円が対ドルで約1週間ぶり高値、78円台突破で介入警戒感緩む

東京外国為替市場では、ドル・円 相場が政府・日本銀行による円売り介入が実施された10月31日以来 の水準までドル安・円高が進んだ。前日の海外市場で心理的な節目と なっていた1ドル=78円台を円高方向に突破したことで、介入警戒感 が緩み、円買い圧力がかかりやすくなった。

ドル・円相場は朝方に付けた77円79銭を円の下値に、円がじり 高となり、正午過ぎには一時77円54銭まで水準を切り上げた。午後 3時35分現在は77円59銭付近で取引されている。また、円は主要 16通貨に対してほぼ全面高となった。

みずほ総合研究所の武内浩二シニアエコノミストは、日本の当局 が78円台を支持したいのではないかという思惑が市場の一部であっ たが、同水準を抜けたことで、「介入水準を試すような動きになってき ている」と指摘。警戒感が全くなくなった訳ではないが、諸外国に対 する配慮もあり、介入が「なかなか入りにくいというのを見透かされ てきている」面もあるとしている。

この日からは2日間の日程で、アジア太平洋経済協力会議(AP EC)首脳会議が米ハワイで開催される。8日までに朝日新聞が伝え たところによると、米財務省のコリンズ次官補は7日の記者会見で、 日本の為替介入について「市場が大きく荒れていることがない場合に は、市場の力に応じ、為替レートが柔軟に動くことを容認するのがG 7(先進7カ国)の約束だ」と述べている。

伊首相の辞意表明でリスク回避緩和も

一方、イタリア議会では8日に2010年度の会計報告をめぐる採決 が行われ、賛成多数で承認されたものの、賛成票は下院議席数の過半 数に満たなかったため、ベルルスコーニ政権に事実上の不信任が突き 付けられる格好となった。

ベルルスコーニ首相は同日の夜に、ナポリターノ大統領と会談。 欧州連合(EU)に公約した財政緊縮策が議会で承認され次第、辞任 する意向を表明しており、イタリア政局の先行き不透明感がいったん 和らぐ形となった。

これを受けて、前日の米国市場では、株高・債券安につながり、 投資家のリスク回避姿勢が緩和。日経平均株価も3営業日ぶりに反発 してこの日の取引を終えている。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、イタリアの財 政状況はギリシャと違ってそれほど「危機的状況ではない」とし、緊 縮策が進めば、早期の改善が見込まれると指摘。与党が分裂状態に陥 っている状況下では、首相の辞任によって財政再建が進みやすくなる との見方につながったと説明している。

半面、前日の欧州債市場では、イタリア国債が下落。同10年債の 利回りは6.77%と、ユーロを導入した1999年以降で最高水準に達し ており、市場ではギリシャやポルトガルが金融支援要請に追い込まれ た際の金利動向との類似点を指摘する声が聞かれている。

みずほコーポレート銀行の岩田浩二バイスプレジデント(ニュー ヨーク在勤)は、イタリアの10年債利回りが非常に高い水準まで上昇 してしまっているので、今後の利払い負担が重くのしかってくるのは 間違いないといい、「かなり暗い影」になることから、ユーロの下押し 圧力は残るとみている。

東京市場のユーロ・ドル相場は午前の取引で一時1ユーロ=

1.3859ドルと、3営業日ぶりの高値を付けていたが、午後にかけて上 値が抑えられ、1.38ドル台前半で推移。ユーロ・円相場も朝方に付け た1ユーロ=107円61銭を上値に、午後は107円台前半に下押しされ た。

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