独首相のEU政治統合推進、ユーロ圏外や連立与党内で対立の火種か

ドイツのメルケル首相はソ ブリン債危機の解決策として欧州の政治統合を呼び掛けたこと で、ユーロ圏外の国やドイツの連立与党内での対立に直面する可 能性がある。

同首相は14日、自身が率いるキリスト教民主同盟(CDU) の年次党大会で、政治的統合強化と財政規則の厳格化を進めるべ き時だと語った。今までで最も明確に、欧州債務危機解決への自 身の処方せんを示した。ライプチヒで開かれた大会で同首相は、 1989年に同地で始まった民主主義運動がベルリンの壁崩壊につな がったことを想起し、債務危機も欧州連合(EU)とユーロ政策を 形作る「転換点」と見なすべきだと語った。

メルケル首相は1000人以上のCDU党員を前に1時間にわ たり演説し、「われわれの世代の今の仕事は、欧州の経済・通貨 同盟を完成させ、一歩ずつ政治的統合へと進んでいくことだ」と 言明。「新しい欧州への脱皮の時だ」と語った。同時に、ユーロ 共同債の発行には反対の考えをあらためて表明した。

EUの政治的統合強化に向けた呼び掛けは、12月9日に開 かれる欧州首脳会議での議論の火種となる可能性がある。首脳ら はユーロを支えるためのEU条約の変更について協議する予定。 キャメロン英首相はブリュッセルの権力強化につながるようなE U条約変更については英国民に諮ると言明している。独仏首相は 11月18日にベルリンで会談する。

また、CDUメンバーのラルフ・ブリンクハウス議員はイン タビューで、「首相が言っているのは、欧州が今もっと欧州とし てまとまらなければ、プロジェクトは終わりだということだ」と 述べた上で、「これはドイツが主権の一部を捨てなければならな いことを意味し、党員や有権者の一部は抵抗を感じるかもしれな いが、ほかに道はない」と語った。

市場の信認確保が狙い

2009年10月にギリシャで始まった債務危機はイタリアと スペインを巻き込みフランスの市場も揺るがせている。イタリア とギリシャで新政権が誕生したことを機にメルケル首相はユー ロとEUの将来に焦点を移し、主張をエスカレートさせた。

欧州首脳らはEUのファンロンパイ大統領に、12月の首脳 会議に「ユーロ圏の一段の強化に向けた時間的枠組み」を提出す ることを求めた。提案には「条約変更の可能性」も含まれるだろ うとドイツ財務省は今月9日に指摘している。

メルケル首相はこの日、「ユーロが倒れれば欧州も倒れる」 との警告を繰り返した。CDUで金融・経済問題の広報担当を務 めるミヒャエル・マイスター議員はインタビューに応じ、政治的 統合強化の首相の呼び掛けはユーロの未来を投資家に確信させる ことが狙いだと説明した。

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