ドラギ総裁を待つ「過酷な試練」、戦場での陣頭指揮は待ったなし

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【記者:Jeff Black、Simon Kennedy】

10月31日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)のトリシ ェ総裁は危機対応モードに入る前に総裁としてほぼ4年の時を過ごし、 職務に慣れる時間を確保することができた。しかし、ドラギ次期総裁 は就任初日から債務危機との大きな戦いの陣頭指揮に身を置くことに なる。

ドラギ氏は11月1日、トリシェ氏からECB総裁職を引き継ぎ、 過去2年にわたってソブリン債危機に打ちのめされ、リセッション(景 気後退)のリスクに直面するユーロ圏の17カ国の単一通貨の主要な番 人となる。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長に次い で世界で2番目に有力なセントラルバンカーとなるだけでなく、欧州 通貨同盟(EMU)への投資家の信頼を取り戻す努力でも鍵となる重 要な役割を担う。

ABNアムロ銀行のマクロ調査責任者、ニック・コーニス氏(ア ムステルダム在勤)は「これはドラギ新総裁にとって過酷な試練にな るだろう。ECB総裁であることはどのような環境の下でも困難を伴 うが、深刻な危機の渦中ではなおさらそうだ」と話す。

欧州諸国の一部の政府は、国債の購入継続や場合によっては利下 げを通じて、ドラギ新総裁が債務危機への対応を支援してくれること を期待している。しかし、中銀の独立性や物価安定という主要目標を 危険にさらすことなく、どれだけの貢献がさらに可能かをめぐって、 ECBの政策担当者の意見は分かれており、彼らを束ねる責任がドラ ギ氏に委ねられる。

フランスのサルコジ大統領は、ドラギ氏と先週話をした結果、E CBが金融市場の緊張を和らげるために国債の購入を続けると確信し たと発言。これはドラギ氏が直面する圧力を如実に物語っている。

タカ派となる運命

ECBの国債購入は、ドイツ連邦銀行のウェーバー前総裁、シュ タルクECB理事が辞意を表明するきっかけとなっただけにドラギ氏 のスタンスが今後注目の的となる。また、ECB総裁として3日初め て招集する政策委員会では、トリシェ総裁が利上げを決めてからわず か4カ月で利下げを求める圧力に直面することになりそうだ。

ソシエテ・ジェネラルの欧州担当共同チーフエコノミスト、クラ ウス・バーダー氏(ロンドン在勤)はドラギ氏について、「極めて外交 的であり、特定の問題での立場は明らかではない」と指摘。国際金融 サミットなどで共に仕事をした経験のあるブラウン英前首相は20日 のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、ドラギ氏がイタリ アの浪費的な評判とさらに一線を画し、インフレを懸念するドイツの 信頼を確保する必要性に言及し、「ECB総裁の職にとどまる限り、イ ンフレ・タカ派(物価重視派)となることを求める圧力に常にさらさ れ続ける」との見方を示している。

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