中国:民間金融の代価は「指」か命か、貸し渋りで自殺者も-温州市

中国東部の浙江省温州市-。鐘茂 進さんは借金の取り立てに来た入れ墨のある連中にコーヒーショップ に連れ込まれたが、高利貸しの要求には屈しなかったと話す。

民間金融から借り入れた資金で店舗網を築き上げた42歳の鐘さ んは、一軒の薬局の引き渡しを求められたが、これを拒み、その代わ り「お望みなら指を1本詰めましょう」と言ったのだという。時に暴 力を使って資金回収を図る高利貸しに対する伝統的な代価支払いの申 し入れだ。

鐘さんによれば、その薬局を手放せば他に130人いる債権者への 返済が不可能になる。鐘さんは事業拡大のため3000万元(約3億 7000万円)を最高で月利7%で借りている。

温州中小企業発展促進会の周徳文会長によると、鐘さんと同じよ うな状況の経営者が4月以降で少なくとも90人、同市から逃げ出し ている。自殺者も2人いるという。靴メーカーを営んでいた沈奎正さ んは9月21日にビルの22階にある自宅から飛び降り自殺した。

周会長は、コスト高や地下銀行の貸出金利高騰、それに突然の貸 し渋りに見舞われた温州の40万社は金融面で苦境に陥っていると指 摘する。中国の民間企業は営業資金を銀行ではなく闇市場からの調達 に頼っており、同様の問題は中国全土で起きつつあるという。

「氷山の一角」

温家宝首相は10月4日、上海の南370キロの地点にある温州市 を訪れ、経営難に陥った企業への支援を表明。以来、全国展開する銀 行や地元の金融機関が中小企業対策を発表している。銀行融資を受け やすくする、暴力的な高利貸しを取り締まるなどの措置が講じられた。

3年ぶりの高水準近くにあるインフレ率を抑制するため、政府が 貸し出し引き締めに動いたことから、マネーサプライ(通貨供給量) は縮小した。クレディ・スイス・グループの陶冬エコノミスト(香港 在勤)は、非公式の融資ネットワークが突然機能しなくなったことに ついて、与信が引き締められた場合の規制対象外の金融システムの脆 弱(ぜいじゃく)さを浮き彫りにするものだと述べる。

同エコノミストによれば、「温州はほんの氷山の一角」。こうした 民間融資の残高は中国の貸し出し全体の8%に相当する4兆元と試算 している。

UBSの汪涛エコノミスト(香港在勤)は10月11日付リポート で、より広範な中国経済に対するリスクの1つとして、地下銀行間で の相互不信の高まりに伴う信用収縮の可能性を挙げている。経営破綻 が一段と拡大するきっかけになり得るという。

--Fan Wenxin and Shai Oster. Editors: Neil Western, Melissa Pozsgay.

参考画面: 翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先: 東京 笠原文彦  Fumihiko Kasahara  +81-3-3201-3761 or fkasahara@bloomberg.net Editor:Akiko Kobari 記事に関する記者への問い合わせ先: Fan Wenxin in Shanghai at +86-21-6104-3045 or wfan19@bloomberg.net Shai Oster in Hong Kong at +852-2977-4615 or soster@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: Melissa Pozsgay at +33-1-5365-5056 or mpozsgay@bloomberg.net

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