円急落、政府が今年3回目の介入-早朝には75円35銭の最高値更新

東京外国為替市場では円が急落。 早朝に円が対ドルで戦後最高値を更新したことを受け、政府・日本銀 行は今年3回目となる円売り介入を実施し、円は一時1ドル=79円台 半ばまで約4円も値下がりした。市場は一段の円の押し下げを狙って、 当局が円売り介入を続けるかどうかに注目している。

円は対ドルで一時79円53銭まで急落。早朝には75円35銭を付 け、27日に付けた戦後最高値75円66銭を塗り替えていた。最高値更 新は今月に入り5回目。

外為どっとコム総合研究所の植野大作主席研究員は、過去3回の 介入よりも今回は短時間で円の下落幅が大きく、「ほぼ過去最大級に近 い介入をやっている」可能性が高いと指摘。その上で、「きょうの海外 は非常に注目だ」とし、心理的節目である80円に向けてもう一段の介 入があれば、「市場が感じるメッセージ性も違ってくる」と話した。

円は対ユーロでも早朝に一時、1ユーロ=106円台を付けた後、 107円前半でもみ合いとなり、その後一時111円60銭まで急落。一方、 ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.41ドル後半から一時、1.3975ドルま でドルが急反発した。

欧州債務危機や米国の追加金融緩和の思惑を背景に円は今月21 日に対ドルで約2カ月ぶりに75円台へ突入し、戦後最高値を更新。そ の後も円は連日のように最高値を更新していた。

「納得のいくまで介入する」

安住淳財務相が31日午前、財務省内で緊急会見して介入を実施し たことを発表した。同相は円相場が「わが国の実体経済を何ら反映せ ず、一方的に投機的動きが続いていた」とし、介入は「総合的に勘案 してきょう決断した」と述べた。その上で、「納得のいくまで介入す る」との方針を強調した。介入は単独で、10時25分に実施したとい う

円は早朝に戦後最高値を更新した後、75円後半でもみ合っていた が、午前10時半ごろに介入が入ると、急反落し、午前11時半すぎに は79円50銭を付けた。その後、79円20銭付近に張り付いた状態が 続き、市場では政府がドルを下支えするため、ドル買い注文を入れて いるとの観測が聞かれた。午後3時前後には再びドルが値を切り上げ、 一時79円53銭を付けたが、欧州市場に向けてはやや値を切り下げ、 79円ちょうどを割り込んだ。

植野氏は「月曜の早朝の要人発言も経済指標も何もない時間帯に ドル・円が新値を更新するなど、投機以外に考えられない。介入自体 に意外感はなく、むしろ遅過ぎた」と話した。

一方、クレディ・スイス証券外国為替調査部の深谷幸司チーフ通 貨ストラテジストは、米連邦公開市場委員会(FOMC)や20カ国・ 地域(G20)首脳会議などのイベントを前に介入が入ったのは予想外 で、意表を突く感じだったと指摘。欧州問題のとりあえずの収束や、 米経済指標の底堅さを背景に市場のリスク回避姿勢が緩和する方向に 動いていることも、介入への「追い風」になっている上、円買い持ち 高も積み上がっており、タイミングとしては良かったと語った。

米商品先物取引委員会(CFTC)によると、シカゴマーカンタ イル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)でドル・円先物取引非 商業部門の円ポジションは25日時点で買い越し幅が5万4279枚と、 8月2日以来、約3カ月ぶりの水準に急拡大していた。

政府・日銀は、昨年9月に約15年ぶりの円高水準が進んだのを受 け、2004年3月以来となる円売り介入に踏み切った。さらに、今年に 入ってからは大震災直後の3月に欧米と10年ぶりとなる協調介入を 実施し、8月4日には単独で4兆5100億円の大規模介入を行った。