東電:2号機で「一時的な臨界」起きた可能性、ホウ酸水注入

東京電力の福島第一原子力発電所2 号機で一時的な臨界が起きた可能性があることが分かった。原子炉格納 容器内の「ガス管理システム」で1日に採取されたガスを分析した結 果、半減期の短いキセノン133(半減期約5日)とキセノン135(同約 9時間)を検出した。

同社の松本純一原子力・立地本部長代理は2日午前の会見で「大規 模な臨界、継続した臨界という状況ではない」としたうえで、核分裂に よって生成されるキセノンの検出が最終的に確認されれば、一時的な臨 界が起きたと考えられるとの見解を示した。現在、濃度などについて評 価を進めていると話した。

東電は念のため核分裂反応を抑えるホウ酸水の注入を同日午前2時 48分に開始。2号機の原子炉温度、圧力、モニタリングポストの値を継 続的に監視しており、現時点で異常がないことを確認しているという。

北海道大学の奈良林直教授(原子炉工学)によると、原子炉内の温 度が低いときには、水の密度が変わるために高いときよりも核分裂が起 こりやすくなる。しかし、ホウ酸水の注入が始まっており、仮に核分裂 が起こっていたとしても継続する可能性は低いという。一方、これまで にも同原発では計測ミスがあったことから、その可能性もあるとみてい る。

冷温停止に影響なし

松本氏は、年内の達成を目指す冷温停止には影響はないと強調。追 加的な対策として、ガス管理システムを使った検知システムの確立を急 ぐ方針を示した。同原発2号機では10月からガス管理システムの運用 を開始。同社は、水素爆発を防ぐために格納容器内に窒素ガスを封入し ているが、この際に格納容器の配管部分などから放射性物質が漏れるの を防ぐため、ガス管理システムが内部の圧力を大気圧に近い状態に維持 している。

東電は1号機と3号機でもガス管理システムの導入準備を進めてお り、運用開始後にガスサンプリングが始まれば、両号機でもキセノンが 「検出される可能性ある」との認識を示した。

さらに松本氏は、核分裂が実際に起きているとする「温度が下がっ てきたことがひとつの要因だ」と推測。そのうえで「今後、注水量のコ ントロールを検討する必要はある」と話した。

経済産業省原子力安全・保安院の原子力事故故障対策・防災広報室 の古金谷敏之室長は、現在、東電と原子力研究開発機構が採取したガス の再検査をしていると話した。同氏は「水がかかっていないような局所 的な部分で反応が起きているのではないか」とみている。

--取材協力:山村敬一、松田潔社

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