ユーロが下落、イタリアの政局不透明感重し-ドル・円は78円台前半

東京外国為替市場では、ユーロの 上値が重い展開となった。イタリアの政局不透明感を背景に財政再建 の先行き懸念が生じており、ユーロ圏内の債務問題に対する警戒感か らユーロの売り圧力が戻った。

ユーロ・円相場は朝方に付けた1ユーロ=108円20銭を上値にじ りじりと水準を切り下げる展開となり、午後の取引では107円45銭ま で下落。午後3時40分現在は107円55銭付近で取引されている。ユ ーロ・ドル相場も朝方に一時1ユーロ=1.3838ドルまで上昇していた が、午後にかけては1.37ドル台半ばから後半に下押しされて推移した。

SMBC日興証券の野地慎シニア債券為替ストラテジストは、イ タリアの国債市場が大き過ぎるとし、欧州中央銀行(ECB)の買い 支え以外は買い手が見つからないような状況にまで陥っていると分析。 そうした中、欧州ではあすにかけて財務相会合が予定されているが、 「安心できるような状況ではなくなっている」とし、ユーロについて は「心配な材料が多い」ことから、下値不安が残っているとしている。

欧州では、7日にユーロ圏、8日には欧州連合(EU)の財務相 会合が予定されている。高債務国の救済基金である欧州金融安定ファ シリティー(EFSF)の拡充策の詳細について詰めの作業が行われ る見通し。

一方、ドル・円相場はユーロ主導の展開の中、1ドル=78円台前 半で推移。朝方に78円23銭を付けたあと、欧州発の懸念材料を背景 としたリスク回避の動きで円がじり高となり、午後には78円07銭ま で円高に振れる場面も見られた。しかし、円の上値では政府・日本銀 行による介入への警戒感が根強いとの指摘が聞かれている。結局、日 中の値幅は16銭にとどまった。

イタリアの政局不透明感

イタリアの最大野党、民主党のベルサニ書記長は、ベルルスコー ニ首相が今月8日の2010年予算報告に関する投票で承認を受けた場 合でも、不信任案を提出する考えを表明した。同国の通信社ANSA が国営テレビRAIとのインタビューでの発言を引用して伝えた。

また、イタリア紙レプブリカの報道によると、ベルルスコーニ首 相率いる連立与党から最大20人の議員が離脱の構えを見せていると いう。情報源は明らかにされていない。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、ギリシャの連立政 権合意でいったんユーロは買われたが、「危機はイタリアの方に移って いる感がある」とし、不透明感は強いと指摘。その上で、イタリアの 10年債利回りが急騰しており、自力での資金調達が難しいとされる水 準に接近していると言い、「瀬戸際」の状態にある中で、海外市場にか けてはイタリアの金利動向を見ながら、神経質な展開が見込まれ、ユ ーロの上値は重いとしている。

先週末4日には、イタリア政府が国際通貨基金(IMF)に対し、 同国の緊縮策実施の監視を要請したことが明らかとなった。これを受 けて、イタリア国債が売られ、同10年債の利回りは1990年代後半以 降の最高に達した。

ECB政策委員会メンバー、ルクセンブルク中銀のメルシュ総裁 は、条件がもはや満たされなくなった場合、ECBにはイタリア国債 の購入停止を決める自由があると指摘した。6日付のイタリア紙スタ ンパに掲載されるインタビューで述べた。

ギリシャ、連立政権で合意

一方、ギリシャのパプリアス大統領の声明によると、先週末に同 国議会で行われた信任投票で辛うじて過半数を勝ち取ったパパンドレ ウ首相は6日、最大野党・新民主主義党(ND)のサマラス党首と会 談し、「10月26日の欧州首脳会議の決定を実行した後、直ちに選挙を 行うことを目指し、新政権を樹立することで合意」した。

野村証券金融市場調査部の池田雄之輔チーフ為替ストラテジスト は、連立政権の合意を受けて、「ギリシャの突然死」という可能性が低 下したことは「リスクアセット(資産)全体に対しては総じてポジテ ィブ」だと指摘。ただ、「ユーロという意味では、まだいろいろ『慢性 病』との戦いが控えている」とし、市場の注目がイタリア情勢に移る 中、「どちらかというとまだ悪いニュースが出続けて、ユーロはじりじ り下がる可能性がある」とみている。

ギリシャ情勢をめぐっては、先週初めにパパンドレウ首相が政権 への信任投票と同国向け救済策についての国民投票を実施する方針を 示したことをきっかけに、市場で不安心理が増幅。その後は、ギリシ ャが国民投票の方針を撤回し救済受け入れに近づいたとの見方が生じ るなど、市場が右往左往させられる状況が続いている。

そうした中、4日に閉幕した20カ国・地域(G20)首脳会議(サ ミット)では、ユーロ圏救済を支援するための新たな資金拠出をめぐ って合意に至らず、米国市場で株安・債券高につながっていた。

--取材協力:小宮弘子 Editor:Masaru Aoki, Joji Mochida

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 三浦和美 Kazumi Miura

+81-3-3201-8583 kmiura1@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo

+81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

Rocky Swift

+81-3-3201-2078 rswift5@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE