ユーロ下落、欧州債務問題の懸念再燃-円は78円前半で介入にらみ

東京外国為替市場では、ユーロが ドルや円に対して下落した。欧州債務問題の先行き懸念を背景に株価 が軟調に推移するなか、リスク回避の流れが継続。ユーロは対ドルで 1ユーロ=1.3800ドルを割り込んだ。

一方、ドル・円相場は1ドル=78円台前半で小幅な値動きが続い た。前日の政府・日本銀行による円売り介入を受け、連続介入への警 戒感がくすぶるなか、朝方には一時79円台目前まで円安に振れる場面 も見られたが、すぐに円が値を戻した。

クレディ・スイス証券債券本部外国為替営業部の北澤一夫ディレ クターは、ユーロは対スイス・フランなどでも売られており、「どちら かというとユーロ主導でドル高というマーケットになっている」と指 摘。欧州債務問題をめぐっては、包括策の骨格は決まったものの「何 をいつまでにという工程表がはっきりせず、詳細が出てこないという ことに対してみんないら立ちを隠せない状況だ」と語った。

ユーロは対ドルで一時、1ユーロ=1.3747ドルと10月21日以来 の水準まで下落。対円では朝方にドル・円につられる形で一時、1ユ ーロ=109円前半までユーロ高・円安に振れる場面も見られたが、午 後には108円ちょうどを割りこんで、一時107円38銭まで値を切り下 げた。

欧州債務不安

1日のアジア株式相場は続落。ギリシャのパパンドレウ首相が前 日に欧州の新たな融資合意を国民投票にかける方針を表明したことが 響いたほか、中国の10月の製造業購買担当者指数(PMI)が予想外 に低下したことが重しとなった。前日の欧米株式相場も欧州債務懸念 や米金融大手の破産を嫌気して大幅下落となっていた。

上田ハーローのシニアアナリスト、山内俊哉氏は、ギリシャ支援 について、当事国の国民投票で否決された場合は、「今まで周りが考え ていた筋書きと変わってきてしまう」可能性があり、デフォルト(債 務不履行)をめぐる議論が意識されやすいと語った。

また、三菱東京UFJ銀行金融市場部の内田稔シニアアナリスト は、救済基金の拡充などの詳細も基本的には決まっておらず、欧州銀 の資本不足の問題も最終的な不足額が判明するまで決着が読みづらい と指摘。「今は自助努力ということで、海外から資金を引き揚げてユー ロに替えるというレパトリ(自国への資金回帰)の動きがユーロを支 えているが、そうした動きが一巡すればユーロは下値不安が高まるだ ろう」と話していた。

リスク回避の流れが強まるなか、ドルと円はほとんどの主要通貨 に対して前日終値比で上昇。一方、オーストラリア・ドルは全面安と なった。世界的な成長鈍化の兆しを背景に、オーストラリア準備銀行 (中央銀行)はこの日2年半ぶりに利下げを実施。豪中銀のスティー ブンス総裁が同国のインフレ率は中銀の目標に近い水準だと指摘した ことで、追加利下げ観測が強まった。

介入にらみ

安住淳財務相は1日午前の閣議後会見で、政府・日銀が前日実施 した円売り・ドル買い介入に関連し、介入後の為替相場については「コ メントしない」としながらも、「今後も注意深く市場を監視する」と述 べるとともに、「適時、適切に判断する」と語った。財務相は、前日の 介入に関して「過度な変動や無秩序な動きが行われていると判断した」 と述べ、主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)の共同声明にの っとったものだとして、正当性を強調した。

円は週明け早朝に対ドルで75円35銭の戦後最高値を付けた後、 今年3回目となる日本の円売り介入を受け、一時8月4日以来の安値 となる79円53銭まで急落した。安住財務相は同日午前に緊急会見し、 介入を実施したことを発表。「わが国の実体経済を何ら反映せず、一方 的に投機的動きが続いていた」とし、「納得のいくまで介入する」との 方針を強調した。

クレディ・スイス証の北澤氏は、10兆円超とも言われる介入規模 や「78円割れはある程度防衛線を張ってくる」との見方から、今のと ころドル・円は下げ止まっているが、マーケットはまだ介入期待から ドルロング(買い持ち)になっており、「78円半ばから上は非常に重 たい状況だ」と指摘。実際、「78円の防衛線」が単なる思惑だったと いうことになり、ドル・円がきのうの介入後のドルの戻り安値を下回 ってくれば「ポジション調整の流れが促される可能性は大きい」と語 った。

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