中村日銀委員:長期金利1%「ずっと続くこと考えにくい」-会見

日本銀行の中村清次審議委員は9 日午後、那覇市内で会見し、長期金利が1%前後で推移していること について、資金需要の変化や高齢化の進行を考えると、こうした水準 が「ずっと続くことは考えにくい」と述べた。

中村委員は9日午前の講演で、長期金利が「何らかのきっかけで 上昇に転じ、金利負担が著しく財政を圧迫する事態も想定外とはいえ ない」と指摘。「低金利の下で、市場からの信認が得られている今のう ちに、景気の動向にも配慮しつつも、中長期的な財政健全化に向けた 具体策を地道に実行に移すことが求められている」と語った。

中村委員は会見で、長期金利の水準について「10年以上2%を超 えたことがなく、ずっと1%台だが、このレベルがずっと続くという 保証は、一般論としてもない」と言明した。

さらに、「今は資金が余剰でなかなか需要がないが、日本の個人金 融資産もこれから高齢化に伴って、いつまでも今のレベルが維持でき るわけではない。金融機関ももっと有利な運用先があれば、そちらに 回るわけなので、需給は変わる」と指摘。「今のレベルを前提にいろい ろなことを考えるのはあり得ないことだ。欧州を見ても、急激に金利 が変わることもある」と語った。

円相場の動向や影響も注視

欧州情勢については「今やユーロ圏全体を巻き込んだ債務危機に 発展している。金融資本市場ではリスク回避姿勢が急速に強まるとと もに、緊張感が強い状態が続いている」と指摘。「国債の信認低下、金 融システムの信用力低下、実体経済に対する下押し圧力の高まりとい う相乗効果が働き始めているとも見られる」と述べた。為替相場の動 向や、日本経済、物価に与える影響にも「注意が必要だ」と述べた。

タイの洪水については「被害はまだ拡大が続いている」と指摘。 「タイは東南アジアの自動車産業で中心的な役割を果たしているほか、 ハードディスクなど一部のIT関連財の生産の集積地となっているた め、生産減少の影響はサプライチェーンの障害を通じて他のアジア諸 国に波及する可能性があり、先行き不確実性が高い」と述べた。

さらに、今回の水害により「日系企業の現地生産設備にも被害が 広がっている」と指摘。タイの日系企業の生産が長期間ストップした 場合、「ウエートの高い自動車や一部の電気機械などにおいて、連結ベ ースでみた企業業績に相応に影響が出てくるとみられる」と語った。

タイの水害が日本の輸出や生産に与える影響については「部品の 調達難から自動車等で生産を抑制する動きが出ている一方、日本国内 での代替生産や資本財の復旧需要など、わが国の輸出や生産を押し上 げる要因もあり、全体としてどのような影響を受けていくのか、今後 の動向を注意深く見ていきたい」と述べた。

日銀は前月27日、半年に一度の経済・物価情勢の展望(展望リポ ート)を公表し、2012年度の実質国内総生産(GDP)成長率見通し (委員の中央値)を7月の中間評価時点のプラス2.9%からプラス

2.2%に下方修正。消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年 比はプラス0.7%からプラス0.1%に下方修正した。

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