住友電:新型蓄電池をEVなど乗用車に-リチウムイオンより安価

(新型電池の詳細やアナリストのコメントを追加しました)

【記者:堀江政嗣】

11月11日(ブルームバーグ):電線や自動車関連部品などを手掛 ける住友電気工業は、開発したナトリウムイオンの新型蓄電池を電気 自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などの乗用車への搭載を目 指す方針だ。自動車事業担当の西田光男専務が明らかにした。

西田専務は9日に大阪市内の本社でのインタビューで、この新型 蓄電池について、乗用車への搭載も「やりたいと思っている」と明か した上で、技術的にも「使えると思う」と話した。家庭用蓄電池やバ スなど商用車への適用を想定してきたが、用途が乗用車に広がると「台 数が稼げてボリュームが大きい」などのメリットがあると指摘した。

住友電工は2013年度から5カ年の中期計画を策定中で、西田氏は 数年後から納入を始め、計画が終わる17年度までに売り上げを計上で きるようにしたいと期待を示した。

住友電工は3月、電解液に溶融塩(ナトリウムイオン)のみを用 いた蓄電池を開発したと発表。高いエネルギー密度や、不燃性材料で 安全性が高いなどの特徴があるという。

広報担当の中田将稔氏によると、新型蓄電池は素材に塩を使うた め、EVやHVなどで使われているリチウムイオン電池より低コスト にすることが期待できるという。ただ、リチウムイオン電池の十分の 一の価格になるとした3月の日本経済新聞の報道については、「素材の コストの差であり、製品としてはそこまでにはならない」と話した。

乗り換え需要はある

動力にモーターを使うHVやEVの普及に伴い、自動車用蓄電池 は今後も需要拡大が見込まれている。EVは国内メーカーでも三菱自 動車が「アイミーブ」、日産自動車が「リーフ」を発売したほか、トヨ タ自動車も来年に投入予定。日産のカルロス・ゴーンCEOは、原油 価格が1バレル=70ドル以上で推移することを前提に、2020年までに 世界の自動車需要全体の少なくとも10%を占めるとみている。

日本自動車工業会のウェブサイトによると、2010年の国内におけ るトラックとバスの販売台数は131万8558台で全体の14%にとどまり、 残りを乗用車が占めた。

自動車調査会社、カノラマの宮尾健アナリストは、車載用リチウ ムイオン電池についてコストが高いなどの課題を抱えていると指摘。 自動車各社が「コストを先々に吸収できるめどが立たない恐れがあり、 いい代替品があれば乗り換えたいと考えているのは確か」と述べた。

住友電工の蓄電池については技術の詳細が現時点では不明で、自 動車各社も独自の方式の電池開発を進めていることから、「コストが安 いというだけで、カーメーカーが最終的に採用するかはわからない」 と話した。

住友電工の松本正義社長は3月4日のインタビューで、この新型 蓄電池について、15年に量産を目指すことを明らかにした。需要をみ ないと分からないと前置きした上で、技術が確立し、海外にも輸出で きるようになれば、この事業の売上高の規模は「数千億円」にとどま らず、「数兆円になる」と期待を示した。

住友電工の株価は前日比10円(1.2%)高の814円(午後1時51分 現在)。

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