JR西:300億円投じ来春、九州新幹線の編成倍増-対航空機で優位

西日本最大の鉄道網を持つ西日本 旅客鉄道(JR西日本)は主力の山陽・九州新幹線事業で300億円を 投入し一段の車両編成の拡充を図る方針だ。来年春のダイヤ改正で、 新幹線の編成数を倍増させる。飛行機利用客の取り込みが進めば、競 合する航空会社に対して優位な立場を確立できそうだ。

JR西の総合企画本部長を務める来島達夫常務はブルームバー グ・ニュースとのインタビューで、山陽・九州新幹線について「飛行 機に拮抗(きっこう)できており、大阪-九州間の直通効果が出てい る。以前と比べ1時間以上の時間短縮効果が出てきた」と語った。

JR西は、新大阪-鹿児島中央駅間を、現在9編成(1編成で8 車両)の新幹線で運行している。来島常務は「JR西として来年度は、 新たに10編成を加える」とし、すでに約300億円を投じて車両を発注 したことを明らかにした。JR九州も大阪-鹿児島間の新幹線を10編 成で運行しており、2社合わせて来年度は29編成になる。

JR西が約1000億円を投じて全線をつないだ山陽・九州新幹線は、 東日本大震災の翌日に当たる3月12日に開業、利便性が良いことから 人気が高い。来島常務は、大阪と九州の熊本、鹿児島間での移動をみ ると、「全体のパイも膨らんでいるが、シェアが鉄道にシフトしてい る」と指摘した。

大阪-熊本でシェア逆転

鉄道と航空機の利用者数のうち、全線開通前は鉄道が大阪-熊本 間で3割強、大阪-鹿児島間で1割にとどまり、航空機優位だったが、 同常務は、「現時点では新幹線が大阪-熊本で6割、大阪-鹿児島では 約4割を占めるようになった」と明かした。

航空業界との競争でのシェア目標はこれまで「熊本が6割程度、 鹿児島が5割」としていた。熊本の目標は、初年度半ばですでに達成 したため、「さらに7割まで目標を引き上げる」と述べた。鹿児島につ いては「1割増やすのは大変な努力が必要。これからだ」と、さらに シェア拡大を目指している。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の姫野良太シニアアナリス トは「かつてJR東海が対飛行機でシェアを増やしていったのも、品 川駅開業、700系新幹線投入、ダイヤ編成等による利便性、フリー クエンシー(運行頻度)向上がきっかけだった」と指摘し、今回のJ R西の場合も「直通運転用車両の追加投入で利便性やフリークエンシ ーが向上すれば更なるシェアアップも期待できる」との見方を示した。

来島常務は、「今年度も新車両投資で編成を増やした」とし、来春 のダイヤ改正で、さらに「直通列車を増発する」という。これにより、 「本数を増やし便利にすることでより使いやすい体系にすることを考 えている」と語った。

来島常務は、来年度に19編成とすることで、九州新幹線の「ハー ド的なものはこれで整えた」と述べ、当面はこの規模を維持するとい う。今後は需要を掘り起こすため、「九州エリアの自治体や観光事業者 と共同で、関西から送客、また九州から関西へ旅行に来てもらうよう な仕掛けに取り組みたい」と述べた。

アジアからの旅行客も取り込みへ

さらに、震災の影響で激減した外国人の訪日数は依然として戻り きっていないとし、「地理的に九州は、韓国、中国から近い」ため、今 後はアジア圏から西日本を訪れる外国人が、新幹線を移動手段に活用 することで利用客数の増加を目指した展開を図る考えだ。

国土交通省の旅客地域流動調査によると、九州新幹線全線開通前 の2010年3月期のシェアは、京阪神-熊本は航空機が68%、鉄道が 32%、京阪神-鹿児島間は航空機が90%で鉄道が10%だった。

新幹線では大阪-鹿児島間が最短のN700系「みずほ」で3時 間45分、料金は正規で2万1600円、航空機は大阪市中心部から鹿児 島市中心部まで約3時間10分、料金は正規で2万6800円。時間と料 金の兼ね合いでは、ほぼ互角となる。

JR西日本は10月28日の中間業績発表で、12年3月期の業績予 想を引き上げた。7月の第1四半期に続いて2度目の増額修正で、2 四半期連続の上方修正は87年の民営化以来で初めて。売上高で前期比

5.6%増の1兆2820億円、営業利益は横ばいの960億円、純利益は14% 増の400億円とした。

増収増益をけん引するのは、九州新幹線で上期実績は88億円、通 期では150億円の増収効果を見込む。来島常務は、「震災直後は年末ま で影響が出ると悲観的だった」が、状況が改善し「第2四半期で影響 は薄れて下期は震災の影響はそう大きくは出てこないのではないか」 と増収増益に自信を示した。

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