11月8日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次 の通り。

◎NY外為:ユーロ上昇、伊首相の辞意表明で債務問題解決を期待

ニューヨーク外国為替市場ではユーロが対ドルで上昇した。イタ リアのナポリターノ大統領は、ベルルスコーニ首相が財政緊縮法案の 可決後に辞任することで同意したと発表。これに反応した。

ベルルスコーニ首相はこの日行われた予算関連の議会採決で承認 を勝ち取ったものの、絶対過半数には至らなかった。これに対してユ ーロはほとんど反応しなかった。円は対ドルで、日本が円売り介入を 実施した10月31日以来の高値に上昇した。南アフリカ・ランドは 値上がり。金先物相場が一時ほぼ7週間ぶりにオンス当たり1800ド ル台を回復したことが手掛かり。

シティグループのシニア為替ストラテジスト、グレッグ・アンダ ーソン氏は「市場では、イタリアで実務型の政府が誕生する可能性が あることはすでに分かっている。その政府はベルルスコーニ政権より も良いものだ」とした上で、「まだこれから多くの痛みが続く。1カ 月以内にユーロは1.30ドルを割り込むと予想されるため、1.30ド ル台の後半で売るのが良いだろう」と述べた。

ニューヨーク時間午後3時53分現在、ユーロは対ドルで前日比

0.4%高の1ユーロ=1.3836ドル。一時1.3725ドルまで下げる 場面もあった。対円ではほぼ変わらずの1ユーロ=107円53銭。円 は対ドルで0.5%上昇し、1ドル=77円70銭。一時77円60銭 まで円高・ドル安が進んだ。円の戦後最高値は10月31日に付けた 75円35銭。

スイス・フランは対ユーロで上昇。スイス国立銀行(中央銀行) のヨルダン副総裁は、輸出面で有利な立場に立つためにフランを押し 下げているのではないと語った。

イタリア財政緊縮法案

ナポリターノ伊大統領は、ベルルスコーニ首相との会談後に電子 メールで、首相から財政緊縮法案が来週議会で可決され次第辞任する との申し出を受けたことを明らかにした。

ベルルスコーニ首相の連立政権は、域内の債務危機が同国に波及 して以降、不安定な状態が続き、国債利回りは7月に急上昇した。

ウェルズ・ファーゴの為替ストラテジスト、ヴァシーリ・セレブ リアコフ氏(ニューヨーク在勤)は「イタリアでは現在の政策当局に 対する市場の信頼が失われている」と指摘。「現時点で最善の方法は、 有権者の圧力にあまり影響されない実務型の政府だとの見方がある」 と続けた。

先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関通貨加重指 数によれば、ユーロは過去1カ月で9通貨に対し0.8%上昇。一方で ドルは3.3%安、円は6.2%下げた。

日本の米国債保有

日本は10月31日の円売り・ドル買い介入を受け、米国債の保 有高を過去最大に増やす可能性がある。米財務省がこの日実施した3 年債入札(発行額320億ドル)の結果によると、投資家の需要を測 る指標の応札倍率は3.41倍、1993年以来の高水準だった。

日本の米国債保有高は、2010年9月以降で3回実施された円売 り介入の後で急増。米財務省のデータによれば、8月4日に過去最大 となる4兆5100億円の為替介入を実施した後、同月の日本の米国債 保有高は2.4%増え9366億ドルとなった。

フランは対ユーロで0.2%高の1ユーロ=1.2382フラン。対 ドルでは0.6%上げて1ドル=0.8952フラン。

◎米国株:続伸、伊首相の辞任同意で新政権への期待高まる

米株式相場は続伸。イタリアのベルルスコーニ首相が辞任を申し 出たことから、債務危機収束に向けての新首相への期待が高まった。

S&P500種株価指数の産業別10指数は金融、エネルギー、 テクノロジーなどすべてが上昇した。銀行のJPモルガン・チェー ス、石油のオキシデンタル・ペトロリアム、半導体インテルはいず れも上昇。S&P500種の住宅建設株で構成される株価指数は

3.8%上昇した。トール・ブラザーズは7.4%高。同社の売り上げ 増が好感された。

S&P500種株価指数は前日比1.2%高の1275.92。ダウ工業 株30種平均は101.79ドル(0.8%)高の12170.18ドルだった。

投資会社ホランド(ニューヨーク)のマイケル・ホランド会長 は、「ベルルスコーニ首相は、世界の首脳という点では若干漫画の 登場人物のようだ」と述べ、「欧州で真剣に働いているのは一握り の人たちしかいない。投資家は欧州が未来に向かって進むために 必要なことを見極める上で、ベルルスコーニ首相は助けにはなら ないとはっきり見抜いている。ベルルスコーニ首相は問題の一部で あり、解決策の一部ではない」と続けた。

ベルルスコーニ首相の辞任

ナポリターノ伊大統領は、ベルルスコーニ首相が来週の議会 で財政緊縮法案が可決され次第、辞任することに同意したと述べた。 ベルルスコーニ首相が辞意を明らかにしたのは、予算関連の議会採 決後。採決の結果、賛成票が630議席中308票と同首相は絶対的過 半数を取得できなかった。

ハンティントン・アセット・アドバイザーズのマデリン・マト ロック氏は、「ベルルスコーニ首相は効果的な手腕を発揮していな いのが現実だ。辞任する必要がある」と述べた。

KBW銀行指数は2.4%上昇。景気敏感株で構成されるモルガ ン・スタンレー・シクリカル指数は1.2%上げた。ダウ輸送株平均 も1.2%上昇。JPモルガンは2.3%高、オキシデンタルは2.8% 上昇した。

トール・ブラザーズが高い

トール・ブラザーズは7.4%上昇。同社の8-10月(第4四 半期)の売上高は4億2770万ドルと、前年同期の4億260万ドル から増加した。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想は4億1420 万ドルだった。

オンライン旅行会社プライスライン・ドット・コムは8.6% の急伸。同社の7-9月(第3四半期)の利益と売上高はアナリス ト予想を上回った。

◎米国債:下げに転じる、伊首相の辞任同意で逃避需要が後退

米国債相場は下げに転じる展開。イタリアのナポリターノ大統領 が、ベルルスコーニ首相は財政緊縮策の可決後に辞任することで同意 したと発表。これを受けて安全な逃避先としての需要が後退した。

イタリア首相の辞意表明が伝わる前、米国債は上昇していた。 イタリアのソブリン債問題が他国に波及するとの懸念が背景。米3年 債入札では応札倍率が少なくとも1993年以降で最高となった。9日 には10年債(規模240億ドル)の入札が実施される。

シティグループの金利ストラテジスト、アミタブ・アロラ氏(ニ ューヨーク在勤)は、「政府や首相の交代は、必要とされる厳しい措 置を実施しやすくするとの見方がある」と指摘。「ベルルスコーニ首 相は問題の一部と見なされている」と述べた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時 間午後3時20分現在、10年債利回りは前日比3ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)上昇の2.07%。一時1.997%ま で低下する場面も見られた。同年債(表面利率2.125%、2021年 8月償還)価格は9/32下げて101 16/32となっている。

中長期債入札

米財務省は今週、合計720億ドル規模の中長期国債を入札する。 10日に実施する160億ドルの30年債入札が今週最後の入札。

クレディ・スイス・グループの金利ストラテジスト、カール・ラ ンツ氏は「イタリアをめぐる懸念から安全資産が求められ、3年債 がその条件に見合っていた」と説明。「ディーラーにとって10年債 や30年債の入札はここのところ困難を極めていた。今週の入札を控 え市場の動きは興味深いものとなるだろう」と続けた。

この日の3年債入札の結果によると、最高落札利回りは

0.379%だった。ブルームバーグがまとめたプライマリーディーラー 8社による入札直前の予想は0.393%だった。投資家の需要を測る 指標の応札倍率は3.41倍と、過去10回の入札の平均(3.21倍) を上回った。

外国の中央銀行を含む間接入札の落札全体に占める比率は

38.7%だった。過去10回の平均は35.9%。

プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)以外の直接 入札の落札比率は19.9%となった。過去10回の平均は11.8%。

介入資金が流入か

バンク・オブ・アメリカ(BOA)は日本政府・日銀が10月 31日に実施した最大8兆円規模の円売り介入で得たドルを使って、 今週の米国債入札で応札する可能性があるとの見解を示した。

BOAのストラテジスト、シャイアム・ラジャン氏は4日付の顧 客向けリポートで、8月10日の10年債入札では海外勢の応札が 「著しく増加した」と指摘した。8月4日に日本政府・日銀は590 億ドル規模の円売り介入を実施していた。

イタリア下院は8日の採決で2010年度会計報告を承認したが、 与党から造反議員が出るなどして賛成票は絶対過半数に満たなかった。 630議席の下院でベルルスコーニ首相が確保した賛成票は308にと どまった。ベルルスコーニ首相は辞任する意向を表明した。

この日のイタリア10年債利回りは前日比11bp上昇の

6.77%と、ユーロを導入した1999年以後の最高に達した。ギリシ ャやアイルランド、ポルトガルが国際支援を要請した際の国債利回り は7%だった。ドイツ10年債に対するイタリア債の利回り上乗せ幅 (スプレッド)はこれまでの最大となる497bpとなっている。

◎NY金:上昇、一時1800ドル台回復-欧州債務危機で逃避需要

ニューヨーク金先物相場は上昇。一時ほぼ7週間ぶりにオンス当 たり1800ドル台を回復した。欧州の首脳には域内債務危機を抑制 する能力がないとの懸念が強まったことで、逃避先としての金の買い が膨らんだ。

イタリアのベルルスコーニ首相はこの日、2010年度会計報告に 関する下院での形式的な採決で、絶対過半数を確保できなかった。こ れにより、首相に退陣を迫る圧力が高まるのは必至となった。米連邦 準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は失業率の低下に向け一 段の金融緩和が必要になる可能性があると示唆している一方、欧州中 央銀行(ECB)は先週、利下げを実施した。金は9月末以降11% 余り値上がりしている。

ストリートトーク・アドバイザーズのランス・ロバーツ最高経営 責任者(CEO)は電話インタビューで、「欧州の混乱で、不安感に 基づく取引から金に資金が戻ってきた」と指摘。「中央銀行による新 たな一連の政策緩和も金の支えになっている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 12月限は前日比0.5%高の1オンス=1799.20ドルで終了した。 一時は1804.40ドルと、9月21日以来の高値を付けた。引け後の 時間外取引では1785.70ドルに値下がり。

◎NY原油:上昇、3カ月ぶり高値-伊首相の辞意表明で

ニューヨーク原油先物相場は上昇。3カ月ぶりの高値となった。 イタリアのベルルスコーニ首相が財政緊縮法案の可決後に辞任するこ とで同意したことが手掛かり。

新首相は債務危機を克服できるとの楽観が広がった。中東の安定 を脅かすイランの核計画に関する国連のリポート内容が明らかになっ たことも原油の買いにつながった。

ストラテジック・エナジー・アンド・エコノミック・リサーチの マイケル・リンチ社長は、「ベルルスコーニ首相の辞任は前向きな展 開として受け止められた」と指摘。「これは財政危機の解決が近づい たことを意味する可能性がある。これが市場に長期的な影響を及ぼす かどうかは分からないが、この日に関しては確実に影響している」と 述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物12月限は前 営業日比1.28ドル(1.34%)高の1バレル=96.80ドルで終了。 終値では7月28日以来の高値となった。年初からは5.9%の値上 がり。

◎欧州株:反発、イタリア予算関連法案が可決-英ボーダフォン高い

8日の欧州株式相場は反発。イタリアのベルルスコーニ政権は予 算関連の議会採決で承認を勝ち取ったが絶対過半数には至らなかった。

英ボーダフォン・グループは上昇。通期の利益予想を引き上げ たのが好感された。同社の半期利益はアナリスト予想を上回った。 スペインの石油会社レプソルYPFは6.3%上昇。同社傘下企業はア ルゼンチンの油田の推定埋蔵量を上方修正した。仏銀2位のソシエ テ・ジェネラルと英銀ロイズ・バンキング・グループを中心に銀行株 も高い。

ストックス欧州600指数は前日比0.9%高の240.50で終了。 同指数は9月22日に付けた年初来安値から12%戻している。

ノルデア・プライベート・バンキングのチーフ株式アドバイザ ー、ラーズ・モゲルトフト氏は「ベルルスコーニ首相が辞任した ら、ある程度は政治不安が引き起こされるだろう。しかし市場では 大きな安心感がもたらされる可能性も高い」と指摘。「投資家の注 目は今もギリシャとイタリアの2つに集中している。2国の動きに 反応して、相場もまだ大きく変動するだろう」と続けた。

630議席のイタリア下院は賛成308で2010年度会計報告 を承認した。フィーニ下院議長が明らかにした。

レプソルYPF傘下のYPFは、同国のネウケン州にあるロマ ララタ油田で約9億2700万バレル相当のシェールオイル資源を発 見した。推定埋蔵量は従来予想の約6倍に上る。

◎欧州債:イタリア債下落、議会採決と追加証拠金比率引き上げ観測

8日の欧州債市場ではイタリア国債が下落。同国のベルルスコ ーニ首相は予算関連の法案を議会で通過させたものの、賛成票が絶 対過半数に至らなかったことから、同首相の下で緊縮策の実行は難 しいとの見方が広がった。

イタリア10年債利回りはユーロ導入後の最高を記録。欧州最 大の決済機関LCHクリアネットが同国債取引の追加証拠金比率を 引き上げるとの観測が背景にある。LCHはこうした見方を否定し た。

ドイツ国債は下げ幅を縮小する展開。欧州中央銀行(ECB) 政策委員会メンバー、バイトマン独連銀総裁が、ECBは紙幣増刷 によって公的債務を支えることはできないと発言したことが手掛か りとなった。

モニュメント・セキュリティーズの債券アナリスト、マーク・ オストワルド氏(ロンドン在勤)は、「問題は首相が退陣していな いことだ」と発言。さらに、「LCHがイタリア国債に対する追加 証拠金比率を引き上げるとの見方が広がったことも、もう一つの大 きな問題だ」と述べ、そのような動きがあれば「多くの投資家はポ ジションの手じまいを余儀なくされるだろう」と続けた。

ロンドン時間午後5時7分現在、イタリア10年債利回りは前 日比11ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の

6.77%と、ユーロを導入した1999年以後の過去最高に達した。ド イツ10年債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)はこれまでの 最大となる497bp。同国債(表面利率4.75%、2021年9月償還) 価格は0.71下げ86.41。イタリア2年債利回りは32bp上げ

6.37%。一時は6.44%まで上昇した。

ベルルスコーニ首相は議会採決で630議席中308票を獲得し た。ナポリターノ大統領はこの結果を受けて新たな信任投票を呼び 掛ける可能性がある。与党議員3人の造反と6人からの退陣要請に もかかわらず、同首相は辞任を拒否している。

独10年債利回りは前日比2bp上昇の1.80%。独2年債利回 りも2bp上げ0.40%となった。

◎英国債:変わらず、10年債利回り2.27%-株高で安全需要後退

8日の英国債相場はほぼ変わらず。前日までは2日続伸していた が、株高を背景に安全投資先としての英国債の魅力が後退した。

イタリアのベルルスコーニ首相がこの日の予算関連法案の議会採 決で絶対過半数を得なかったことから、退陣を迫る圧力が高まるとみ られている。これを受けて、英国債は下げ幅を縮小した。英国株の指 標であるFTSE100指数は一時1.9%上昇し、先月27日以降で最 大の上げとなった。この日発表された統計で9月の英製造業生産がエ コノミスト予想を上回る伸びとなったことがきっかけだった。

ロイズ・バンク・コーポレート・マーケッツ(ロンドン)の金利 ストラテジスト、バトサラ・ダッタ氏はイタリア議会の採決前の段階 で、「ベルルスコーニ首相が近く辞任するとの観測が一部であり、こ れがリスク意欲を高め、安全投資先としての英国債の需要を損なうか もしれない」と述べていた。

ロンドン時間午後5時11分現在、10年債利回りは2.27%で、 前日からほぼ変わらず。2.33%まで上げる場面もあった。同国債 (表面利率3.75%、2021年9月償還)価格は0.035下げ

112.995。2年債利回りは0.55%まで上昇した後、前日比ほぼ変わ らずの0.52%となった。

英政府統計局(ONS)が8日発表した9月の製造業生産指数は 前月比0.2%上昇。8月は0.3%低下だった。ブルームバーグ・ニ ュースがまとめたエコノミスト30人の予想中央値で0.1%上昇が見 込まれていた。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 小林 恭子 Kyoko Kobayashi +1-212-617-5230 kkobayashi39@bloomberg.net Editor: Shigeru Chiba,Tsuneo Yamahiro 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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