東京オフィス賃料に先安観、12年の大量供給控え-低賃料で移転も

東京のオフィスビル賃料は先安観 が続く見通しだ。国内経済は震災前の状況に戻りつつあるものの、2012 年に見込まれる新規オフィスビルの大量供給がオフィス市況の改善を 抑えることが懸念されている。

森ビルの調査によると、12年(1-12月)の大規模オフィスの 供給量は154万平方メートルと06年(154万平方メートル)以来最大 となる見込みだ。東京中央郵便局敷地を再開発した高層ビル「JPタ ワー」や、「丸の内永楽ビルディング」などの完工が予定されている。

低迷が続いていた東京のオフィス市況は、このところ空室率に底 入れの兆しが出てきた。しかし、来年に大量の新規稼働があるため、 回復はまだ先になるとみられる。オフィスビル市況の調査をしている 三鬼商事によると、10月の都心5区(港区、中央区、千代田区、渋谷 区、新宿区)の空室率は8.78%と7カ月ぶりに上昇した。平均賃料は 過去最低を更新した。

米不動産サービスのジョーンズ・ラング・ラサールの幹部のニー ル・ヒッチェン氏は、移転を希望するテナント企業にとり依然として 優位な賃貸条件がみられると指摘。同氏は「今後1、2四半期はテナ ントにとり優位な機会が続く」との見方を示した。

賃料の低下をコスト削減の好機とみて本社を移転する動きも出て いる。総合商社の双日は港区赤坂から千代田区内幸町に10月完成した 大型ビル「飯野ビル」に本社と子会社の一部を来年夏に移転する計画 だ。広報部の市川善和チームリーダーは移転で賃料コストが改善され ると述べた。

ヒッチェン氏は「安全性などの機能が優れたビルへの移転の動き がある」と語り、賃料が周期的に低い水準にあることが移転の良い機 会をもたらしているとの見方を示した。

好立地オフィスは着実に回復

そうしたなか、好立地の大規模オフィスビルは空室率が改善しつ つある。不動産調査のDTZデベンハム・タイ・レオンの平尾佳誉子 氏は、「空室率は貸し手市場の水準に近づきつつある」と指摘した。

同社の調査によると、都心主要5区の大型ビル(グレードA)オ フィスの空室率は、9月末(第3四半期)では5.75%と3年ぶりに6% を下回った。空室率5%がオフィス市況の需給を分析する判断基準で、 5%を下回ると貸し手に優位な市況になる、としている。

立地条件の良い都心にオフィスビルを保有する大手不動産の間で も先行きのオフィス市況回復を期待する見方が広がっている。三菱地 所の加藤譲常務は中間決算会見で「オフィスマーケットは一番悪い時 期は過ぎ、底打ち感が出ている。来期中に反転の兆しが出てくる」と の見通しを示した。住友不動産の尾台賀幸財務本部長も「東京の新し いビルは非常に引き合いが強い」と述べた。

三菱地所(単体)の平均賃料(全国全用途)は、12年3月期は2 万4000円と上昇の見込み。また住友不動産は9月末で8.1%だった空 室率が来年3月末までには7%台に下がると期待している。

TOPIX不動産業指数は午後に入り下げ幅を拡大し、前日比33.49 ポイント(4.7%)安の685.40ポイント(12時54分現在)。

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