中国は日本国債など短期買い・中長期売り-9月2457億円売り越し

財務省が9日発表した9月の国際 収支状況(速報)の対内証券投資によると、中国は日本国債などの証 券を2457億円売り越した。売り越しは2カ月ぶり。欧州債務危機や米 景気の減速懸念で金利低下(価格上昇)・円高が進む中、円建て債券の 保有額を純減させた。

内訳は短期債が2199億円の買い越し、中長期債は4655億円の売 り越しだった。9月は世界的に株安が進行。円・ドル相場は政府・日 本銀行による前月の為替介入と金融緩和にもかかわらず、戦後最高値 に迫った。格下げと首相交代を経た日本では国庫短期証券の利回りが 低位安定。長期金利の指標とされる新発10年物国債利回りは約10カ 月ぶりの低水準を付けた。

SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは、中国は「年 5%程度の人民元高・ドル安を容認しつつ、ドル建て資産が多い外貨 準備の価値を保たなくてはならない」と指摘。円債の売却は「一時的」 な取引であり、世界経済・金融情勢が脆弱な中、海外勢にとって日本 国債が相場上昇と円高による為替差益の「両面で魅力的」な状況は変 わらないとの見方を示した。

中国の外貨準備高は9月末に3兆2017億ドルで世界最大。人民元 相場の上昇を抑える為替介入などによって1年間で20.9%増え、2位 の日本の約2.7倍となった。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁 は4月、同国の外貨準備は「実際に必要とする合理的な水準」を超え ており、運用・投資の分散を改善すべきだと発言した。

ドル安は外貨準備のリスク

国家外為管理局(SAFE)は昨年7月、ドルとユーロ、円が主 要な準備通貨だと説明。共産党の機関紙、人民日報の日本語サイトは 先月20日、外貨準備の「3分の2」がドル建て資産なので、持続的な ドル安は「一定のリスク」だと指摘した。人民銀の李稲葵貨幣政策委 員は8月、外貨準備の米債投資比率を徐々に引き下げるべきだと主張 した。

国際通貨基金(IMF)によると、世界の外貨準備は6月末に前 年比19.8%増の10兆804億ドル。通貨が判明している額に占める円 の比率は3.9%と、2005年3月末以来の高さとなった。金額は38.6% 増加。特に中国を含む新興国の保有が62.4%も増えた。ドルの比率は

60.2%と過去最低を更新。ユーロも26.7%と2四半期続けて上昇した。

みずほインベスターズ証券の落合昂二チーフマーケットエコノミ ストは、国際分散を手掛ける債券投資家は「近年の米欧金利低下を背 景に、日本国債のアンダーウェート解消を進めている」と指摘。海外 勢からの資金流入はまだ続くとみている。

韓国にも投資、米債は売り

中国の対日証券投資は10年初めから7月までの買い越し額が2 兆3159億円と過去最大だった05年通年の約9倍に達したが、翌月か ら売り越し基調に転換。前回8月は10カ月ぶりに買い越した。残高は 昨年1年間で約4倍に増加。うち、債券は約3倍に増えた。

日本銀行のデータによると、海外の中央銀行が保有する日本国債 を含む円資産は、昨年末時点で前年比24.6%増の35兆円。うち、債 券は33兆円を占めた。人民銀を含む中国の債券保有額は10兆4852 億円。うち、短期債が6兆3983億円、中長期債は4兆869億円。

世界的な金融危機を受けた米金融緩和を背景にドルが中長期的に 下落する中、中国は韓国国債などへの分散も推進。韓国金融監督院(F SS)によると、中国の債券買い越し額は年初来の10カ月間で3兆 5048億ウォンと、海外勢で米国に次ぐ大きさだ。保有残高は昨年1年 間で3.5倍に増加。今年10月末には10兆741億ウォンに達し、国外 投資家で4番目の11.6%を占めた。

中国は世界最大の米国債保有国でもある。ただ、米国が初めて格 下げされた8月、中国の売り越し額は過去最大となった。米財務省に よると、同月の保有額は1兆1370億ドルと1年ぶりの低水準。2位は 日本で9366億ドル。9月分は今月16日に発表される。

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