白井日銀委員:リスク回避強まれば円一段高で景気下振れリスク

日本銀行の白井さゆり審議委員は 2日午前、甲府市内で講演し、欧州ソブリン問題に対する懸念から、 世界的に「リスク回避姿勢が強まっている」とした上で、こうした傾 向がさらに強まれば、円相場が一段と上昇し、日本経済が「下振れる リスクがある」との見方を示した。

白井委員は「国際金融市場が不安定になっているのは、欧州の財 政・金融問題の解決に向けた対策とその実現性について、市場による 信認が十分得られていないことに起因している」と指摘。この問題は 「一朝一夕に解決する問題ではない」とした上で、「当面、国際金融市 場では緊張感の強い状況が続くと見ておいた方がよい」と述べた。

日銀は前月27日の金融政策決定会合で資産買い入れ等基金を「50 兆円」から「55兆円」に拡大することを決定した。しかし、円ドル相 場は31日早朝の海外市場で一時1ドル=75円35銭と戦後最高値を更 新。政府・日銀は同日、円売り・ドル買い介入を実施した。これを受 けて円ドル相場は75円50銭付近から一時79円50銭まで4円ほど急 落。2日午前は78円台前半で取引されている。

白井委員は「グローバル投資家の安全志向がさらに強まれば、株 式などリスク資産の価格が世界的に下落する可能性がある」と指摘。 内外市場の一体化が進む中で国内株式も連動して下落したり、安全通 貨と認識されている円がドルや資源国・新興国通貨に対して「一段と 上昇することが考えられる」とした上で、「その結果、企業や家計の心 理が悪化し、わが国の景気が下振れるリスクがある」と語った。

白井委員はまた、「電力供給をめぐる不確実性がこのまま改善しな ければ、企業活動にも支障が生じかねないリスクがある」と指摘。「加 えて、円高が一段進み、企業収益や雇用・所得環境を下押ししたり、 海外生産シフトが急速に進む場合には、企業や家計の中長期的な成長 期待が低下し、景気下振れリスクが強まる可能性にも留意が必要だ」 と述べた。

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