経済界:歓迎の一方、長期的な効果には疑問の声も-円売り介入

急激な円高に苦しんできた輸出産 業をはじめとする企業関係者は、政府と日本銀行が外国為替市場で円 売り・ドル買い介入に踏み切ったことについて、歓迎する意向を示し つつも、円高抑制効果がどこまで持続するのか不安視している。

ダイキン工業の井上礼之会長兼最高経営責任者(CEO)は「日 銀、政府が決断し、意志を示されたことは歓迎したい」との受け止め 方を見せた。一方で、「一国での介入には限界があり、どれくらい効 果があるかは疑問」と述べた。

ホンダの池史彦専務も「ようやくやっていただいたなというのが 率直な感想」としながらも、単独の介入には限界があるとし、円高抑 制効果の持続性には疑問を示す。ユニ・チャームの高原豪久社長も、 経済の基礎的諸条件(ファンダメンタルズ)が変わらない限り、今の ような水準でいくだろうと予測している。

外国為替市場では7月以降、欧米での財政問題や世界的な景気減 速懸念などから、リスク回避の円買いが強まり、円の対ドル相場は急 上昇。政府・日銀は8月に総額は4兆5129億円に及ぶ介入を実施した が、円高進行に歯止めが掛からず、戦後最高値の更新が相次いでいた。 介入を受けて円は対ドルで75円50銭付近から4円ほど急落した。

生産拠点の立地見直し

円高によって産業界は製品輸出に影響が出るなど、苦しい状況が 続いている。三菱電機の吉松裕規常務は「明らかに75円台の米ドル、 105円台のユーロというのは行き過ぎた円高だ」と指摘する。

東芝の久保誠執行役専務は「このところの円高水準は、個別の企 業努力を超えるレベル」と懸念。三菱電機では、下期の為替レートを 1ドル=80円、1ユーロ=105円と従来予想から5円ずつ円高に修正 した。同レートが続いた場合、年間ベースで570億円の減収になると いう。

今後も円高基調が続くとの見方は根強く、生産拠点の立地見直し を進める動きが活発化している。グループ体制の見直しなど構造改革 を発表したパナソニックの上野山実常務は、円高進行に伴い国内で事 業の投資をするのは難しいと指摘。ユニ・チャームでも、地産地消の 推進や為替に対するリスクヘッジなど、円高への対策を立てていくと いう。

こうした厳しい状況だけに、三井住友銀行の安藤圭一副頭取は、 「円高対策は日本にとって大事な話なので、断固たる手段を取ったこ とは、非常に好感している」と積極的に評価し、為替市場などに対し 「日本の意志をしっかり、明確に出すことが大事だ」と強調した。

資生堂の西村義典最高財務責任者(CFO)は、「為替は大きく 振れないことが大切。国としてしっかりとした施策をとってくれれば いい」と話した。

半面、交流・ゲームサイトを運営するグリーの田中良和社長は、 「海外展開を進めているので、円高の方がいい」と述べるなど、 「円高歓迎」の声も一部に聞かれた。

--取材協力:山口祐輝、沢和世、堀江政嗣、小笹俊一、松田潔社、 天野高志  Editor: Norihiko Kosaka, Tetsuki Murotani

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