日銀のETF購入で224億円超の評価損か-日本株の低迷響く

日本銀行が実施している指数連動 型上場投資信託(ETF)の買い入れで、評価損が224億円超に上っ ていることがブルームバーグの試算でわかった。TOPIXが27年ぶ り安値水準に近づくなど、株価の低迷が背景にある。

政府の資料を基にブルームバーグが算出したところによると、日 銀の保有株式の価値は、昨年12月15日に買い入れが始まって以来4% 低下した。欧州債務危機で世界経済がリセッション(景気後退)に陥 るとの懸念で株価が急落したことから、9月の評価損は676億円を超 えた。

日銀は、景気の下支えと投資家心理の改善に向け、国債や社債、 ETF、不動産投資信託(J-REIT)などの金融資産の買い入れ を実施している。日銀は先週、世界経済の先行き不透明感や円高によ り日本経済の下振れリスクが高まっていることに対応し、資産買い入 れ額を15兆円から20兆円に拡大した。

JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは、「まず言え るのは、これは財政政策なので中央銀行が本来やることではない」と 指摘。国会で「まずは議論をして、こういう損が出てきても国民の了 解の下でさらにやるのかというフレームワークで考えなくてはいけな い問題だ」と述べた。

日銀広報はEFT購入について、日銀の財務の健全性に影響を与 えるとは考えていないと述べるとともに、損失発生の可能性が大きく なった場合には引き当てなど損失が生じた際の処理を適切に行ってい くことを通じて財務の健全性を確保していくと説明した。日銀は保有 するETFのパフォーマンスについて詳細な情報を提供していないが、 ブルームバーグ・ニュースは全額を日経225連動型上場投信やTOP IX連動型上場投信に投資したと仮定して、評価損を試算した。

「成否判断は時期尚早」

日銀は昨年11月5日の金融政策決定会合で、ETFの買い入れ対 象はTOPIXまたは日経平均株価に連動するものとし、買い入れ価 格は取引所での売買高加重平均価格にすると決定した。日経平均は7 カ月前に弱気相場入りしており、TOPIXはあと9%下落すれば、 2009年3月12日以来の上昇が帳消しになる。

ジェフリーズ・ジャパンの日本戦略責任者、ナオミ・フィンク氏 は、日銀の資産買い入れはまだ終了していないため、成否を判断する のは時期尚早との見方を示し、「極端に低いバリュエーション(株価 評価)」から株価が回復するに伴い、最終的には利益が出ると予想し た。

フィンク氏は、「株式相場が悪い時期には損失を容認できるだろ う。だが、数年後にも赤字だったら『あの制度はあまり効果がなかっ た』と文句なく判断できる」と述べた。

日銀のETFの買い入れは、欧州債務危機への懸念が世界同時株 安を引き起こしたことを受けて加速した。市場参加者が予想する日経 平均の変動率を示す日経平均ボラティリティ・インデックスは8月9 日、東日本大震災後以来の高水準となった。日銀の8月からのETF 購入は4035億円に上っている。それ以前の8カ月間の合計は3404億 円だった。

買い入れは日本株が下落した時に実施されており、翌日にはパフ ォーマンスが改善していることが示されている。ブルームバーグのデ ータによると、日経平均は買い入れを実施した日は平均1.9%下落だ が、翌日は0.1%下落となっている。

野村総合研究所の井上哲也主席研究員は、「日銀としては当時の 状況からしてやらないという選択肢はなかったのではないか」と述べ、 「当然、過去の株価のボラティリティとかを考えた上で、どこまで買 えるかという議論はしていると思う」と語った。

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