ユーロが下落、イタリアの政情混迷で売り圧力-ドル・円は小動き

東京外国為替市場では、ユーロが 対ドル、対円でじり安となった。イタリアの政情混迷を背景に、ユーロ 圏で3番目の経済大国である同国の債務管理への懸念が高まった。

午後5時1分現在のユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.3730ドル前 後。一時は1.3727ドルまでユーロが売られる場面が見られた。前日の ニューヨーク時間午後遅くの水準は1.3776ドル。

ユーロ・円相場も1ユーロ=107円半ばから弱含み、一時、107円 14銭を付けた。

バンク・オブ・アメリカ-メリルリンチの藤井知子シニアFXスト ラテジストは、「イタリアの問題の所在は今に至っても構造改革が甘い というところで、しかも政治が混迷している」と指摘。「まだギリシャ のようにデフォルト(債務不履行)間近というわけではなく、全く次元 の違う話だが、警戒感は強まっている」と話した。

ドル・円相場は小動き。欧州債務問題への懸念を背景に円高圧力が くすぶる一方、円売り介入への警戒感も根強く、日中の値幅は1ドル= 78円ちょうどから78円10銭とわずか10銭にとどまった。

イタリア政情混迷

イタリアの下院はこの日、2010年度会計報告に関する採決を行う。 ベルルスコーニ首相は、政権維持に必要な十分な支持を引き続き得てお り、債務削減と急上昇している国債利回り低下につながる財政緊縮策を 実行できることを示さなければならないが、これまでに与党議員3人が 野党にくら替えし、他の与党議員6人が首相の辞任を要求。今回の採決 で過半数の315票を確保できない場合、首相は信任投票に直面する公 算が大きい。

7日の欧州債市場ではイタリアの10年物国債利回りが一時

6.68%まで上昇し、ギリシャやアイルランド、ポルトガルが支援要請 に追い込まれた7%の水準に接近した。その後、ベルルスコーニ首相手 法が辞任する見通しとの報道を受けて、6.63%に低下。首相はこの報 道をリベロ紙とのインタビューで「事実無根」だと否定、財政緊縮策の 議会通過を確実にするため、自らの意志で信任投票を来週実施する考え を表明した。

藤井氏は、「イタリアは世界有数の巨大債務国であり、来年に大量 償還を控えて、自力調達できないとなれば相当大変なことになる」と指 摘。「短期的にはレパトリ(自国への資金回帰)もあるので、債券市場 のパニックほどユーロ売りは急激に表れにくいかもしれないが、最終的 にはグローバル投資家が引いてしまうので、それがリスクになる」とし 、「中期的にユーロ安は続く」との見方を示した。

イタリアのANSA通信が伝えたところによると、ベルルスコーニ 首相は7日夜の与党・自由国民の議員との会合後に、8日の議会採決の 結果を待って辞任するか続投するかを決断する方針を固めた。

リスク回避と介入警戒

また、この日は前日のユーロ圏財務相会合に続き、欧州連合(EU )財務相会合が開かれる。欧州の財務相らは7日、救済基金の拡充を来 月実施すると表明した。オランダのデヤーヘル財務相は8日の会合で、 先月の首脳会議で合意された銀行の資本増強案の実施が決定されるとの 見通しを示した。

8日の東京株式相場は続落。イタリア情勢への警戒が強まり、アジ ア株も軟調に推移した。

上田ハーローのシニアアナリスト、山内俊哉氏は、欧州情勢の不透 明感を背景にリスク資産を「ポジティブになって買っていける環境では ない」とし、新たに悪材料が出れば、株が売られやすくなり、円買いの 流れが継続する可能性も残ると指摘。ただ、前回の介入実施から日も浅 く、再び円高方向に向かうと投機的な動きとみなされるのではないかと いう警戒感もあるといい、ドル・円相場は「78円をクリアに割って下 げていきにくい」と分析していた。

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