中村日銀委員:長期金利上昇し財政圧迫する事態も想定外でない

日本銀行の中村清次審議委員は9 日午前、那覇市内で講演し、現在1%前後で推移している長期金利が 「何らかのきっかけで上昇に転じ、金利負担が著しく財政を圧迫する 事態も想定外とはいえない」と述べ、財政健全化の必要性を訴えた。

中村委員は日本の一般政府債務残高(グロスベース)の名目GD P比率が199.7%と「欧州債務問題の発端となったギリシャの147.3% や、市場の信認が揺らいでいるイタリアの126.8%と比べてもはるか に大きい」と指摘。国債発行残高の増大にもかかわらず、日本では「低 利での円滑な資金調達ができているため、危機感の低下と問題の先送 りにつながったと思われる」と述べた。

その上で、高齢化が急速に進む中、個人金融資産や金融機関の運 用スタンスが将来も、「これまでと同様、安定的に国債へ向かうとは限 らない」と指摘。「低金利の下で、市場からの信認が得られている今の うちに、景気の動向にも配慮しつつも、中長期的な財政健全化に向け た具体策を地道に実行に移すことが求められている」と語った。

日銀は前月27日の金融政策決定会合で、資産買い入れ等基金を 「50兆円」から「55兆円」に拡大することを8対1の賛成多数で決定 した。増額対象は全て長期国債。日銀の追加緩和は8月4日会合で円 売り介入に合わせて実施して以来。反対したのは宮尾龍蔵審議委員で、 同委員は60兆円への増額を提案したが、反対多数で否決された。

タイ洪水のマイナスの影響も

中村委員は欧州債務危機の帰すうについて「今なお不確実性が強 く、市場の信認回復については予断を許さない」と指摘。「最終的な解 決に向けては、長期化の可能性が高い」と述べた。米国については「住 宅市場や雇用動向の回復にはしばらく時間を要すると思われ、財政面 や金融面からの政策対応余地が限られている中、米国経済の減速が想 定以上に長引くリスクにも注意しておく必要がある」と語った。

また、タイの洪水の国内経済への影響について「タイへの直接輸 出の減少や、タイを含めたアジア地域におけるサプライチェーンの障 害を通じて、わが国の生産にマイナスの影響を及ぼすと考えられるこ とから、今後、注意していく必要がある」と述べた。

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