野田首相:復興財源、日本郵政・JT株売却実現に意欲-所信表明

野田佳彦首相は28日午後、衆院 本会議で所信表明演説を行い、政府・与党が東日本大震災からの復興 財源として検討している日本郵政やJTの株式売却実現に意欲を示 した。野党側には本格復興や円高対策などを盛り込んだ今年度第3次 補正予算案と関連法案の成立に協力を求めた。

事前配布された演説テキストによると、首相は復興財源に関して 「政府全体の歳出削減と税外収入の確保に断固たる決意で臨む」と表 明。具体的な対応として「郵政改革関連法案の成立を期した上で、日 本郵政やJTの株式など、売却できる政府資産は売却し、あらん限り の税外収入をかき集める」と強調した。

参院で野党が多数派を占める「ねじれ国会」では、首相が日本郵 政株売却の前提とする郵政改革関連法案の成立や、政府保有のJT株 を売却するための日本たばこ法の改正には野党側の協力が不可欠だ が、いずれも見通しは立っていない。

自民党の谷垣禎一総裁は27日の記者会見で、郵政改革関連法案 の国会審議は第3次補正予算案に全力を挙げて取り組み、その見通し がついた後の議論との認識を示した。共同通信は、同党が20日、葉 タバコ農家でつくる「全国たばこ耕作組合中央会」と集会を開き、J T株売却に反対する方針を確認したと報じている。

これに対し、公明党の山口那津男代表は6日、ブルームバーグ・ ニュースのインタビューで、郵政改革法案について「利害を調整した 合意、修正の合意を模索するべきだと思う」と修正協議に前向きな姿 勢を強調。JT株については「一部売却して復興財源に充てるという ことは許容していい」としながらも、全部売却には「短い期間で全株 売却すると製造や小売りの現場で非常に混乱や損失が伴う恐れがあ り、慎重に議論した方がいい」と語り、葉たばこ生産者や零細な小売 業者への配慮が必要との考えを示している。

与野党協議

所信表明に先立ち、政府は28日午前の閣議で、総額12兆1025 億円の第3次補正予算案と復興財源確保などのための関連法案を閣 議決定、国会に提出した。首相は所信表明で、これらを成立させるた めの与野党協議について「政府与党と各党各会派との共同作業」と指 摘。「苦難の日々を懸命に生き抜く現在の日本人と、この国の未来を 託す将来の日本人への責任を、共に果たしていこう」と連携を呼び掛 けた。

財政をめぐる問題に関しては「グローバル経済の市場の力によっ て『国家の信用』が厳しく問われる歴史的な事態が進行している」と の認識を表明。欧州の債務危機に関しては「広がりを見せており、決 して対岸の火事とは言い切れない」と危機感を訴えた。

復興増税については「基幹税である所得税や法人税、個人住民税 の時限的な引き上げなどにより、国民に一定の負担をお願いする」方 針も強調した。

東京電力福島第一原子力発電所事故については「原子炉の年内の 冷温停止状態の達成をはじめ、工程表の着実な実現に全力を尽くす国 家の意思は、揺るぎない」と強調。除染に関して「政府を挙げて取り 組む体制を整備」し、「国の責任」として進める決意を示した。

欧州への貢献

欧州の債務危機に関しては11月3、4日にフランス・カンヌで 開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合で、「欧州発の世界経済危機 の封じ込めに、日本としての貢献を示す」ことを明らかにしたが、具 体的な内容には触れなかった。

円高については21日に閣議決定した「円高への総合的対応策」 に基づき、「日本銀行とも連携して、円高自体への対応を含め、あら ゆる政策手段を講じる」と強調した。

「環太平洋経済連携協定」(TPP)への交渉参加問題について は「引き続きしっかりと議論し、できるだけ早期に結論を出す」とし た。

米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題に関しては、 同県名護市辺野古周辺に移設する「日米合意を踏まえつつ、沖縄の負 担軽減を図ることが、この内閣の基本的な姿勢」と述べ、理解を求め た。

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