破られつつあるユーロ圏防御壁-イタリア国債売りに歯止めかからず

ユーロ圏の防御壁が破られつつ ある。

イタリアの10年物国債利回りは9日もユーロ導入後の最高を更 新。7.25%でこの日の取引を終えた。ベルルスコーニ首相は辞任する 意向を表明したものの、欧州で2番目に重い債務負担を同国が軽減で きると投資家を確信させるには至らなかった。

経済規模でユーロ圏3位のイタリアが2年にわたる域内債務危機 の犠牲になりつつある状況が鮮明となったのを受け、メルケル独首相 やドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁らは、ユーロ防衛にどこまで踏 み込むかの決断を迫られている。

仏保険会社アクサのチーフエコノミスト、エリック・チェイニー 氏(パリ在勤)は「市場はユーロ圏の責任者たちのコミットメントを 試している」と述べ、「イタリアは債務危機の戦場と化した」と指摘 した。

イタリアの債務は1兆9000億ユーロ(約200兆円)と、ギリシ ャとスペイン、ポルトガル、アイルランドの債務合計を上回る。これ らの国と異なるのは、イタリアが債券市場の規模で世界3位、経済規 模で同8位にあり、システミックな重要性を持つ点だ。ベルルスコー ニ首相の辞意表明でも同国はまだ、財政緊縮策を実行できる安定した 政権を発足させることに苦戦している。決済機関LCHクリアネット はイタリアの証券取引で顧客に求める証拠金を引き上げた。

大き過ぎて救済不能

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ジョン・ヒギンズ氏 は「イタリアは大き過ぎてつぶせないと考えられているが、危機解決 を図る姿勢に大きな変化がない限り、大き過ぎて救済できない事態に なる可能性もある」と述べ、「非常にひどい状況になるだろう」との 懸念を示した。

イタリアの10年国債利回りは9日、48ベーシスポイント(bp、 1bp=0.01%)急騰し、ギリシャやアイルランド、ポルトガルが国 際支援の要請に動いた水準に達した。CMAによると、クレジット・ デフォルト・スワップ(CDS)市場では、イタリア国債の保証コス トは12bp上昇し、過去最高の551bpを付けた。

国際通貨基金(IMF)の財政監視団は首都ローマを訪問する予 定。欧州連合(EU)のレーン委員(経済・通貨担当)はイタリアに 対し、経済的コミットメントに関する「極めて具体的な質問」に週末 までに回答を求めた。キャメロン英首相は9日、イタリアの金利は 「全く維持不能な水準に近づきつつある」と指摘した。

メルトダウン

モニュメント・セキュリティーズの債券ストラテジスト、マー ク・オストワルド氏(ロンドン在勤)は「これはある種のメルトダウ ンだ」とみる。同氏は「各国の財務省や中央銀行の電話が鳴り続け、 回線が過熱して溶け落ちる恐れがあるような状況だろうと想像される」 と語った。

ベルルスコーニ首相はEU首脳会議で公約した緊縮策が議会を通 過した後に直ちに辞任する考えを今週表明したが、その採決は数週間 行われない恐れがある。首相はまた、総選挙を目指す考えも示してお り、そうなれば改革がさらに遅れるとみられる。

イタリアは秩序回復に失敗すれば、ギリシャやポルトガル、アイ ルランドに続いて外部支援に頼らざるを得なくなる。その場合はまず、 4400億ユーロ規模の欧州金融安定ファシリティー(EFSF)に頼る ことになる公算が大きい。ショイブレ独財務相も9日、イタリアは必 要ならEFSFに支援を要請すべきだと議員らに語っている。

ただ同基金にはギリシャとポルトガル、アイルランド向けの支援 分を差し引くと約2700億ユーロの余力しかないという問題がある。 キャピタル・エコノミクスのヒギンズ氏の試算では、イタリアは今後 3年間、市場での調達ができない場合に約6500億ユーロが必要で、 国内銀行支援を伴うとその額は7000億ユーロに膨らむという。シテ ィグループやロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ (RBS)なども、イタリアとスペインを防衛するには基金の規模を 少なくとも倍増する必要があると指摘している。各国政府は先月合意 した1兆ドルへの規模拡大について、まだ具体策をまとめていない。

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