独英首脳が金融税めぐり衝突、EUで亀裂広がる-債務危機で浮き彫り

ドイツと英国は税金や欧州連 合(EU)の将来像をめぐり衝突している。ユーロ圏債務危機でEU (加盟27カ国)内での英国と他の加盟国との亀裂の広がりが浮き彫 りとなった。

ドイツのメルケル首相は、英国に金融取引税への支持拒否を認め させない意向だ。同首相率いるドイツ与党・キリスト教民主同盟(C DU)の幹部が15日、明らかにした。キャメロン英首相はこれに先 立ち、メルケル首相の欧州の政治統合の呼び掛けに難色を示し、「空 想的なビジョン」として拒否した。

こうした言葉のやり取りは、ユーロを支えるためのEU条約改正 について協議する12月9日開催の首脳会議(サミット)の前哨戦と なっている。英国では議員の4分の1がEUにとどまるかどうかの是 非をめぐり、国民投票の実施を呼び掛けている。キャメロン首相は 18日にメルケル首相とベルリンで会談する。キャメロン首相はEU から権限を奪回するために域内の条約改正を目指す姿勢を明らかにし ている。

カーネギー国際平和財団欧州センターのディレクター、ヤン・テ シャウ氏は電話インタビューで「ドイツと英国は衝突する方向にある」 と述べ、「現在見受けられるEU域内での対立はこれまでも存在した が、危機で一段と鮮明になった。今は試練の時だ」と説明した。

金融街

ドイツは欧州全体への金融取引税適用を先頭に立って推進してい る。キャメロン首相は、ロンドンの金融街シティからの金融機関撤退 を回避するため、米国やアジア諸国も導入する場合のみに賛成する意 向を示している。EUの欧州委員会は、提唱した金融取引税による税 収を年間約570億ユーロ(約6兆円)と見込んでいる。

ドイツ議会で院内総務を務めるフォルカー・カウダー氏(CD U所属)はライプチヒで開催された党大会で講演し、「ロンドン金融 街シティが国内総生産(GDP)のほぼ30%を占めていることから 英国が望んでいないことは理解できる」と述べた上で、「だが、英国 も欧州が成功するための責任を負っている。自らの利益を追求するだ けで協力を拒むような英国の姿勢を認めるわけにはいかない」と論じ た。

オズボーン英財務相は14日付の英紙イブニング・スタンダード への寄稿で、金融取引税を「ロンドンの心臓を狙った銃弾だ」と批判 した。

キャメロン首相は7日に英下院で、「金融取引税に関するすべて の数字から判断すると、税収の約80%は英産業から徴収される。こ の事実に留意する必要がある」と述べ、「フランスにチーズ税を導入 してはどうかと問い掛けたい衝動に駆られることが時折ある」と批判 した。

英政府統計局(ONS)によると、金融・保険サービスがGDP に占める割合は8.9%。広義な意味での事業や金融では29.1%にな る。

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