今日の国内市況:株式は続伸、債券は下落-円最高値付近、75円後半

東京株式相場は続伸。日経平均株 価が約2カ月ぶりに節目の9000円台を回復した。欧州債務問題に対す る包括策への評価が継続したほか、国内総生産(GDP)の伸びが加 速した米国景気に対する期待感も加わり、投資家のリスク回避姿勢が 後退した。自動車など輸出関連中心に買われ、ソフトバンクが急騰し た影響で、情報・通信が東証1部33業種の上昇率首位。

TOPIXの終値は前日比8.64ポイント(1.1%)高の771.43、 日経平均株価は123円93銭(1.4%)高の9050円47銭。日経平均終 値の9000円乗せは9月1日以来。

前日の欧米株式が急騰したことで、8月以降の行き過ぎたリスク 回避に一服感が広がった。27日の米S&P500種株価指数やストック ス欧州600指数は3%以上値上がりし、約3カ月ぶりの高値水準を回 復。S&P500の下落に備えたオプションのコストを示すVIX指数 は、前日比15%低下し8月9日以来、約2カ月半ぶりの下落率を記録。

また、米国の7-9月のGDP速報値は前期比年率2.5%増と、 ここ1年で最も高い伸びを示した。第2四半期は1.3%増だった。項 目別では、個人消費が2.4%増と予想値の1.9%増を上回った。

欧州問題と米景気の2つの懸念が同時に和らぎ、きょうの日本株 は幅広い業種が上昇。業種別上昇率上位には輸送用機器や機械などの 輸出関連、鉄鋼など素材関連、保険や証券などの金融株が並んだ。特 に上げが目立った情報・通信は、きのうの好決算発表やUBS証券の 投資判断引き上げが好感されたソフトバンクがけん引役で、TOPI Xの浮動株比率見直しがきょう引け段階で反映される影響で、NTT も高い。半面、パルプ・紙、電気・ガス、ガラス・土石製品は安い。

日経平均は投資家の中期的な採算ラインである75日移動平均線 (9040円)を8月2日以来、約3カ月ぶりに奪回。東証1部の売買代 金は概算で1兆4934億円まで膨らみ、株価指数先物・オプションの特 別清算値(SQ)算出日を除くと、8月10日以来の水準。売買高は 21億6380万株、値上がり銘柄数は933、値下がりは602。

債券は下落

債券相場は下落。長期金利は約2カ月ぶりの水準に上昇した。欧 州債務問題をめぐる懸念の緩和に加え、米国実質国内総生産(GDP) の高成長を受けて株高・債券安となった米市場の地合いを引き継いで 売りが優勢だった。

現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の318回債利回 りは、前日比2.5ベーシスポイント(bp)高い1.035%で開始。直後に

1.04%を付け、新発10年債として9月5日以来の高水準を記録。いっ たんは1.03%に戻したが、その後は再び1.04%で推移している。

5年物の99回債利回りは2.5bp高の0.38%と19日以来の水準。 20年物の130回債利回りは約1カ月半ぶり水準の1.78%を付け、30 年物の35回債利回りは2.5bp高い1.975%に上昇した。

東京先物市場で中心限月12月物は続落。前日比25銭安い142円 27銭で始まり、その後は142円20銭中心にもみ合いとなったが、午 後の取引終盤に142円11銭と18日以来の水準まで下落。結局は40 銭安の142円12銭とこの日の安値圏で引けた。

円が最高値付近

東京外国為替市場では円が対ドルで戦後最高値付近で推移した。 日本の円売り介入への警戒感がくすぶるものの、米国の追加金融緩和 観測や欧州債務問題の先行きに対する懸念から、円は1ドル=75円後 半でじり高の展開となった。

前日の海外市場では一時、75円66銭を付け、3営業日連続で円 の戦後最高値を更新したが、この日の東京市場でも一時75円82銭ま で円がじり高となる場面が見られた。

一方、欧州連合(EU)による欧州債務危機への包括策合意を手 掛かりとしたユーロの上昇は一服。対円、対ドルでは海外時間に付け た約7週間ぶり高値からやや水準を切り下げて推移した。

前日の海外市場では欧州債務危機への包括策合意を好感して欧米 株式相場が急騰。投資家のリスク許容度の改善が意識されるなか、外 国為替市場ではユーロや高金利通貨を買う動きが加速し、逃避通貨と されるドルや円は売られた。

ユーロ・円相場は海外時間に1ユーロ=106円台から9月8日以 来の水準となる108円14銭までユーロ高・円安が進んだが、この日の 東京市場では107円後半から円がじり高となり、一時107円38銭まで 値を戻した。

野田佳彦首相は28日午後、衆院本会議で行った所信表明演説で、 円高について21日に閣議決定した「円高への総合的対応策」に基づき、 「日本銀行とも連携して、円高自体への対応を含め、あらゆる政策手 段を講じる」と強調した。

安住淳財務相は同日午前の閣議後会見で、円が対ドルで最高値を 更新したことについて、「実体経済を反映したものに為替レートはなっ ていくべきだ」と述べた上で、「投機的な動きを大変懸念している。必 要な時には断固たる措置を取る」と繰り返した。

円の戦後最高値更新は、1995年4月以来となった東日本大震災直 後の3月17日(76円25銭)、8月19日(75円95銭)、今月21日と 25日、26日に続き、27日で6回目。

欧州各国は26日から開いた首脳会議で債務危機封じ込めに向け た包括策で合意した。対策を強化するように求める世界からの圧力に 対応し、ギリシャ債務の民間投資家の損失負担を50%とし、救済基金 の実質的な融資能力を1兆ユーロ(約107兆円)に拡充するほか、銀 行の資本増強を決めた。

ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で1ユーロ=1.40ドル、1.41 ドルの大台を次々と突破し、一時9月6日以来となる1.4247ドルまで ユーロ高・ドル安が進行。しかし、その後はユーロの上昇も一服し、 この日の東京市場では1.41ドル後半を中心にもみ合う展開となった。

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