野村HD株に見直し買い、オリンパス問題でPBRが10年ぶり低水準

野村ホールディングス株が9日、反 発した。同社株式のバリュエーションは、オリンパスが前日、過去の投 資損失を買収費用で穴埋めしたと明らかにしたことで日本株への信頼 が揺らぎ、海外事業での損失で打撃を受けている同社に追い討ちをかけ る形で急落し、過去10年で最低に落ち込んでいた。

野村株は一時9.4%まで上昇した後、前日比10円(4.1%)高の255 円で取引を終えた。東証での出来高は1位で1億7000万株近くまで膨 らんだ。前日は15%下落し、野村の株価純資産倍率(PBR)は0.44 倍と、少なくとも2000年初め以来の水準に落ち込んでいた。

野村は8日夜、オリンパスの一連の損失先送りには関与していない と言明した。同社は先週10四半期ぶりの赤字決算を発表、海外事業は 過去6四半期にわたり赤字となり、株価は2011年に入って50%下落、 時価総額は約1兆円目減りしていた。

ドイツ証券の村木正雄アナリストは、「オリンパス問題が日本企業 や株式市場に対する外国人投資家、個人投資家の投資意欲へ悪影響を及 ぼす可能性がある」とした上で、「野村グループが不適切な取引に関与 していないことを前提とすれば、約1600億円もの時価総額減少は過剰 反応に思える」と述べた。

オリンパスは8日、過去の合併・買収(M&A)案件に投じていた 不透明な巨額資金は、有価証券投資などの損失処理に使っていたことを 明らかにした。発表資料によると同社は、1990年代ごろから投資などの 含み損を計上せずに先送りしていた。その穴埋めのため、英ジャイラス 買収の際のファイナンシャルアドバイザー(FA)への報酬や国内3社 の買収資金を、複数のファンドを経由するなどの方法で充てていた。

関与を否定

野村のマネジングディレクターで広報部長の池田肇氏は8日夕、ブ ルームバーグ・ニュースの取材に応じ、「野村は1990年代のオリンパス の損失計上先送りに関して、また2006年から08年の損失先送り解消 についても関与したという認識はない」と述べた。

野村の7-9月(第2四半期)連結決算は461億円の赤字で、海外 事業の税引き前赤字は524億円に上った。8日は野村の社債も下落し、 クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)による保証コストが上昇 した。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の金融市場グ ループの研究員、トム・キルヒマイヤー氏は「野村に関するセンチメン トが極めてネガティブになったことは驚きではない」として同社は「大 きなリスクを取り急激に事業拡大した一方で、買収したリーマン部門で は多くの人材を失っている。無理が重なった典型例のように見受けられ る」と語った。

格下げ方向で見直し

米ムーディーズは9日夕、現在Baa2の野村の債務格付けを引き 下げ方向で見直すと発表した。海外業務での継続的な損失計上などが要 因としている。見直しの過程では、コスト削減計画の実効性や、リーマ ン・ブラザーズ買収の効果が達成できない現状での戦略上の選択肢のほ か強固な財務基盤や高い自己資本などについても検討する。

野村は同日夕、ムーディーズの発表に対して「見直し対象とするこ とを突然、決定したことは誠に残念です」とのコメントを発表。「強固 な顧客、財務基盤を活用して収益拡大に努めていく」などと強調した。

ここ1週間の欧州債務危機の深刻化も保有ソブリン債をめぐる懸 念を高めた。野村の1日の決算発表によれば、ギリシャとアイルランド、 イタリア、ポルトガル、スペイン関連のネットエクスポージャーは9月 30日の時点で36億ドル。イタリア関連が28億ドルだった。

SMBC日興証券の丹羽孝一シニアアナリストは、「市場参加者は 過去3カ月、業績がどの程度悪化するか見極めながら野村株を売り続け ていた。歴史的にみてもバリュエーションは低い」と述べた。また「黒 字化に向けた経営陣のコスト削減などの取り組みの姿勢を見ていると 筋肉質になろうという覚悟がうかがえる。数週間では効果はないが、長 期的には投資家は見直しに入るだろう」と語った。

同社は11月1日の決算発表に合わせ、額12億ドルに上るコスト削 減策の一環として欧州だけでなく日本でも人員削減に着手する意向を 示した。

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