と指摘。 「そうなる前に当局が動くかどうかで、まさに催促相場という感じだ」 と話した。

一方、ドル・円相場は小動きだったが、午後にかけては1ドル= 77円ちょうどを割り込み、一時76円97銭まで円がじり高となる場面 が見られた。日中の円安値は午前に付けた77円15銭。

ユーロ売り続く

この日はイタリアの10年債利回りが再び7%を超えるなどユー ロ圏の国債利回り上昇を嫌気して、ユーロが売られた海外市場の流れ を引き継いで始まった。

15日の欧州債市場ではスペインやベルギーの入札での利回り上 昇や金融不安深刻化への懸念を背景に、域内で最も安全とされるドイ ツ国債以外が売りを浴び、独10年債に対するフランスやベルギー、ス ペイン、オーストリアの国債利回り上乗せ幅(スプレッド)はいずれ もユーロ導入後の最大を記録した。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の塚田常雅グループマネージャー は、イタリアやスペインの国債は、銀行の資本拡充に向けて市場内需 給が著しく偏った状況で、「買い手不足が非常に明らか」だと指摘。 「国債価格の下落が金融機関の追加損失、それがさらなる売りにつな がっている可能性が非常に高く、ECBの買い支えが今のところは効 果が限定的であるという事実、救済基金のスキーム自体がまだ確定し ていないということも市場心理の悪化に拍車を掛けている」と分析し た。

金融機関の信用問題を警戒

世界銀行のゼーリック総裁は15日、ワシントンでの会議で、欧州 は債務危機を食い止めるための支援を新興市場を含む他の諸国から受 けることができるかもしれないとの認識を示した。その前提条件とし て、まず域内各国が危機打開の計画で一致団結することを挙げた。

一方、ECB政策委員会メンバー、ルクセンブルク中銀のメルシ ュ総裁はCNBC放送とのインタビューで、一部の非伝統的な措置に ついて「規模と時間が限られている」との認識を示し、そうした措置 は「金融政策の伝達機能向上を図る目的にのみ貢献する」と付け加え た。

この日はポルトガルが短期債の入札を実施する。また、17日には スペインとフランスの国債入札が予定されている。三菱UFJ信託銀 の塚田氏は、少なくともきょうとあすは欧州の利回り動向が注目だと した上で、「金融機関の信用問題がどのタイミングで浮上してくるのか ということも、市場としては非常に神経質にならざるを得ない」と語 った。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、伊銀 最大手ウニクレディトを格下げ方向で見直すと発表した。

ドル・円相場

カナダのフレアティ財務相は16日、都内での講演で、欧州の債務 危機が世界経済をリセッションに近づける恐れがあるとの認識を示し た。財務相はまた、介入は過度な相場変動への対応としては理解でき るとする一方、介入の効果は通常、長続きしないと述べた。

大和証券の亀岡氏は、ドル・円相場について「リスク回避志向の 中でドルが買われているということもあるので、ドル・円自体はなか なか動かない。また、米国の金利自体が横ばい状態ということも為替 が動かない大きな理由で、介入警戒感も多少あるだろう」と話した。

日本銀行は16日午後、同日開いた金融政策決定会合で全員一致で 政策の現状維持を決めたと発表した。日銀は足元の景気について「持 ち直しの動きが続いているものの、海外経済の減速の影響などから、 そのペースは緩やかになっている」として前月の情勢判断を下方修正。 先行きも「当面、海外経済の減速や円高に加えて、タイの洪水の影響 を受けるとみられる」としている。

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