欧州銀の資本調達は8行のみ、1.2兆円にとどまる恐れ-モルガンS

【記者:Liam Vaughan and Gavin Finch】

10月31日(ブルームバーグ):欧州の大手金融機関が投資家から 調達する追加資本は、監督当局が想定する必要額のわずか10分の1に とどまる可能性があり、域内銀行の資本増強策が失敗に終わるとの不 安が広がる恐れがある。

欧州連合(EU)指導者らは先週、域内銀行に対し、来年6月末 までに狭義の中核的自己資本(コアTier1)比率を9%以上に引 き上げるよう求め、1060億ユーロ(約11兆7400億円)規模の資本増 強が必要になるとの試算を明らかにした。

モルガン・スタンレーのアナリスト、ヒュー・ファンステーニス 氏は28日付のリポートで、欧州の大手金融機関28行のうち、投資家 から資本を調達する必要が出てくるのは8行だけで、総額も110億ユ ーロ(約1兆2200億円)程度にとどまるとの見通しを明らかにした。

ファンステーニス氏によれば、資本調達が必要になるとみられる 銀行は、スペインのビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BB VA)とドイツのコメルツ銀行、フランスのBPCE、オーストリア のライファイゼン・バンク・インターナショナル、イタリア4行(ウ ニクレディト、バンコ・ポポラーレ、ウニオネ・ディ・バンケ・イタ リアーネ、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ)だけとなる。

新株60億ユーロの試算も

欧州の金融機関は投資家に増資を求めたり、公的資金の注入を仰 いだりする事態は避け、リスクウエートの調整や配当の抑制、内部留 保の積み増し、融資の縮小と資産売却といった手段によって、コアT ier1比率9%を達成しようとしている。賞与や配当の制限につな がる政府の支援を受けずに基準を満たすため、銀行は融資を抑制する 可能性をちらつかせており、リセッション(景気後退)リスクを高め ることになりかねない。

UBSのアナリスト、アラステア・ライアン氏(ロンドン在勤) は、欧州の銀行が新株発行で行う資本不足の穴埋め額は60億ユーロ相 当と、内部留保やリスクウエート調整で捻出する資本の7分の1にす ぎないと試算している。