円が対ドルで介入後の高値、一時77円49銭-通貨安競争けん制を警戒

東京外国為替市場では円がじり高 の展開となり、対ドルでは政府・日本銀行が円売り介入に踏み切った 10月31日以来の高値を付けた。欧州の債務問題を背景に市場のリス ク回避姿勢が根強い中、国際的に通貨安競争をけん制する動きが警戒 され、円に買い圧力がかかった。

円は対ドルで朝方に付けた1ドル=77円68銭を安値にじりじり と水準を切り上げ、正午過ぎには77円台半ばに上昇。午後にかけても 同水準付近で強含みとなり、一時は77円49銭まで一段高となった。 午後3時45分現在は77円52銭前後で取引されている。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司ディレクターは、 この日の東京市場は取引が薄い中、アジア太平洋経済協力会議(AP EC)財務相会議の声明が「唯一の手掛かりになった」として、円買 い圧力につながったと説明している。

APEC財務相会議は10日、持続的な為替相場の不均衡を回避し、 為替レートの切り下げ競争を自制するとの声明を発表。「為替レートの 過度の変動と無秩序な動きは経済・金融の安定に悪影響を与えるとあ らためて表明する」としている。

一方、安住淳財務相は11日午前の閣議後会見で、為替相場が円高 方向に振れていることについて「投機的な動きや過度な変動に対して は非常に関心を持って市場を注視している」とあらためて述べていた。 その上で、投機的な動きの有無を含めて監視するよう事務方に指示し ていることを明らかにした。公にしない形で為替介入する「覆面介入」 を実施しているかどうかについては、コメントを避けた。

ユーロ・ドル相場は朝方の1ユーロ=1.36ドル台から午前に一時

1.3578ドルまで下落したが、その後は再び1.36ドル台を回復。ユー ロ・円相場も1ユーロ=105円77銭を付けた後、午前に一時105円37 銭までじり安となったが、その後は105円台後半で推移した。

仏国債に「不信」の芽

前日の海外時間には、米格付け会社スタンダード・アンドプアー ズ(S&P)が、フランスの最上級格付けが引き下げられたと示唆す る情報を誤って一部の同社サービス契約者に配信するという騒動があ り、ユーロが売られる場面もあった。

結局、S&Pはフランスの「AAA」格付けを確認し、その後ユ ーロは値を戻したが、同国債は売られ、10年債の利回りが急騰。ドイ ツ10年債との利回り格差はユーロ導入以来最大の水準に拡大した。

野村証券金融市場調査部の池田雄之輔チーフ為替ストラテジスト は、ハプニングながらフランスの国債利回りが上昇しており、「フラン スとイタリアと状況はまったく違うので火が付くということはないだ ろうが、ユーロに対する不信感はさらに強まった」としている。

米格付け会社イーガン・ジョーンズ・レーティングスのイーガン 社長はブルームバーグラジオとのインタビューで、フランスの格付け について「『A+』ないしは、もっと下になる公算が大きいと思う」と 述べ、欧州の脆弱な国の分類をフランスにも適用する可能性があると 付け加えた。

伊国債利回り動向を警戒

一方、イタリア政府が10日に実施した1年物証券の入札では、目 標上限の資金を調達。同日の欧州債市場では、伊国債の支援材料とな り、10年債の利回りは危険水域の目安とされる7%を割り込んだ。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、イタリアの10年債 利回りは7%を割り込んだものの、「これで安心かというと引き続き危 険水域に変わりはない」と指摘。イタリアでは緊縮策の採決を控えて、 次期政権への円滑な移行を見届ける必要があるうえ、週明け14日にも 入札を控えており、「引き続き緊張が高い」とし、ユーロは「どうして も上値が重い」とみている。

イタリアでは、上院が9日に政府が提出した法案を11日に採決す る予定。下院はその翌日に、資産売却や定年引き上げを盛り込んだ同 法案を採決する可能性がある。ベルルスコーニ首相は法案の議会通過 後「直ちに」辞任すると、同首相の与党・自由国民のアルファノ幹事 長が国営イタリア放送協会(RAI)の番組で9日夜述べている。

与党・自由国民では、財政緊縮策が議会で承認され、同首相が辞 任した後に総選挙を前倒しで実施すべきかどうかで意見が割れている。

欧州発の懸念材料を背景にリスク回避圧力がくすぶる中で、鈴木 氏は、日本は経常黒字国ということもあり、「放っておくと、じわっと 円高になりやすい」と指摘している。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE