日本企業、インドネシアやベトナムで投資拡大も-タイの洪水被害

海外からのタイ投資で最大の日 本企業は、タイで発生した過去70年で最悪の洪水で生産活動が世界 的に混乱したことを踏まえ、インドネシアやベトナムなど近隣諸国へ の投資分散を進める可能性がある。

クレディ・アグリコル証券のチーフエコノミスト、関戸孝洋氏 (東京在勤)は、洪水被害を受けて企業幹部は集中投資のリスクを認 識していると述べた上で、タイは理想的な投資先だったが、同国向け 投資を加速してきた最近のトレンドは後退するだろうとの見方を示し た。

タイのインラック首相は、水害からの復興と将来の洪水予防対策 に1300億バーツ(約3260億円)を投じる計画を表明、タイが引き 続き企業活動に安全な場所である旨を訴えている。洪水で工場閉鎖を 余儀なくされたパイオニアやホンダ、トヨタ自動車などの企業は業績 見通しを公表できない状況となっている。

ホンダの池史彦専務は先月31日の決算会見で、タイ政府に治水 を含めたインフラ整備を求めた上で、「周辺国の生産拠点を含めてフ レキシブルに対応できるよう考えていく」と語った。キヤノンと日産 自動車、日立製作所、東芝はいずれも洪水の影響でタイ工場の稼働を 停止した。

パイオニアは9日、タイでの洪水被害を理由に2012年3月通期 業績見通しは未定としている。同社の広報担当、木村博光氏は10日 の電話取材で、将来的にタイ国内および他国への投資分散化を検討す る必要性を認識していると語った。

投資の分散化

東南アジア諸国で消費が拡大し、経済統合に向けて準備が進む中 で、域内に広がる日本企業のサプライチェーン(供給網)の構図が変 化する可能性もある。

東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国は、15年をめど に欧州連合(EU)をモデルとした経済共同体の実現を目指している。 単一通貨は導入しない。ASEANの統計によれば、日本の08-10 年の対ASEAN投資は、米国と中国を抑え首位だった。

第一生命経済研究所のエコノミスト、西濱徹氏(東京在勤)は、 昨年のインドネシアとベトナム向けの海外からの直接投資はタイ向け を上回っており、日本からの投資も増えそうだとの見通しを示した上 で、インドネシアは人口が多く国内消費が旺盛であり、ベトナムは人 口が増加傾向にあると説明した。ASEAN統計によると、両国の人 口はASEANの総人口5億9100万人の半分以上を占める。

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