米国債:大幅高、日本の為替介入で-イタリア債下落も支援材料

米国債相場は大幅高。30年債 利回りは約1カ月ぶりの大幅な低下となった。日本政府・日銀が円高 に歯止めをかけるため円売り・ドル買い介入を実施したことが買いを 誘った。欧州がソブリン債危機を抑制できないとの懸念からイタリア とスペインの国債が下げたことも買い材料。

米ブローカー・ディーラーの持ち株会社、MFグローバル・ホー ルディングスの米連邦破産法11条の適用申請を背景に10年債は続 伸した。同社は欧州ソブリン債への投資が裏目に出た。10年債利回 りは過去2営業日で25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) 低下している。米財務省は第4四半期の借り入れ所要額見通しを引き 上げた。

キャンター・フィッツジェラルドの金利ストラテジスト、ジャス ティン・レデラー氏(ニューヨーク在勤)は「リスク解除の取引だ」 と指摘。「欧州の見通しが暗くなったことに加え、日本の介入発表で 上昇が始まった。市場は欧州の情勢に満足しておらず、欧州に圧力が かかっている」と述べた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時 間午後3時38分現在、30年債利回りは前営業日比22bp低下の

3.16%。米金融当局が短期債を売って期間が長めの国債を同額購入 する「オペレーション・ツイスト(ツイストオペ)」を開始した10 月3日以降で最大の下げとなった。同年債(表面利率3.75%、 2041年8月償還)価格は4 3/8上げて111 3/8。

10年債利回りは17bp低下の2.14%。

10月月間

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのデータによる と、米国債の投資収益率は10月全体でマイナス1.4%と、2010年 12月以来の悪い成績。インフレ連動国債はプラス0.9%、ドイツ国 債はマイナス1.5%。

欧州首脳の前週の合意ではソブリン債危機の波及に歯止めをかけ るには十分ではないとの懸念から安全を求める動きが強まり、株式相 場は下落した。

米財務省は10-12月(第4四半期)の借り入れ所要額見通しを 210億ドル増額し、3050億ドルとした。歳入減少と歳出増加などが 反映された。11月2日には今四半期の中・長期債入札の詳細を明ら かにする。

MFグローバル

MFグローバルはこの日、プライマリーディーラー(政府証券 公認ディーラー)としての取引停止を確認した。ニューヨーク連銀は、 同社がプライマリーディーラーとしての義務を履行できることが確認 されるか、同社のプライマリーディーラーの認定を停止するかいずれ かまで、同社との新規取引を停止した。ウェブサイトに声明を掲載し た。

CRTキャピタル・グループ(コネティカット州スタンフォード) の国債ストラテジスト、イアン・リンジェン氏は「目立つ金融機関が 問題を抱えると、わずかながらも米国債の支援材料となる。市場の不 透明感が強まるためだ」と話した。

MFグローバルの株価は先週、67%下落。同社の社債はディスト レス債の水準に落ち込んだ。25日の発表によると、イタリア、スペ イン、ベルギー、ポルトガル、アリルランドの国債を合計63億ドル 保有している。

2008年の金融危機では、ベアー・スターンズが資金調達能力を 失い、同年3月に金融当局の仲介でJPモルガン・チェースに買収さ れた。その6カ月後にはリーマン・ブラザーズ・ホールディングスは 破産法の適用を申請した。

ウェルズ・ファーゴ・ファンズ・マネジメントのチーフ債券スト ラテジスト、ジェームズ・コーチャン氏は「こういった類のニュース が出ると、悪い記憶を呼び覚ます。典型的な反応は米国債買いだ」と 指摘した。

円売り介入

円が対ドルで戦後最安値を付けた後、政府・日銀の円売り介入で 下落すると、米国債は上昇した。米国外では、日本は中国に次ぐ米国 債保有国。

月末を迎え、バークレイズ米国債指数などベンチマーク(基準) に合わせるため保有証券の残存期間の長期化を図る動きも米国債を押 し上げた。

バークレイズ指数によると、10月の平均残存期間は0.09年延 びたとみられている。9月末は0.08年だった。

イタリア10年債利回りは最大で16bp上昇の6.18%。スペ イン10年債利回りは一時15bp上昇し、8月8日以来の高水準と なる5.66%となった。

ジェフリーズ・グループの債券金利部門共同責任者、クリストフ ァー・ビュリー氏(ニューヨーク在勤)はこの日の取引について、 「先週の一時的なリスクをとる取引に対する市場の現実性チェックだ」 と述べた。