【今週の債券】長期金利1.0%半ばに上昇か、入札重し-米欧政策に注目

今週の債券市場で長期金利は9月 上旬以来の高水準となる1.05%付近に上昇する展開が見込まれてい る。欧米の景気懸念が後退する中、週前半に行われる10年利付国債の 入札に向けた売りが上昇圧力となる見通し。半面、1.0%台後半の水準 に達すれば投資家の買いが膨らむとの見方が出ている。

SMBC日興証券の野村真司チーフ債券ストラテジストは、今週 の長期金利について、これまでの1.0%中心のレンジから1.05%中心 に水準が切り上がると予想。「1日に行われる10年債入札を控えて、 相場の上値は重く、金利は上昇方向ではないか」と語った。

長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバー グ・ニュースが前週末に市場参加者4人に聞いた予想レンジは全体で

0.97%から1.08%となった。

前週の長期金利は0.9%台後半から1.0%台前半に上昇した。欧州 連合(EU)首脳会議で債務問題に対する包括案が合意に達したほか、 米国の7-9月期の実質国内総生産(GDP)の伸びが加速し、欧米 景気に対する懸念が後退したことが債券の売り材料となった。28日に は1.04%と9月5日以来の水準を付けた。

上昇余地を試す展開が続く見通し。トヨタアセットマネジメント の浜崎優チーフストラテジストは「1.1%を試す流れになるとみている」 と言う。ただ、「1.0%台後半では投資家の押し目買い意欲が強まり、 低下に転じるのではないか」とも浜崎氏は予想。三井住友海上火災保 険の高野徳義氏も「投資家は買いを急いでおらず、10年債入札にかけ て売られそうだが、そこでは需要が出てくる」と述べた。

FOMC、ECB会合に注目

11月2日結果発表のFOMC、3日の欧州中央銀行(ECB)の 理事会が注目される。FOMCでは金融政策の据え置きが見込まれて いるものの、声明文で今後の量的緩和第3弾(QE3)を示唆するか が鍵になる。マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統 括グループ長は「いきなり量的緩和第3弾が実施されるとは予想して いないものの、ニューヨーク連銀のダドリー総裁などが言及し始めて おり、その方向に向かっている」と指摘した。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は24日、FOMCが経済成長を 刺激するために「量的緩和第3弾を実施することはあり得る」と述べ た。

一方、ECBは10月6日の理事会で利下げを議論しており、市場 では金融緩和観測が根強い。トヨタアセットの浜崎氏は「ECBの利 下げを予想する向きもあるが不透明。今回、利下げを見送ってもスペ イン、イタリアなどが債務問題の火種を抱えているため可能性は残る」 と言う。ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト34人を対象に先月 実施した調査の中央値によると、ECBは政策金利を12月に0.25ポ イント引き下げ1.25%にするとみている。

1日に10年債入札

需給面では、1日の10年利付国債(11月発行)の入札が最大の 注目材料。28日の入札前取引では1.045%程度で推移した。このため、 表面利率(クーポン)は前回債と同じ1.0%が予想されている。週初 に相場が下落すれば0.1ポイント高い1.1%となる可能性もある。発 行額は前回と同じ2兆2000億円程度。

今回の10年債入札について、JPモルガン・アセット・マネジメ ントの塚谷厳治債券運用部長は「クーポンが1.0%、1.1%のどちらで も問題はないだろう。海外債券市場で売りが出ても、日本の相場は底 堅い。波乱はないと思う」と言う。

市場参加者の予想レンジとコメント

28日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の 通り。先物は中心限月12月物、新発10年国債利回りは318回債。

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物12月物141円75銭-142円60銭

新発10年債利回り=1.00%-1.08%

「長期金利は1.1%を試す流れになるとみている。ただ、1.0%台 後半では投資家の押し目買い意欲が強まり、低下に転じるのではない か。FOMCでは量的緩和第3弾を示唆する文言が出るかがポイント。 ECBの利下げを予想する向きもあるが不透明。今回見送ってもスペ イン、イタリアなどが債務問題の火種を抱えているため可能性は残る」

◎三井住友海上火災保険の高野徳義氏

先物12月物141円80銭-142円70銭

新発10年債利回り=0.98%-1.07%

「投資家は買いを急いでおらず、10年債入札にかけて売られそう だが、そこでは需要が出てくる。欧州危機の対応策が順調に実行され るか不透明で、円高も根強く、不安定の中の一時的な安定とみている。 本格的なリスクオン(選好)相場にならない限り、金利のレベル感も 変わらない。米10年債利回りは2.5%がサポートライン」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物12月物141円80銭-142円50銭

新発10年債利回り=1.00%-1.07%

「金利水準をやや切り上げて需要を探る。市場はEUの包括策を いったん評価したものの、債務問題が解決するには相当の時間が必要 であり、内外の株高・債券安の持続性は懐疑的にみている。欧米では 注目イベントが続く中、米独や日本の長期金利の上昇余地は限定され る見通しで、10年債の1.0%台半ばを超えれば押し目買いが膨らむ」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物12月物141円80銭-142円60銭

新発10年債利回り=0.97%-1.07%

「横ばい圏の推移が継続か。FOMCでは政策変更はないと予想 している。将来的に量的緩和第3弾の可能性はあるものの、市場は落 ち着いており、今の段階ではなさそう。一方、ECBは25ベーシスポ イント(bp)か、50bpの利下げを実施するのではないか。25bpであれば 織り込み済み。50bpであれば欧米金利は低下するとみている」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎 Editors:Hidenori Yamanaka,Masaru Aoki

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