内外専門家、オリンパス問題で失墜した信頼回復は「ラストチャンス」

オリンパスの損失隠し問題であらた めて日本企業のガバナンス(企業統治)が問われている。2000年代半ば のカネボウ粉飾決算やライブドア事件を受け、企業側は委員会設置会社 への変更などでその形を整えた。しかし、内外の専門家や投資家は質の 改善を重視しており、これが見直しの最後の機会とみている。

オリンパスのガバナンスは監査役会を設置し、社外3人を含む取締 役15人、社外2人を含む監査役4人などで構成される。取締役会への 助言を手掛けるエゴンゼンダーインターナショナルの佃秀昭・日本代表 は、オリンパスの不祥事に関連して、「形だけでなく実質的にガバナン スを見直すラストチャンスかもしれない」と述べた。

佃氏は、オリンパスの巨額で長期間にわたる損失隠しとその処理に ついて「異例中の異例」で、他の日本企業で発生する可能性は低いとみ ている。ただ、外国人であるマイケル・ウッドフォード氏が社長になっ ていなければ、「この問題は明るみに出ていなかったかもしれない」と し、ガバナンスが機能していなかったと指摘する。

国内では02年の商法改正以降、最もガバナンスが強いと言われる 委員会設置会社や、それに次ぐ監査役設置会社に移行する動きが広がっ た。しかし、日本監査役協会によると、委員会設置会社に移行した137 社のうち、50社が監査役設置会社に戻っており、佃氏はここ数年の「ガ バナンス改革は停滞していた」と受け止めている。

日本では会社法や金融商品取引法を通じて企業統治の強化を制度 面から進めている。ただ、CLSA調査部のニコラス・スミスストラテ ジストは、法律や規制は「許容できる行動を定めるだけで、人間の本質 までを変えることはできない。オリンパスは制限を越えてしまった。監 理ポストに入り、上場廃止となる可能性もある」という。

日本の悪い体質

東証では、有価証券報告書等に「影響が重大な虚偽記載」が認めら れれば上場基準に抵触すると規定している。定量的な基準はなく、ケー スバイケースで総合的に判断する。不正経理に伴う巨額の虚偽記載で金 融庁から過去最大の課徴金納付命令を受けた当時の日興コーディアル グループは上場廃止にならなかった。

最近では大王製紙の創業者一族の元会長が、会社から巨額の融資を 引き出す問題も明るみに出た。ガバナンスに対する信頼を揺るがす事態 が相次げば、日本の金融市場から投資家が離散する可能性もある。こう した中で、民主党は10日、「資本市場・企業統治改革ワーキングチーム (WT)」を設置し、未然防止策を検討していくことを決めた。

スパークス・グループの阿部修平社長は、古い経営者が支配してい る取締役会はまだ多く存在し、オリンパスなどの問題の表面化は「日本 固有の文化的障害を取り除くきっかけになる」とみている。その上で、 「外国人投資家にとっても新しいチャンスになる」と指摘した。

07年にオリンパスと競合するペンタックスの筆頭株主として経営 陣にHOYAとの合併を迫り、実現させたスパークスの阿部氏は「皮肉 なのはオリンパスが世界で最も信頼される医療機器などを作っている ことだ」という。ただ、事態が終息すれば「世界の7割のシェアを握る この企業への投資ニーズは極めて高い」とみている。

--取材協力:山崎朝子、河元伸吾 Editor:Kazu Hirano Yoshinori Eki

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 伊藤 小巻 Komaki Ito +813-3201-8871 kito@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 大久保 義人 Yoshito Okubo +813-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net Andreea Papuc +852-2977-6641 apapuc1@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE