ドラギECB新総裁:初会合で利下げ-国債購入拡大による救済は拒否

欧州中央銀行(ECB)はドラ ギ新総裁の就任後初の政策委員会で、予想外の利下げに踏み切った。 ドラギ総裁は一方で、悪化の一途をたどる債務危機がユーロ圏分裂の 脅威をもたらす中でも、ECBが国債購入拡大によって高債務国を救 済する考えはないことを示唆した。

同総裁は政策委員会後の記者会見で、「ECBが政府への最後の 貸し手となることがユーロ圏を分裂から守るために必要だと、なぜ考 えるのか」と問い掛け、「それはECBに付託された権能ではない。 ECBに求められているのは中期的な物価安定を維持することだ」と 語った。

ECBはこの日、政策金利を0.25ポイント引き下げ1.25% とした。利下げ決定は全会一致だったとドラギ総裁は述べた。ブルー ムバーグ・ニュースが実施したエコノミスト調査では、55人中49 人が据え置きを予想。0.25ポイント利下げ予想は4人だった。2人 は0.5ポイントの利下げを見込んでいた。

ユーロ圏の首脳らは2日遅く、ギリシャの通貨同盟離脱の可能性 を受け入れる姿勢を示唆した。フランスとドイツは第2次救済につい てのギリシャの国民投票をユーロ圏にとどまるかどうかを決める投票 と位置付け、ギリシャの決定までは救済融資の実行を先送りすると表 明した。

域内景気の落ち込みや投資家の懸念の高まりで、ECBは政策を 反転させることを迫られた。ECBは今年2回の利上げを実施してい た。

寄せられた期待

アイルランドのヌーナン財務相は2日、同国のRTEラジオで、 ECBは「市場に向かって、『ECBには幾らでも資金がある。どれ ほど投機を仕掛けようと、イタリア債や脅かされているユーロ圏国の 国債を買い続けて支える』と宣言する」必要があると語っていた。

ドラギ総裁はそのような期待には応えず、トリシェ前総裁の文言 を踏襲した。債券購入は「一時的であり、量には限度がある。金融政 策浸透の機能を回復させるという基本の上においてのみ正当化される」 と語った。

利下げについては、「低成長から緩やかなリセッション(景気後 退)へと向かっているとみられる」現状が一因と説明した。

IHSグローバル・インサイトの欧州担当チーフエコノミスト、 ハワード・アーチャー氏(ロンドン在勤)は「ドラギ総裁は大胆な行 動に出た」とした上で「大胆な行動を恐れないことが、現在の環境で は必要とされている」と指摘した。

ドイツの失業者数が2年余りで初めて増加しユーロ圏の製造業活 動は3カ月連続で縮小と、域内経済がリセッションに向かっている兆 候には事欠かない。インフレ率は3%とECBの目安(2%をやや下 回る水準)を大きく上回っているものの、景気の弱さが物価上昇圧力 を抑える見込みだ。ECBは現在、2012年のインフレ率を1.7% と予想している。

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