日本で人員削減へ、2年ぶりの赤字で「聖域なき改革」に挑むノムラ

野村ホールディングスは日本で人員 削減に着手する意向だ。過去2年間で初めて赤字に転落する中、打ち出 した総額12億ドル(約940億円)に上るコスト削減策の一環だ。86年の 歴史を持つ野村は母国でのスリム化に着手することになった。

中川順子執行役兼財務統括責任者(CFO)は1日の決算会見後、 ブルームバーグ・ニュースの取材に対し、人員を含むコスト削減につい て、大半は欧州で行うが、ホールセール(法人向け)業務を中心に「日 本も対象になる」と述べ、国内の従業員も例外ではないとの認識を示し た。同社が日本での人員削減に言及するのは初めて。

野村が1日発表した7-9月(第2四半期)の連結純損益は461億 円の赤字でブルームバーグが集計したアナリスト7人の予想平均350億 円の赤字を上回った。海外部門は米州、欧州、アジア・オセアニアが全 て赤字。部門合計の税引き前損失額は過去6四半期で最大となった。

決算発表と同時に、野村は経費削減目標を従来の4億ドルから12億 ドルに引き上げた。柴田拓美副社長は1日午後6時半からの投資家向け 電話会議で、追加の8億ドルについて約70%を人件費の削減で達成する 方針を示した。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹投信グループ長は、 野村が日本での人員削減に言及したことについて、「危機感を感じてい るということの表れだ」と述べ、黒字化のため「聖域なき改革に入りこ んだことはポジティブだ」と語った。

「最もタフな市場環境」

野村の中川CFOは、欧州を中心に一段と悪化した市場環境を受け て事業を「適正なサイズになるよう見直している」とした上で、追加の 経費削減の約60%は欧州で行う方針を示した。すでに9月には事情に詳 しい関係者2人により、野村が欧州を中心に最大400人削減する計画が 明らかになっていた。

日本経済は3月11日の東日本大震災での津波や原発被害により、3 四半期連続のマイナス成長になっている。日本企業によるエクイティ・ マーケットでの資金調達は2011年のこれまでで1.5兆円と昨年同期比で 3分の1以下に急減した。

野村のホールセール部門のジャスジット・バタール最高経営責任者 は1日夕、ブルームバーグに対して「今回の結果にはとてもがっかりし ている。これまで経験してきた中で最もタフな市場環境だった」と述べ た。第2四半期はトレーディング損益が前年同期の4分の1の260億円 に、投資銀行業務手数料がほぼ半分の138億円に落ち込んだ。

野村HDの株価は、リーマンの欧州・アジア部門を事業買収した08 年秋以降、下落基調が続いている。今年はグローバル事業に対する懸念 などから年初と比べ半分近く値を下げ、10月5日には37年間で最低水準 の264円を付けた。11日2日の取引では一時前日比5.1%下落し、12円安 の282円で取引を終えた。

野村が陥る「ジレンマ」

ブルームバーグの集計によれば、野村HDの渡部賢一CEOはリー マンのアジア・欧州地域から8000人を継承して以降、12四半期の累計で 4910億円を失っている。第2四半期の人件費は1426億円と前年同期の 1267億円から増加した。

中川CFOは日本でのコスト削減について、投資銀行やマーケット 関連の業務だけでなく、「リテール(個人向け業務)やアセット・マネ ジメント、コーポレート業務全般」も対象となると述べた。また、不動 産関係の経費圧縮なども図る方針だ。

シンガポールで勤務する債券調査会社クレジットサイツのデービッ ド・マーシャル氏は、「第2四半期の決算はいまだ適切なリターンを出 していなくてもグローバルフランチャイズを維持すべきなのか、野村が ジレンマに悩む姿を明確に映し出している」と述べた。また「確かに不 採算部門でのコスト削減を打ち出したが、依然として海外の基盤強化に コミットし続けようとしているように見える」と指摘した。

大和証券グループ本社が10月28日発表した7-9月期の純損益は 194億円の赤字となった。赤字は3四半期連続。これに伴い、大和でも 欧州とアジアでの300人超の人員削減計画や、香港、台湾、ロンドンで 自己投資部門を廃止するなどリストラを進める方針だ。

--取材協力 木下 晶代(アムステルダム) Editors: Kazu Hirano Hideki Asai Hidekiyo Sakihama

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