11月9日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次 の通り。

◎NY外為:ユーロが対ドルで1カ月ぶり安値-伊債務危機に反応

ニューヨーク外国為替市場では、ユーロがドルに対し1カ月ぶり 安値に下落。決済機関がイタリア国債の取引をめぐる担保を引き上げ たことを受けて同国債の利回りがユーロ導入来の高水準に上昇したこ とが手掛かり。

ユーロは円に対しても2週間ぶり安値。イタリアが緊縮財政策を 実行できるだけの力強い新政権を樹立できるかについても懸念が広が っている。南アフリカ・ランドは大幅安。格付け会社ムーディーズ・ インベスターズ・サービスが南アフリカの格付け見通しを引き下げた ことが嫌気された。

BNPパリバの為替ストラテジー責任者、レイ・アトリル氏 (ニューヨーク在勤)は「きょうのユーロの動きは、イタリア債が大 量に売られたことへの直接の反応でしかない」と指摘。「イタリア国 債市場では信頼感が完全になくなっている」と続けた。

ニューヨーク時間午後2時59分現在、ユーロは対ドルで前日比

2.1%安の1ユーロ=1.3539ドル。一時1.3523ドルと、10月 10日以来の安値を付けた。対円では2%下落の105円40銭。一時 105円25銭と、10月26日以来の安値まで下げた。円は対ドルで ほぼ変わらずの1ドル=77円82銭。一時77円54銭まで円高・ド ル安が進んだ。

ポンドは対ユーロで一時1.1%高の1ユーロ=85.01ペンスと、 8カ月ぶり高値に上昇した。

決済機関LCHクリアネットはウェブサイトで、イタリア債を取 引する顧客に担保として求める証拠金の比率を引き上げたことを明ら かにした。

イタリアの緊縮財政策

イタリアのベルルスコーニ首相は8日、財政緊縮法案が議会で承 認され次第、辞任する意向を表明。まだ明文化されていないこの法案 は、9月に議会が承認した455億ユーロ相当の財政緊縮策がベース になる。

イタリア財務省は電子メールで、10日に1年物証券の入札を実 施すると発表した。この入札で50億ユーロ相当の発行を目指す。

この日の欧州債市場では、イタリア2年債の利回りが10年債を 上回った。利回りは2、5、10年債で7%を超えた。7%超は、ギ リシャやアイルランド、ポルトガルが国際的な金融支援を要請した水 準。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は1.7%上昇の77.939。

円の上昇

円は主要通貨の大半に対して値上がり。逃避需要から買い進まれ た。バンク・オブ・ニューヨーク(BNY)メロンによれば、この日 最も買われた資産は円および円建て債だった。

BNYメロンの外為グループのマネジングディレクター、サマル ジット・シャンカー氏(ボストン在勤)は「当行のiFlow為替指 数は、リスク回避の動きが再び高まる中で円が純ベースで最も買われ た通貨であることを示している」と指摘。「iFlow債券指数は、 ポートフォリオマネジャーが高リスク資産へのエクスポージャーを解 消しレバレッジを減らす中で日本国債が純ベースで最も買われたほか、 米国債の買越額も拡大したことを表している」と説明した。

◎米国株:8月来の大幅安、伊危機で売り-S&P500種3.7%安

米株式相場は急落。S&P500種株価指数は8月以来の大幅安を 記録した。イタリアの国債利回りが上昇する中、欧州首脳がユーロ圏 をまとめられない恐れがあるとの懸念が強まった。

モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックス・グループ はいずれも下落。決済機関LCHクリアネットによるイタリア国債 取引の証拠金引き上げが嫌気された。自動車のゼネラル・モーターズ (GM)は11%急落。欧州事業について、収支とんとんの目標を撤回 したことが手掛かり。デザインソフト最大手アドビ・システムズも安 い。古い製品に対する注力を抑え、人員削減を計画していることが売 り材料となった。

S&P500種株価指数は前日比3.7%安の1229.10。ダウ工 業株30種平均は389.24ドル(3.2%)安の11780.94ドル。イ タリアの10年債利回りはユーロ導入後初めて7%を突破した。

フィフス・サード・アセット・マネジメントのキース・ワー ツ最高投資責任者(CIO)は、「終わりのないホラー映画のよう だ」と述べ、「全体的な問題は、欧州の大半の国は自国政府の規模 を維持できないということだ。この先長い間はこれが頭痛の種だろ う」と続けた。

この日の下げでS&P500種は月初からの上げを失った。

EU加盟国のユーロ圏脱退の可能性

午後に入り株価は一段と下げた。ドイツの与党キリスト教民 主同盟(CDU)は欧州連合(EU)加盟国がユーロ圏から脱退す ることを可能にしたいと考えていると、ドイツ紙ハンデルスブラッ トが伝えたことが材料だった。同紙は話し合いに参加した匿名の関 係者を引用した。

米証券取引所全体の騰落比率は約1対11。S&P500種の産 業別10指数はいずれも下落した。

KBW銀行指数は5.9%安。同指数を構成する24銘柄はいず れも下げた。モルガン・スタンレーは9%安。ゴールドマンは

8.2%安。

GMは欧州事業で10年余りにわたって通期黒字を出していな い。欧州事業は利払い・税引き前ベースで2億9200万ドルの赤字 となった。GMは欧州でのリストラ費用を考慮する前の利払い・税 引き前損益を均衡させる目標達成はもはや見込んでいないと明らか にした。「経済情勢の悪化」を理由に挙げている。

ベスト・バイが唯一の上昇

欧州の債務危機が世界の景気回復を妨げるとの懸念から、景 気敏感株で構成されるモルガン・スタンレー・シクリカル指数は

4.6%下落。ダウ輸送株平均は3.8%下げた。

ドルが上昇し、商品への投資妙味が減退したとして、エネル ギー株や素材株が売られた。アルミ生産大手アルコアは5.4%安、 石油のシェブロンは4.2%下げた。

この日S&P500種株価指数銘柄で唯一上昇したのは家電量 販店のベスト・バイ。1.4%上昇した。

◎米国債:上昇、イタリア不安で質への逃避-10年債入札実施

米国債相場は上昇。10年債利回りの下げは過去1週間で最大と なった。イタリアの新内閣樹立と緊縮財政の実施は難航するとの懸念 を背景に、投資家が安全資産を求めたことが手掛かり。

米財務省が8日実施した240億ドルの10年債入札は、過去2 番目に低い最高落札利回りとなった。イタリア国債は大幅下落。欧州 中央銀行(ECB)が買い入れに動いているとの報道にもかかわらず、 同国5年債と10年債の利回りは1999年の通貨ユーロ導入以来初と なる7%台に上昇した。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)の金利ストラテジスト、シャ イアム・ラジャン氏(ニューヨーク在勤)は「欧州情勢が解決される までは欧州が注目の的となる」とし、「これまでのニュース材料から 判断すれば、米国債に買いが集まる」と述べた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時 間午後3時35分現在、指標となる10年債利回りは前日比12ベー シスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)低下して1.96%。 一時1.927%と、10月6日以来の低利回りを付けた。同年債価格 (表面利率2.125%)は1 1/32高の101 15/32。30年債利回 りは12bp下げて3.02%となっている。

応札状況

この日の10年債入札の結果によれば、最高落札利回りは

2.030%。ブルームバーグがまとめたプライマリーディーラー9社に よる入札直前の予想は2.006%だった。投資家の需要を測る指標の 応札倍率は2.64倍と、2009年12月以来の低水準となった。

キャンター・フィッツジェラルドの金利ストラテジスト、ジャス ティン・レデラー氏(ニューヨーク在勤)は応札倍率が平均を下回っ たことについて、国債の需要が後退したからではなく、入札以前の強 い需要によって通常より長い期間にわたり利回りが低く抑えられてい たことを反映していると指摘した。

同氏は「市場のボラティリティにより、供給を消化するのが若干 困難になっている」と指摘。「当面は欧州が市場を左右する材料とな るだろう」と述べた。

この日の10年債入札では、外国の中央銀行を含む間接入札の落 札全体に占める比率は41.6%と、10月の入札の35%を大幅に上回 った。過去10回の平均は47.9%となっている。

プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)以外の直接 入札の落札比率は8.2%となった。過去10回の平均は10.1%。 10月の入札では6.4%だった。

イタリア国債

米財務省は前日、320億ドルの3年債入札を実施した。10日に は160億ドルの30年債入札を控えている。

イタリア国債利回りはユーロ導入以来の最高を更新。決済機関L CHクリアネットは同国の7-10年債を取引する顧客に求める預金 の比率を引き上げると発表し、これが影響した。同社フランス部門が 8日にウェブサイトで発表したところでは、預金比率は10月7日に 発表された6.65%から新たに11.65%に引き上げられる。

クレディ・アグリコルCIBの債券ストラテジスト、ピータ ー・チャットウェル氏(ロンドン在勤)は「LCHがイタリア債 のマージンを引き上げたことで、安全資産の需要が高まった」とし、 「米国債はその流れに乗った。ユーロ圏の債務危機が深刻化する中、 米国債は依然として安全な逃避先としての魅力を持ち合わせている」 と説明した。

◎NY金:反落、ドル上昇で代替需要後退-1800ドル台回復の場面も

ニューヨーク金先物相場は反落。一時は7週ぶり高値に上昇した が下げに転じた。ドルが上昇したことで代替投資先としての金の需要 が後退した。

ドルは主要通貨のバスケットに対し、このまま終われば昨年8月 以来の大幅高となる。これより先、金はオンス当たり1800ドル台に 乗せる場面もあった。イタリアやギリシャでの政権交代や債務危機が 手掛かりとなった。

スタンダード・バンクのアナリスト、マーク・グラウンド氏はリ ポートで、「ドルの上昇で金への関心が弱まる状態が続くだろう」と 指摘。「押し目買いが入っていることで、ある程度は支えられている」 と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 12月限は前日比0.4%安の1オンス=1791.60ドルで終了した。 引け後の時間外取引では1772.20ドルを付けた。前日には一時

1804.40ドルと、中心限月としては9月21日以来の高値を付けて いた。

◎NY原油:6日ぶり下落、伊国債利回り急上昇が手掛かり

ニューヨーク原油先物相場は6営業日ぶりに下落。イタリア国債 利回りがユーロ導入以来の最高水準に上昇したことや、ドイツのメル ケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)がユーロ加盟国の統一 通貨からの離脱が可能になるよう望んでいるとの報道が手掛かり。

10年物イタリア国債利回りは7%を突破した。同水準でギリシ ャやアイルランド、ポルトガルは救済を要請するに至っている。メル ケル首相率いるCDUはユーロ加盟国による同通貨圏からの離脱が可 能になるよう望んでいると、独紙ハンデルスブラットが10日に掲載さ れる記事の予告で報じた。協議参加者を匿名で引用して伝えている。

マニュライフ・アセット・マネジメント(ボストン)のシニアマ ネジングディレクター、チップ・ホッジ氏は、「欧州債務危機は原油 の価格と需要にとってマイナスとなる」と解説した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物12月限は前 日比1.06ドル(1.10%)安の1バレル=95.74ドルで終了。一 時は97.84ドルと、日中価格としては8月1日以来の高値を付ける 場面もあった。年初からは4.8%の値上がり。

◎欧州株:反落、イタリア債急落で銀行株安い-ドイツポストは高い

9日の欧州株式相場は反落。ストックス欧州600指数の値下が りはここ4営業日で3回目となった。イタリア国債利回りがユーロ導 入来の最高に達し、同国債を保証するクレジット・デフォルト・スワ ップ(CDS)のスプレッドも過去最高となったことが影響した。

欧州最大の銀行、英HSBCホールディングスが安い。仏・ベル ギー系金融機関のデクシアは大幅安。ベルギー銀行部門の国有化に伴 う株主資本の減少が嫌気された。郵便サービスで欧州最大手のドイツ ポストは上昇。同社は2011年通期の業績見通しを上方修正した。

ストックス欧州600指数は前日比1.7%安の236.34で終了。 イタリアのベルルスコーニ首相の辞意表明を好感し1%高となる場面 もあった。ユーロ圏がイタリアやスペイン経済をソブリン債危機から 守るとの見方から、9月22日に付けた年初来安値は10%上回って いる。

ロベコ・ゲスションの投資部門責任者、イブ・マイヨ氏は「イタ リア債に関しては悪循環だ」と指摘。「既に危険な状況にあった。イ タリアの債務水準は非常に大きな問題だ。イタリアの指導者が変わる という良いニュースにもかかわらず、問題は深刻化している」と付け 加えた。

この日の西欧市場では、全18カ国で主要株価指数が下落。イタ リア国債相場は急落し、2年物から5年、10年、30年物まで利回り がいずれもユーロ導入来の最高に達した。10年債利回りは7.25%。 イタリア債を保証するCDSスプレッドは38ベーシスポイント(b p、1bp=0.01%)上昇して562bpと過去最高を更新した。C MAが示した。

HSBCは5.8%下落して506.3ペンスで終了。同行の投資銀 行部門の税引き前利益は7-9月期に約10億ドルに減少した。銀行 株指数は3.7%下げ、ストックス欧州600指数を構成する業種別指 数の中でも特に下げがきつい指数の一つだった。デクシアは11%安 の0.372ユーロ。ドイツポストは3.8%高の11.10ユーロ。

◎欧州債:伊5年債利回り7.5%超-首相辞意表明やLCH変更で

9日の欧州債市場でイタリア国債が急落。2年物と5年物、10 年物、30年物の利回りはユーロ導入後の最高をいずれも更新した。 決済機関LCHクリアネットは同国債を取引する顧客に求める預金の 比率を引き上げると発表し、これが影響した。

イタリア5年債利回りは7.5%を突破。ベルルスコーニ首相が辞 意を表明し、弱体化した政権は借り入れコスト引き下げを目的とする 緊縮策の導入に苦戦するとの見方が広がった。

イタリア国債下落で域内で最も安全とされるドイツ国債の需要が 高まり、同国債のパフォーマンスは他国債を上回った。この日はユー ロが下落し、米国債が買われた。

ロイズ・バンク・コーポレート・マーケッツの債券ストラテジス ト、エリック・ワンド氏(ロンドン在勤)は、LCHのイタリア国債 取引に関する変更は「大きな出来事で、信用の質の劣化を浮き彫りに した」と述べ、「市場は異常な状態であることを認識しており、当局 者はこれに対応する必要がある」と続けた。

ロンドン時間午後5時3分現在、イタリア5年債利回りは前日比 70ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し7.57%。同 国債(表面利率4.75%、2016年9月償還)価格は2.54下げ

89.265。

一方、ドイツ10年債利回りは8bp下げ1.72%。独2年債利 回りは4bp低下し0.36%。イタリア10年債の独10年債に対す る利回り上乗せ幅(スプレッド)は575bpと、ユーロ導入来の最大 となった。

CMAによれば、イタリア債をクレジット・デフォルト・スワッ プ(CDS)で保証するコストは38bp上昇し過去最高の562bp となった。

◎英国債:10年債上昇、利回り最低-イタリア債とのスプレッド拡大

9日の英国債市場では10年債相場が上昇し、利回りは前日比9 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.18%。一時 は2.115%まで下げ、ブルームバーグがデータ集計を開始した 1989年以来の最低を記録した。一方、2年債利回りはほぼ変わらず の0.52%。

イタリアのベルルスコーニ首相が辞意を表明したほか、欧州最 大の決済機関LCHクリアネットが同国債を取引する顧客に求める 預金の比率を引き上げると発表したことを背景に、イタリア10年債 利回りはユーロが導入された1999年以後の最高を付けた。

イタリア10年債の英10年債に対する利回り上乗せ幅(スプレ ッド)は506bpと、90年代後半以来の最大を記録した。イタリア 国債の5年物と10年物利回りはこの日、ユーロ導入以後で初めて 7%を突破した。

ブルームバーグと欧州証券アナリスト協会連合会(EFFAS) がまとめた指数によると、英国債の年初来のリターン(投資収益率) はプラス14%。これに対しドイツ国債はプラス8.6%、イタリア国 債はマイナス8.9%となっている。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 小林 恭子 Kyoko Kobayashi +1-212-617-5230 kkobayashi39@bloomberg.net Editor: Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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