イタリア:安定政権樹立できるかが焦点-ベルルスコーニ首相辞意表明

イタリアのベルルスコーニ首相が 辞意を表明したことにより、焦点は痛みを伴う財政緊縮策を実行でき る安定政権を樹立できるかどうかに移ったが、後継内閣発足は難航す る見通しだ。同国では第二次大戦以降、歴代内閣の平均政権担当期間 が1年にとどまっている。

ベルルスコーニ首相は8日夜、EU(欧州連合)に公約した財政 緊縮策が議会で承認され次第、辞任する意向を明らかにした。過去最 大となっている借り入れコストをイタリアが抑制できることを投資家 に納得させる狙いもあったとみられる。政府はまだ財政緊縮策の最終 草案を示していないが、今後数週間内の議会承認を目指している。

首相の辞意表明のニュースを受け、米国株は続伸、ユーロは上昇 した。新指導者の下でイタリアがユーロ圏で2番目に大きい債務の削 減で前進するとの楽観的な見方が強まった。欧州がソブリン債危機の 収束に手間取る中で、イタリア国債利回りはこの数週間急上昇し、ベ ルルスコーニ連立政権を揺さぶった。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS) のユーロ圏担当エコノミスト、シルビオ・ペルーゾ氏は、「このニュー スはプラス材料となり得るが、短期的なものにとどまる可能性がある」 と指摘。「投資家はポスト・ベルルスコーニに注目するが、2通りの結 果につながる選択肢を考えている。すなわち総選挙と実務型政府だ。 われわれは、後者が非常に望ましく、欧州の危機収束過程を後押しし 得るとみている」と説明した。

イタリア下院はこの日、同政権の事実上の信任投票と位置付けら れていた2010年度会計報告を可決したが、造反する与党議員が続出し たことなどから賛成票は308票と下院定数630の過半数に届かなかっ た。この採決結果が出た後、首相は辞意を表明した。

ユーロ上昇

S&P500種株価指数は8日、0.5%安となった後に反転し、前日 比1.2%高で引けた。ユーロはドルに対し、0.5%上昇し1ユーロ=

1.3838ドル。

8日の欧州債市場でイタリア10年債利回りは前日比11ベーシス ポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の6.77%と、1999年のユーロ 導入以降の最高となり、ギリシャとアイルランド、ポルトガルに国際 支援の要請を余儀なくさせた7%水準に近づいた。ドイツ10年債に対 する利回り上乗せ幅(スプレッド)は過去最大の497bpに広がった。

ベルルスコーニ政権が崩壊の危機を迎える中でも、EUは8日、 イタリアに対し財政緊縮計画の実行を求める圧力を強めた。イタリア の債務は、ギリシャとスペイン、ポルトガル、アイルランドの4カ国 の合計を上回る。

2つの可能性

議会が財政緊縮策を承認し、ベルルスコーニ首相が辞任した後、 ナポリターノ大統領はより広範な多数派内閣発足の可能性について政 治首脳らと協議するとみられる。また経済改革を実行し、最終的に総 選挙を準備する非議員による実務者暫定内閣樹立を模索する可能性も ある。ノムラ・インターナショナルのエコノミスト、ラビニア・サン トベッティ氏は7日のリポートで、元欧州委員会競争政策担当委員の マリオ・モンティ氏が暫定内閣の首相候補だと指摘した。

一方、ベルルスコーニ陣営は、政治指導者ではなく有権者が次の 政府を選ぶべきだと主張。国営イタリア放送協会(RAI)テレビと のインタビューで、「ほかに実行可能な解決策はないと思う」と述べた。

総選挙の前倒し実施となれば、財政緊縮策の実行がさらに遅れる 恐れがある。

国内法によると、大統領が議会を解散し、官報に掲載されてから 45-75日の間に総選挙を実施しなければならない。

イタリアでは選挙によって不安定な政権が誕生し、任期の5年間 を全うできないことが多いため、野党の多くは、より広範な連立政権 ないし実務型暫定政権を支持する意向を示唆している。

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