野村HD:10四半期ぶり赤字転落か、欧州危機でトレーディング低迷

野村ホールディングスが来週発表す る7-9月(第2四半期)連結決算は、過去10四半期で初の赤字に転 落するもようだ。欧州債務問題への懸念が世界の金融市場に広がる中、 トレーディングや投資銀行業務が不振だったとみられる。大和証券グル ープ本社は3四半期連続の赤字だった。

ブルームバーグ・ニュースが集計したアナリスト7人による野村の 同四半期純利益の予想平均は350億円の赤字(前年同期は11億円の黒 字)だった。赤字に陥れば経営破綻したリーマン・ブラザーズを事業買 収した後の2009年1-3月期(2158億円の赤字)以来となる。発表は 11月1日午後の予定だ。

海外事業の拡大にこの3年間取り組んできた野村HDの渡部賢一 社長は、欧州危機が深刻化する中、収益体質改善に向け人員を含むコス ト削減に着手した。こうした中、投資家は収益向上策に注目しており、 M&A(企業の合併・買収)助言や関連ファイナンス業務など、日本企 業向け業務に重点を置いた経営資源の再配置が急務だ。

英国が本拠のジャパンインベストの吉岡思朗リサーチアナリスト は、「コストをどう下げるかよりトップラインをどう確保するかが問題 だ。希望の光はM&Aのアドバイザリーだ」と指摘。「高い円を使った 海外M&Aで頼もしいのは野村や大和だろう。製造業など日本企業はみ んな円高や放射能問題で海外に出たがっている」とし、日本でのビジネ スチャンスを的確にとらえることが、いま求められていると述べた。

JPモルガン、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ゴール ドマン・サックスなどがすでに発表した7-9月期決算は、トレーデ ン グと投資銀行業務において金融危機後で最悪の四半期となった。ゴール ドマンは3億9300万ドル(約300億円)と株式公開以来の12年間で2 回目の赤字に転落した。

懸念と期待

野村の株価は今年に入り40%下落。10月5日にはグローバル事業 に対する懸念から37年間で最低水準となった。一方、大和証Gの株価 は今年32%下落している。大和証Gが28日発表した純利益は194億円 の赤字(前年同期は42億円の赤字)だった。大和は欧州とアジアでの 300人超の人員削減計画や、香港、台湾、ロンドンで自己投資部門を廃 止したことも明らかにした。

ムーディーズの花立真紀シニア・クレジット・オフィサーは「野村 の海外業務はホールセールが思った以上に収益に貢献していないよう だ。こうしたマーケット環境の中、今後収益が出るのか懸念を持ってい る」と述べた。また、「トレーディング業務が厳しい中、クロスボーダ ーM&Aなどに収益機会があるだろう」と指摘した。

東海東京調査センターの摩嶋竜生アナリストは野村の同四半期の トレーディングは前年同期の1030億円から430億円程度に、投資銀行 業務手数料は249億円から130億円程度に半減したとみている。野村の 菅井馨子広報担当は、決算の概要についてコメントしなかった。

過去最大の国内リテール網

一方で個人投資家向けの投信販売など、リテール業務は好調だった もよう。野村は11月に横浜市に新営業所を開設する予定で、これによ り国内店舗網は178と86年間の歴史の中で最大規模となる。また、11 月から口座管理料の無料化を開始する計画で、国内リテール業務の収益 拡大を狙う。

複数の関係者によると、野村は欧州を中心に400人規模の人員削減 に着手した。7月にはホールセール部門で年間4億ドルのコストを削減 すると発表、人員削減はその一環とみられる。ジャパンインベストの吉 岡氏は「トップラインが厳しい中、米国、欧州、アジアで集めてきた人 材への投資をマネタイズする前にリストラするのは残念だ」と述べた。

日本企業が関わるM&Aは2011年は1486億ドルと、10年の1080 ドルから大幅に増加した。ブルームバーグ・データによると、11年の助 言ランキングで野村はゴールドマンに首位を譲り、現在2位となってい る。一方、日本企業による海外企業の買収案件ではトップを維持してお り、国内でのネットワークの強さが表れている。

一方、11年の日本株式関連の売り出しは、3月の東日本大震災を受 けた取引の低迷により、合計で1兆4600億円にとどまり、10年全体の 4兆9700億円の3分の1程度になっている。引き受けランキングは野 村が首位、これに大和証Gが続いている。

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