東電社員持株会:5位株主に浮上-原発事故後で唯一自社株買い増す

福島第一原子力発電所の事故後、 売りが続く東京電力株を唯一買い増している大株主がいる。東電従業員 持株会だ。莫大な損害賠償金などで先行きを危ぶむ機関投資家が多い 中で、第5位の株主に浮上した。

同社が発表した有価証券報告書によると、9月30日現在の東電 従業員持株会の保有比率は1.87%。1年前は1.64%で8位だった。 保有株数は1年前の約2218万株から35.6%増の約3010万株に増えた。

東電株は、東日本大震災前日の3月10日に比べると86%下落。株 価の下落に伴って他の大株主は昨年9月末に比べて保有株を減らすか、 維持している。保有株式を減少させた日本トラスティ・サービス信託銀 行は1位から6位に、日本マスタートラスト信託銀行は3位から7位に それぞれ順位を落とした。保有株式数に変更がなかったのは三井住友銀 行を含めた4つの金融機関と東京都。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券のアナリスト、 荻野零児氏は 従業員持株会が東電株式を買い続けるかどうかは来春に明らかになる総 合特別事業計画次第だと述べた。給与がさらに減らされたり、人員が削 減されたりすれば、持株会による投資金額が減る可能性があると指摘 した。

政府が11月4日に承認したリストラ策によると、東電は2014年3 月末までに7400人を削減するほか、給与・ボーナスの減額措置を継続す ることになっている。東電の広報担当、松本直之氏は持株会や主要株主 について、コメントを避けた。

原子力損害賠償支援機構法案に基づく東京電力への支援は、金融機 関や株主に要請されることが前提。東電に関する経営・財務調査委員会 の10月の報告では「株主に対し、無配を継続する」ことや「株主総会 において、支援機構による資本注入・既存株式の希釈化を内容とする議 案に賛成を得る」ことが株主への協力要請として考えられるとされてい る。

同委員会によれば、東電の賠償額は13年3月末までに4兆5400億 円になる見込み。東電は9月7日現在で1172億円の仮払い補償金を支 払っている。

東電の西沢俊夫社長は11月4日、緊急特別事業計画が政府に認定さ れた後の決算発表の会見で、「基本的なスタンスとして民間会社として やっていきたい」と述べ、政府からの資本注入受け入れは検討していな いことを明らかにした。

東電株の16日終値は前日比7円(2.3%)安の294円。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE