欧救済基金、仏格下げなら融資能力35%減-みずほコーポ・唐鎌氏

みずほコーポレート銀行国際為替 部のマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏は、欧州救済基金の欧州金 融安定ファシリティー(EFSF)について、フランスが格下げされた 場合には、実質的な融資能力が約35%落ち込むとの見方を明らかにし た。格下げで同国の保証能力が低下すれば、EFSFの資金調達力が減 少するためだ。

EFSFは債券発行で得た資金を使って、債務問題に苦しむユーロ 圏諸国に金融支援する仕組み。全体の規模は7800億ユーロ(約83兆 円)への増額が決まっている。実際にはユーロ圏の中で最上級格付けを 得ているフランスとドイツ両国などの保証を基にEFSF債が発行され ており、実質的な融資能力は4400億ユーロ(約47兆円)。

唐鎌氏は2日付のリポートで、仮にフランスが格下げされた場合に は、融資能力は約35%減の約2800億ユーロ(約30兆円)に落ち込む との見方を示した。また、不透明な要素もあるものの、アイルランドや ポルトガル、ギリシャの3カ国向け支援推計額を除くと、EFSFに残 された融資能力は約640億ユーロ(約6兆8000億円)にとどまるとい う。

先月27日の欧州連合(EU)首脳会議では、EFSFによる部分 的な保証などで民間資金を呼び込み、実質的な融資能力を1兆ユーロ (約107兆円)に高めることで合意が成立した。同氏は1兆ユーロを 確保できれば、「イタリアやスペインに支援が必要になっても対応でき る」と指摘したものの、仮に同額を確保できない状態で、フランスが格 下げされたら厳しい状態になると指摘している。

格下げの危機

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは17日、 フランスの「Aaa(トリプルA)」格付けについて、欧州債務危機に 伴う追加的な負担の可能性や債務指標の悪化からの圧力にさらされてい るとの見解を表明。CMAのデータによると、クレジット・デフォル ト・スワップ(CDS)市場では、同国債の保証料率がドイツの約2倍 の約192ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に達している。

EFSFは昨年5月、4400億ユーロ規模で設立された。今年7月 には、これを7800億ユーロまで拡大すると同時に、債券の買い取りや 金融機関への資本注入などにも機能を拡充することでユーロ圏諸国が合 意。各国の国内手続きも完了した。

唐鎌氏はJETRO(日本貿易振興機構)の出身。欧州委員会出向 を経て、2008年にみずほコーポ銀に入行した。金融専門誌J-MON EY(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査で、ファン ダメンタルズ分析部門の5位。

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