【今週の債券】長期金利0.9%半ばも、欧米不透明感で1年ぶり低水準

今週の債券市場で長期金利は約1 年ぶりの低水準となる0.9%台半ばをうかがう展開が予想されている。 欧米で金融や景気をめぐる先行き不透明感が根強いことから、投資家 の債券残高を積み増す需要が拡大するとみられていることが背景。

SMBC日興証券の野地慎シニア債券為替ストラテジストは、長 期金利は昨年11月上旬以来の0.9%台半ばまで下がる場面もあると予 想。4日は米雇用統計の発表前にもかかわらず買われるなど、投資家 の需要の強さが確認できたと言い、「1.0%台半ばで買いそびれた投資 家の買い目線がじわりと下がりそうだ」と言う。

長期金利の指標とされる新発10年国債利回りについて、ブルーム バーグ・ニュースが前週末に市場参加者4人に聞いた予想レンジは全 体で0.93%-1.05%となった。

前週の長期金利は低下。政府・日銀の円売り介入実施などを手掛 かりに、週初には約2カ月ぶり高水準となる1.045%を付けた。しか し、その後は、ギリシャ問題に関する不透明感がくすぶる中、買いが 優勢となり、週末には10月26日以来の低水準となる0.985%を記録。 週間ベースでは5.5ベーシスポイント(bp)低下して終了した。

投資家の潜在需要は強い

前週末には中期から超長期まで幅広い年限で買いが入り、現物市 場の需給環境の良さがあらためて示された。さらに、前週は政府・日 銀が過去最大規模のドル買い・円売り介入を実施。短期市場で資金余 剰感が強まる中、今後は短期金利に低下圧力がかかるとみられ、中期 や長期の金利にも下押し要因となりそう。

JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長 は、「為替介入によって日銀の資金供給量が増えており、長期金利はレ ンジを下抜けする可能性がある」とみている。

欧州債務問題への過度の悲観見通しが後退しており、長期金利が 1%を中心とした過去3カ月の取引レンジを大きくかい離する展開は 想定しづらいとの見方も出ている。ただ、投資家は残高積み増しが十 分でないとみられ、欧米の金利や株価動向次第で買いが膨らむ場面が ありそう。三井住友海上火災保険の高野徳義氏は、前週に1.05%を超 えなかったことから相場は底堅いと指摘。その上で、「欧州問題が長期 化する見通しの下では押し目買いを続けてキャリー(金利収入)を稼 ぐしかなく、材料次第では金利低下余地を探る」と話した。

欧米金融や景気に不透明感

10月下旬には欧州連合(EU)首脳会議で債務問題に対する包括 案が合意したが、前週はギリシャの政治情勢をはじめとする問題が再 燃。5日にはギリシャでパパンドレウ内閣が国会の不信任を免れたと ものの、今後もEUの支援受諾に向けた与野党間の協議が難航すると の警戒感がくすぶるなど、先行き不透明感は根強い。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、欧州の金融 問題は悲観と楽観が交錯しながらも、ギリシャをはじめあちこちにリ スクが散見されると言い、「国内債市場は金利上昇時に押し目買いが着 実に入る展開が続く」と予想している。

米国経済の先行き懸念もくすぶり続けそう。4日に発表された米 雇用統計によると、10月の非農業部門雇用者数は前月比8万人増と、 最近4カ月では最も小幅な伸びにとどまった。米国債市場は、失業率 が低下したことを受けて売りが出る場面もあったが、その後は再び買 いが優勢の展開となっており、週初の国内債相場には追い風となりそ うだ。

市場参加者の予想レンジとコメント

11月4日夕までに集計した市場参加者の債券相場に関する今週 の予想レンジは以下の通り。

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物12月物142円30銭-143円30銭

10年国債利回り=0.93%-1.03%

「相場は上値を追う展開が見込まれる。海外の長期金利が低下す る流れとなれば、国内債市場も買われやすい環境が続く。国内の経済 指標は復興需要が支えとなって悪くないが、現状では欧州債務問題の 行方やこれに伴う海外金利の動向が材料視されそう。40年債入札は発 行額が小さいこともあって問題なく消化されるのではないか」

◎SMBC日興証券の野地慎シニア債券為替ストラテジスト

先物12月物142円25銭-143円00銭

10年国債利回り=0.95%-1.02%

「10年債利回りが0.9%台半ばまで下がる場面も。前週末に現物 債の好需給が再認識されただけに、外部環境次第では1年ぶりの低い 水準が視野に入る。2年や5年金利の低下余地が限定的となれば、利 回り曲線フラット(平たん)化圧力がかかりやすい。また、先物に関 しては一目均衡表の『雲』の下限に接近する142円20銭台が安値めど」

◎三井住友海上火災保険の高野徳義氏

先物12月物142円10銭-143円00銭

新発10年債利回り=0.96%-1.05%

「欧州情勢によっては先物が143円を試す可能性もある。欧州中 央銀行(ECB)が物価上昇でも利下げに踏み切るなど債務問題が波 及した場合の深刻さを物語っている。問題長期化を考えればキャリー 収益確保が不可欠。10年債は1.05%から売られない底堅さがあるが、 去年のようなディーリング相場にはなっておらず、0.97-0.98%はい ったん利益を確定する水準」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物12月物142円10銭-142円90銭

新発10年債利回り=0.95%-1.03%

「長期金利はやや低下余地を探る展開。前週は見通しほど金利が 上がらないまま下げに転じてしまった。ギリシャをはじめ欧州の金融 問題が早期に安定するとは考えにくく、消去法的な債券買いを指向す る流れは当面続きそう。40年債入札では利回りが2%台にあるのはこ の年限だけなので、金利の絶対水準に妙味を感じる投資家は多い」

--取材協力:池田祐美、船曳三郎 Editors:Hidenori Yamanaka,Masaru Aoki

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