消えた「原子力推進」、可能な限り引き下げへ転換-エネルギー白書

経済産業省が28日に発表した「エ ネルギー白書」(2010年度版)では、東京電力・福島第一原子力発電所 の事故を踏まえて、これまで政府の方針として掲げてきた原子力発電 推進に関する記述をすべて取り除き、依存度を引き下げる方針を明確 に示した。

10年度のエネルギー白書は、福島の事故で原発の安全性確保が課 題として浮き彫りになったとするとともに、「国民の信頼が大きく損な われた」と指摘した。さらに原発について「中長期的に依存度を可能な 限り引き下げていくという方向性を目指す」と明記した。省エネや再生 可能エネルギーを強力に推進することも重要だとも強調した。

これは、前年度の方針から180度の方向転換を意味する。09年度版 の白書では、原子力は「燃料のエネルギー密度が高く備蓄が容易である ことや、燃料を一度装填すると1年程度は交換する必要がないこと、 使用済燃料を再処理することで資源燃料として再利用できる」と供給の 安定性が強調されていた。環境面でも、発電過程で二酸化炭素 (CO2)を排出することがなく地球温暖化対策に資するという特性を 持っていることから、「基幹電源と位置付け、推進」する方針を示して いた。

福島第一原発事故の影響はこれだけにとどまらず、原発や資源確 保、電力システムなどを含めた「これまでのエネルギー政策を反省し 聖域なく見直す」との一文を初めて盛り込んだ。

経産省は03年度版からエネルギー白書を公表している。