政府・日銀:円高阻止へ介入継続の姿勢-背景に政治要因の指摘も

政府と日本銀行は過度な円高阻止 へ為替市場での投機的な動きに対して介入を継続する姿勢だ。国内企 業は、円高に伴う輸出採算の悪化に加えて、タイを襲った洪水でも現 地拠点の生産活動がまひするなど被害が拡大、収益を圧迫されている。 政府は、震災の打撃から立ち直りつつある国内経済を下支えするため にも円高阻止へ断固たる姿勢を示す必要があると判断している。

政府・日銀は昨日午前、今年3度目となる円売り・ドル買い介入 を実施した。安住淳財務相は1日午前の閣議後会見で、「今後も注意深 く市場を監視する」とした上で、介入も含めた措置を「適時、適切に 判断する」と表明。為替相場の動向次第では、今後も円売り・ドル買 いの市場介入を辞さない姿勢を示した。

10月31日早朝に対ドル75円35銭と史上最高値を更新した円相 場は、介入後に一時79円53銭まで急落。1日夕の東京市場では78 円台前半の取引となっている。円高で業績に影響が出ている日本企業 は介入を歓迎しながらも、単独介入であることなどから長期的な効果 に疑問の声も出ている。

東芝の久保誠代表執行役専務は31日の決算会見で、介入を評価し た上で、「このところの円高の水準というのは個別の企業努力を超えて いるレベル」と指摘した。ホンダの池史彦専務は、せめて1ドル=80 円台に戻ってもらいたいと強調。丸紅の園部成政常務執行役員は介入 後の相場について、当面は75円から80円で推移するとの見方を示し た。

「納得いくまで」

安住財務相は31日に「納得のいくまで介入する」と発言。野田佳 彦首相も同日午後の衆院本会議で、投機的・無秩序な動きには万全の 対応を取ると強調した。五十嵐文彦財務副大臣は同夕の定例会見で、 同日午前介入の効果について「介入が止んでいる状態ではない。まだ 現時点で評価を下すという段階ではない」と述べた。

外為どっとコム総合研究所の植野大作主席研究員は、介入は過去 最大規模だった可能性が高いと指摘した。前回の8月の介入規模は計

4.51 兆円だった。

第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは、政府が介入 に踏み切った背景として国内の政治的要因を指摘。野田政権にとって 当面最大の課題である第3次補正予算の国会論戦や、環太平洋経済連 携協定(TPP)への参加問題を控え、「円高が際限なく進み、国内か ら悲鳴が聞こえる情勢になれば、国会運営も荒れて予算編成・TPP ともに容易に進められなくなる」との見方を示した。

安住財務相は1日の会見で、株価低迷について「企業業績が円高 やさまざまな要因で厳しい状況が続いていることを反映している」と 指摘。「今年度3次補正予算が成立すれば経済全体の押し上げ効果もあ る。関連株を含めて上昇傾向にいくのではないか」と述べ、同予算の 早期成立へ期待を示した。

--取材協力 小宮弘子、広川高史、藤岡徹    Editors:Kenzo Taniai, Kiyo Sakihama, Norihiko Kosaka

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