11月11日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次 の通り。

◎NY外為:ユーロが対ドルで上昇-欧州めぐる楽観で

ニューヨーク外国為替市場では、ユーロが対ドルで2週間ぶり大 幅高。欧州各国がソブリン債危機の封じ込めに向け取り組んでいるとの 楽観的な見方が再び広がった。

ギリシャではパパデモス前欧州中央銀行(ECB)副総裁が新首 相に就任。またイタリアでは上院が財政緊縮法案を可決した。これら を手掛かりにユーロは上昇。円は対ドルで、先月の日本の円売り介入 以来の高値に上昇。オーストラリア・ドルとニュージーランド(NZ) ドルは米ドルに対し値上がりした。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの為替戦略世界責任者、マー ク・チャンドラー氏(ニューヨーク在勤)は「イタリア上院が財政緊 縮法案を可決しギリシャで新政権が誕生したため、一息つくことがで きた」と分析。「リスクオン(選好)の日だ。新興国通貨が上昇し、 商品も株式も上げた」と続けた。

ニューヨーク時間午後5時現在、ユーロは対ドルで前日比

1.1%高の1ユーロ=1.3750ドル。一時1.4%高と、10月27日 以降で最大の上げとなった。週間では0.3%安。対円ではこの日

0.4%上昇し106円10銭。週間では1.7%安となった。

円は対ドルで0.6%値上がりし、1ドル=77円20銭。一時77 円05銭と、10月31日以来の円高・ドル安水準を付けた。

高利回り通貨が上昇

米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は2%高となった。 商品銘柄で構成するS&PのGSCI指数は0.7%上昇。

豪ドルは1.2%高の1豪ドル=1.0276米ドル。NZドルは1% 上げて1NZドル=0.7853米ドル。

米消費者マインド指数が市場予想を上回る伸びとなったことを受 けて高利回り通貨は上げを拡大した。11月のトムソン・ロイター/ ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は64.2と、前月の

60.9から上昇した。これは6月以来の高水準。

この日の欧州債市場ではイタリア10年債利回りが一時6.43% と、4日ぶり低水準に低下。これを手掛かりにユーロは主要通貨の大 半に対して値上がりした。

財政緊縮法案

イタリア下院は12日に財政緊縮法案の採決を実施する。これに より法案が最終承認されれば、ベルルスコーニ首相は「1分後に辞任 する」とフィーニ下院議長は述べている。暫定政権の首班にはマリ オ・モンティ元欧州委員が指名される公算が大きい。

ゴールドマン・サックス・グループはユーロ買いを推奨。一方で モルガン・スタンレーは「ドル買い・ユーロ売り」の時期だとしてい る。

ゴールドマンのチーフ為替ストラテジスト、トーマス・ストルパ ー氏(ロンドン在勤)はリポートで、イタリアとギリシャでの新政権 誕生は「少なくともしばらくはユーロ圏の財政をめぐる緊張の緩和が 続くことを示唆している」と解説。1ユーロ=1.40ドルを目標とし、 ユーロが1.35ドルまで下げた場合は取引を手じまうよう勧めた。

一方で為替戦略責任者ハンス・レデカー氏率いるモルガン・スタ ンレーのアナリストらはリポートで、ユーロが1.30ドルまで下げる 可能性があると指摘。「政治面での不透明要因」のほかイタリア債利 回りが引き続き6%を上回っていることから、同社としてはユーロに 対しては「基本的に弱気」だとし、「イタリアは大き過ぎて救えない リスクを抱えている」ためと説明した。モルガン・スタンレーは

1.3050ドルを目標にユーロを売るべきだとした上で、1.3950ドル に上昇した場合はポジションを手じまうよう勧めた。

◎米国株:上昇、米マインド指数上昇やイタリア緊縮策可決で

米株式相場は上昇。米消費者マインド指数が予想を上回った ほか、イタリア上院で緊縮策が可決され欧州債務危機への懸念が 緩和したのが背景。

S&P500種株価指数の産業別10指数はいずれも上昇。S &P500種で487銘柄が上昇した。バンク・オブ・アメリカ(B OA)やシティグループなど金融株も高い。建機大手キャタピラー とアルミ生産大手アルコアを中心に大型株が買われた。ウォルト・ ディズニーは6%高。同社は7-9月(第4四半期)決算で30% の増益を計上、アナリスト予想を上回った。

S&P500種株価指数は前日比2%高の1263.85。11月 4日以来では0.9%上昇した。ダウ工業株30種平均は259.89 ドル(2.2%)高の12153.68ドル。

フェデレーテッド・インベスターズのチーフ株式ストラテジ スト、フィリップ・オーランド氏は、「状況が落ち着き始めている」 と述べ、「イタリアとギリシャが破綻するという観測だったが、そ れは行き過ぎていた。必要不可欠な緊縮策は実行されるだろう」と 続けた。

消費者マインド指数が上昇

11月のトムソン・ロイター/ミシガン大学消費者マインド指 数(速報値)は64.2に上昇した。ブルームバーグ・ニュースがま とめたエコノミスト予想の中央値は61.5だった。この統計発表後、 米国株は上げ幅を拡大した。

欧州の債務危機が世界経済の成長軌道を阻害するとの懸念が後 退し、景気敏感株で構成されるモルガン・スタンレー・シクリカル 指数は2.7%上昇。ダウ輸送株平均は2.8%上昇、KBW銀行指数 は2.1%上昇した。

S&P500種の産業別10指数のうち一般消費財・サービス 株指数が最大の上げだった。BOAは3%高、シティは2.4%上昇。 キャタピラーは4.3%値上がりした。アルコアは3.4%上昇した。

ウォルト・ディズニーはダウ平均銘柄の中で最も値上がりし た。有料テレビ事業の伸びや広告収入の増加、国内リゾート事業の 業績改善が、売上高と利益を押し上げた。バークレイズ・キャピタ ルが提供したニールセンのデータによると、CATVのスポーツ専 門局ESPNの視聴率は7-9月期に13%上昇した。テーマパー クの入園料引き上げなども追い風となった。

Eトレードは下落

半導体メーカー、エヌビディアも高い。同社の8-10月(第 3四半期)決算は、コンピューターゲームやデザイナー向け半導体 の需要を追い風に、売上高と利益がアナリストの予想を上回った。

一方、オンライン証券会社Eトレード・ファイナンシャルは

4.1%下落。同社取締役会は身売り案を否定した。

◎米国債:休場、ベテランズデーの祝日で

米証券業金融市場協会(SIFMA)の勧告により、ベテランズ デーの祝日である11日の米国債市場は休場。取引は14日に再開さ れる。

◎NY金:反発、ドルの下落で代替需要-週間では3週連続高

ニューヨーク金先物相場は3日ぶりに上昇。ドルの下落で代替資 産としての金に再び買いが集まった。週間ベースでは3週連続高とな った。

ドルは主要6通貨のバスケットに対して一時1.3%安。イタリ ア上院はこの日、新政権樹立へ道を開く財政緊縮法案を可決した。暫 定政権の首班にはマリオ・モンティ元欧州委員が指名される公算が大 きい。一方、ギリシャではルーカス・パパデモス氏が連立政権の首相 に就任した。

商品調査会社ロジック・アドバイザーズ(ニュージャージー州) のパートナー、ウィリアム・オニール氏は電話インタビューで「ドル の下落が金の支えになっている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 12月限は前日比1.6%高の1オンス=1788.10ドルで終了。週間 では1.8%の上昇。

◎NY原油:続伸、週間では6週連続高-需要改善観測で

ニューヨーク原油先物相場は続伸。米経済成長と債務危機封じ込 めに向けた欧州の取り組みで燃料需要が高まるとの観測が広がった。 週間ベースでは2009年4月以来最長の上昇局面となった。

11月のトムソン・ロイター/ミシガン大学消費者マインド指数 (速報値)は64.2と、ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコ ノミスト予想の中央値61.5を上回った。イタリア上院が新政権樹 立へ道を開く財政緊縮法案を可決したことや、ギリシャが連立内閣を 発足させたことも原油の買いにつながった。

CIBCワールド・マーケッツの商品ストラテジスト、キャサリ ン・スペクター氏は「原油市場の需給要因はかなり良好で、需給バラ ンスが逼迫(ひっぱく)するほど力強い需要がある」と指摘。「欧州 情勢が依然として原油相場を左右する材料となっており、ニュースに 注目が集まっている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物12月限は前 日比1.21ドル(1.24%)高の1バレル=98.99ドルで終了。終 値としては7月26日以来の高値となった。週間では5%上昇し、こ れで6週連続高。

◎欧州株式市場

11日の欧州株式相場は反発。ストックス欧州600指数は週ベ ースで上昇に転じた。この日はイタリア上院が財政緊縮パッケージを 承認したことで、ユーロ圏で債務規模が2番目に大きい同国が危機を 封じ込めるとの楽観的な見方が広がった。

イタリア最大の電話会社、テレコム・イタリアが高い。市場予想 を上回った四半期決算が好感された。銀行や保険銘柄も値上がりし、 仏BNPパリバや独アリアンツが大幅高。英ブリティッシュ・エアウ ェイズ(BA)とスペインのイベリア航空の合併で誕生した持ち株会 社、インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は

4.9%上昇。

ストックス欧州600指数は前日比2.4%高の240.98で終了。 一時は下げたものの反発し、週ベースでは0.5%の値上がり。イタ リアでマリオ・モンティ元欧州委員を首班とする新政権が誕生し、危 機に対応するとの期待が膨らんでいる。

LGTキャピタル・マネジメントのシニア市場アナリスト、アレ ッサンドロ・フェッツィ氏は「金融市場参加者の目には、マリオ・モ ンティ氏が目下のところ最善の選択肢に見えるようだ」と指摘。「モ ンティ氏なら市場の信頼感を取り戻すかもしれない。それでも、痛み の伴う改革が成功する保証は決してなく、市場はすぐに新政権を試す だろう」と警告した。

イタリア上院はこの日、同国が欧州連合(EU)に約束した成長 加速・債務圧縮に向けたパッケージを賛成156反対12で可決した。 野党議員は採決に参加しなかった。またギリシャでは、パパデモス前 欧州中央銀行(ECB)副総裁率いる新政権の閣僚が宣誓就任。ベニ ゼロス財務相は留任した。

この日の西欧市場では、18カ国中15カ国で主要株価指数が上 昇。テレコム・イタリアは5.3%高の0.891ユーロで終了。BNP パリバは5.7%上昇の32.24ユーロ、アリアンツは5.6%上げ

76.25ユーロでそれぞれ取引を終えた。IAGの終値は148.7ペ ンス。同社は2015年に営業利益を約15億ユーロとする目標を示し た。

◎欧州債券市場

11日の欧州債市場でイタリア国債が続伸。同国上院が投資家の 信頼回復を目指した財政緊縮法案を可決し、新政権樹立への道を開い たことが背景にある。

イタリア10年債のドイツ10年債に対する利回り上乗せ幅(ス プレッド)は縮小した。暫定政権の首班にはマリオ・モンティ元欧州 委員が指名されるとみられている。イタリア政府は最大30億ユーロ の5年債入札を14日に実施する。この日の取引では、フランスとオ ーストリア国債のパフォーマンスがドイツ国債を上回った。

ロイズ・バンク・コーポレート・マーケッツの金利ストラテジス ト、アレサンドロ・マーキュリ氏は「イタリアには実務型政権の処理 能力が高いという評判がある」と述べ、「市場は今のところは極めて 満足しているので、スプレッド縮小が続く公算は大きい」と付け加え た。

ロンドン時間午後4時19分現在、イタリア10年債利回りは前 日比42ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の

6.46%。10日は36bp下げた。同国債(表面利率4.75%、 2021年9月償還)価格はこの日、2.680上げ88.365。2年債利 回りは前日比54bp低下し5.79%。イタリア10年債と独10年 債のスプレッドは50bp縮小し461bpとなった。

フランス国債と独国債のスプレッドは18bp縮小し151bp。 格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が10日にフ ランスの最上級格付けの引き下げを示唆する誤った情報を契約者に配 信し、その後これを訂正したことが手掛かり。

オーストリア国債のドイツ国債に対するスプレッドは7bp縮ま り149p。独10年債利回りはこの日、10bp上げ1.88%となっ た。

ブルームバーグと欧州証券アナリスト協会連合会(EFFAS) がまとめた指数によると、ドイツ国債の年初来のリターン(投資収益 率)はプラス8.9%。米国債はプラス8.8%。これに対しイタリア 国債はマイナス9.3%、ギリシャ国債はマイナス53%。フランスと ベルギーの国債はほぼ変わらずとなっている。

◎英国債市場

11日の英国債市場では10年債相場が続落。欧州各国が域内債 務危機対策を講じつつあるとの楽観的な見方が広がり、安全投資先と しての英国債の需要が後退した。

イタリア上院が投資家の信頼回復を目指した財政緊縮法案を可決 したほか、ギリシャではパパデモス前欧州中央銀行(ECB)副総裁 を新首相とする大連立内閣が発足。これを好感し、欧州株式相場は上 昇した。

ロイズ・バンク・コーポレート・マーケッツの債券ストラテジス ト、エリック・ワンド氏は、英国債相場は「国内要因ではなく、リス クテーク意欲と国外での出来事に左右されている」と述べ、「リスク テークの動きからこの日は利回り曲線が若干膨らんだ」と続けた。

ロンドン時間午後4時58分現在、英10年債利回りは前日比6 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.29%。同国 債(表面利率3.75%、2021年9月償還)価格は112.780。2年 債利回りは0.54%で、前日からほぼ変わらず。

ブルームバーグと欧州証券アナリスト協会連合会(EFFAS) がまとめた指数によると、英国債の年初来のリターン(投資収益率) はプラス14%。これに対しドイツ国債はプラス8.9%、イタリア国 債はマイナス9.3%となっている。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 楽山 麻理子 Mariko Rakuyama +1-212-617-4903 mrakuyama@bloomberg.net Editor: ニューヨーク 千葉 茂 Shigeru Chiba +1-212-617-3007 schiba4@bloomberg.net Editor: 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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