債券は反落、伊首相辞任表明受けた株高で-円高基調や潜在需要が支え

債券相場は反落。イタリアのベル ルスコーニ首相の辞任表明で、財政再建の進展期待から株高・債券安 となった米国市場の流れを引き継ぎ、国内株価の反発が売り材料視さ れた。半面、投資家の潜在需要の強さに加え、為替市場での円高・ド ル安基調が相場を下支えした。

しんきんアセットマネジメント投信・投資調査グループの鈴木和 仁ストラテジストは、レンジ内で動意に乏しい相場展開とした上で、 「日経平均反発と為替の円高進行が相殺した」と説明。潜在的な需要 が旺盛であることが相場の底堅さにつながっているとの見方も示した。

東京先物市場で中心限月12月物は6営業日ぶりに反落。前日比3 銭安い142円78銭で始まり、9銭安まで下落したが、その後は142 円70銭台を中心に推移。午後に入ると1銭高まで上昇したものの、日 経平均株価が取引終了にかけて上げ幅を拡大すると売りが増えて、結 局は7銭安い142円74銭で引けた。

前日の米国市場の動向を受けて売りが先行したものの、相場下落 は小幅にとどまった。SMBC日興証券の土井俊祐マーケットアナリ ストは、「ベルルスコーニ首相の辞任表明を受けて米株高・債券安にな ったが、イタリアの次の政権がどういった財政再建策を進められるか まだ不透明なため安心しきれる状況でもない。その辺りが債券相場の 底堅さにつながっている」と説明した。

円高基調も相場の下支え要因。ドル・円相場は1ドル=77円50 銭台と、円売り介入が実施された10月31日以来の水準までドル安・ 円高が進行した。SMBC日興証の土井氏は「円売り介入から1週間 で、再び1ドル=78円を割り込み、債券は下値を試しづらい」との見 方を示していた。

長期金利0.975-0.98%

現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の318回債利回 りは横ばいの0.975%で始まり、その後は0.5ベーシスポイント(bp) 高い0.98%で推移。午後2時前に0.975%を付けたが、その後は再び

0.98%で取引されている。

長期金利は前日に0.975%と10月6日以来の低水準に達しており、 さらに買い進む動きは見られていない。みずほインベスターズ証券の 井上明彦チーフストラテジストは、8月以降の0.965-1.05%という レンジの下限に近付いているとして、「新たな材料がなければ、抜ける のは難しい」とみていた。

こうした中、日本銀行の中村清次審議委員は9日、那覇市内で講 演し、現在1%前後で推移している長期金利が「何らかのきっかけで 上昇に転じ、金利負担が著しく財政を圧迫する事態も想定外とはいえ ない」と述べ、財政健全化の必要性を訴えた。

もっとも、講演内容には目新しさはなく、債券相場の反応は限定 的だった。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「日 本の財政再建に残された時間はそう多くないという危機意識などを含 んだオーソドックスな内容。追加緩和を日銀が断続的に行っているこ とにどれほどの経済的効果や意味合いがあるのかという点に、講演で は正面から触れられることはなかった」と指摘した。

8日の米株式相場は続伸。イタリアのナポリターノ大統領が、ベ ルルスコーニ首相は財政緊縮策の可決後に辞任することで同意したと 発表。債務危機収束に向けて新首相への期待が高まった。S&P500 種株価指数は1.2%高の1275.92。一方、米債相場は下落。安全な逃避 先としての需要がやや後退。米10年債利回りは4bp高い2.07%程度。

40年債入札、妙味あるとの声

あすに40年債入札を控えて超長期債は軟調。20年物の130回債 利回りは0.5bp高い1.74%、30年物の35回債利回りは0.5bp高い

1.96%。一方、2年物の310回債利回りは0.5bp低い0.125%と、新 発2年債として1カ月半ぶりの低い水準を付けた。SMBC日興証の 土井氏は「40年債入札を控えているが、超長期債が相応に水準調整を 続けている上、警戒感が市場に根付いているため、前回入札のように 金利が急騰するような展開にはならない」とみていた。

10日に40年利付国債の利回り競争入札が実施される。前回入札 の4回債と銘柄統合するリオープン発行で表面利率は2.2%。発行額 は前回債と同額の4000億円程度。

40年物の4回債利回りは0.5bp高い2.21%程度。9月下旬には

2.015%まで低下したが、その後は水準を切り上げ、足元では2.2%付 近で推移。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊債券スト ラテジストは「現在の水準はまずまずと評価できる。相対的な割安感 もある」として、一定の妙味があるとの見方を示している。しんきん アセットの鈴木氏も「利回り2.2%では相応の妙味がある」と話した。

--取材協力 赤間信行、船曳三郎 Editors:Masaru Aoki,Hidenori Yamanaka

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