ユーロが一時3営業日ぶり高値、イタリア政局不安後退で買い先行

東京外国為替市場ではユーロが 対ドル、対円で一時3営業日ぶり高値を付けた。イタリアの緊縮財政法 案可決や政権交代を好感し、ユーロ買いが先行。ただ、財政再建など欧 州債務問題の先行きに対する警戒も根強く、買い一巡後は上げ幅を縮め る展開となった。

ユーロは対ドルで早朝に一時、1ユーロ=1.3815ドルまで上昇。 前週末のニューヨーク時間午後遅くの水準(1.3750ドル)と比べてユ ーロ高となったが、その後は伸び悩み、午後には一時、1.3741ドルま で値を切り下げる場面が見られた。

外為どっとコム総合研究所のジェルベズ久美子研究員は、「朝方は 週末にイタリアとギリシャの首班がだいたい落ち着いたというところを 好感してユーロが上がったが、これで欧州の債務問題が一転してすべて 解決するわけではないので、アジア、オセアニア勢のユーロ買い戻しは 早朝の一発で終わってしまった」と説明。「問題はこの後の欧米市場が 始まった時にどう反応するか」だとした上で、いずれは「次の欧州の悪 材料を探しに行く」可能性が高いと語った。

一方、ドル・円相場は小動き。前週末にはリスク回避の後退に伴う ドル売りが優勢となり、1ドル=77円05銭と日本が円売り介入の実 施を発表した先月31日後の円高値を付けたが、介入警戒感もくすぶる 中、この日の東京市場では77円08銭から77円29銭のレンジで推移 した。

ジェルベズ氏は、欧州問題があまりにも注目されすぎているため、 米国の量的緩和に関する要人発言への感応度がかなり低下しているが、 12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて米追加緩和の可能 性が意識されてくれば「ドル・円にはどうしてもドル安圧力の方がかか りやすくなる」と予想。日本の円売り介入の可能性も常に意識されてい るため、急激に円高・ドル安に向かうことは考えにくいが、ドルは対円 で「少しずつ下値を切り下げていく」可能性が高いと話した。

政局不安が後退

イタリアでは欧州債務危機への対応に失敗したベルルスコーニ首相 の退陣を受け、元欧州委員会競争政策担当委員のマリオ・モンティ氏が 新内閣の首班に指名された。

ベルルスコーニ政権は、ユーロ圏で2番目に重い債務負担を抱える 同国の10年債利回りが7%を突破し、ギリシャとアイルランド、ポル トガルに国際支援の要請を余儀なくさせた水準に急騰したことや、造反 者の続出で過半数を失ったことで崩壊した。モンティ新政権が取り組む 優先事項は、債務削減措置の実行やこの10年余りユーロ圏平均を下回 っている同国成長率の押し上げとなる。

一方、ギリシャでは連立暫定政権の新首相にパパデモス前欧州中央 銀行(ECB)副総裁が就任した。連立政権は10月26日に合意され た1300億ユーロ(約13兆8000億円)規模の第2次救済に連なる財 政緊縮策の導入や自発的な債務交換に対応した後、総選挙に向かう。選 挙は暫定的に来年2月19日に設定されている。

三菱東京UFJ銀行金融市場部の亀井純野シニアアナリストは、イ タリアなど政局をめぐる不安感が後退する一方、「財政赤字の問題とい うこと自体で言うと、何も状況としては進んでいない」と指摘。その上 で、今週は「引き続き欧州問題が相場の一番の関心を集め続けるのか、 それとも本質的な問題ではなく相場材料としては一服となるのかの分岐 」になるし、目先はこの日予定されているイタリアの5年債入札の行方 が焦点になると語った。

欧州債務懸念くすぶる

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは14日の 週報で、イタリアが財政・構造改革を実行できるか投資家が懸念してい るため、同国の財政をコントロールする能力への信頼が損なわれている と指摘した。ムーディーズはまた、欧州金融安定ファシリティー(EF SF)債の今月7日の発行で需要が弱く、投資家の反応が冷淡だったこ とについて、EFSFが域内の国債市場を支える能力に限界があること を示していると指摘した。

一方、ドイツ誌シュピーゲルは、ドイツ政府がギリシャがユーロ圏 から離脱した場合、長期的にはユーロ圏の強化につながる可能性がある とみている、と報じた。情報源は明かしていない。

ユーロ・円相場は早朝に1ユーロ=106円74銭と前週末のニュー ヨーク時間午後遅くの106円10銭からユーロ高に振れた後、じり安に 転換。午後には一時106円ちょうどを割り込む場面も見られた。

アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は13日、欧州債 務危機に言及し、「世界経済に重大な下振れリスクがある」との首脳宣 言を発表した。首脳宣言は世界の多くの国々で成長と雇用創出が弱まっ ていると指摘。経済成長押し上げのため一段の貿易自由化が「不可欠だ 」と強調した。

一方、オバマ米大統領はAPEC首脳会議終了後の記者会見で、中 国の人民元レートはここ数カ月で「若干改善した」ものの、人民元相場 をめぐって中国が行動を起こさないことについて、「我慢の限度」との 認識を示した。

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