欧州:危機と闘う武器庫拡充、意図は遠大も詳細不足-急がれる詰め

欧州の首脳らは域内債務危 機と闘うための武器庫を拡充したが、具体的な内容を策定して 数週間以内に早急に計画を肉付けしなければ、高債務国への支 援効果は限られたものになるだろう。

RBCキャピタル・マーケッツの欧州チーフエコノミスト、 イエンス・ラーセン氏(ロンドン在勤)は「意図は遠大だが詳 細は寸足らずの合意だ」として、「仕組みがはっきりするまでは、 これが欧州各国政府を助ける投資家を呼び込むのに十分かどう か判断するのは難しい」と述べた。

ブリュッセルでの10時間に及ぶ協議の末、首脳らは救済基 金の1兆ユーロ(約107兆円)への実質拡大で合意。債券保有者 からギリシャ債での50%損失を受け入れる同意を取り付けた。銀 行の資本強化や国際通貨基金(IMF)による救済基金への協力 強化の検討なども盛り込まれた。

一方、4400億ユーロの欧州金融安定ファシリティー(E F SF)の実効力を高める実際の方法やギリシャ債務減免に応じ た銀行に代償として何を提供するかなどは今後の交渉にかかっ ており、新たな政治的対立や投資家の反乱への火種が残っている。 20カ国・地域(G20)首脳会議を来週に控え、ギリシャからイ タリアまで各国に財政再建を迫る圧力は強い。ドラギ氏を新総 裁に迎える欧州中央銀行(ECB)が国債を買い続けることも 必要になりそうだ。

偽りの夜明けも

ロイズ・バンク・グループの市場戦略責任者、チャールズ・ ディーベル氏(ロンドン在勤)は、「発表内容は幾らか時間を稼 ぐには十分だ」とし、「当局は確かに、包括的な行動リストをま とめた。ただ、プロセスの全ての部分が準備できるにはまだ多 くの作業が残っていることも確かだ」と指摘した。

2年前にギリシャで始まった危機で、今までにも偽りの夜 明けがあった。当局は当初、事態の深刻さを過小評価し、その 後も繰り返し十分な対策を打ち出し損ねた。

ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストらは 顧客向けの文書で、「市場は今では当局の歩みは遅いものとあき らめ、一挙に解決することはないという事実を仕方なく受け入 れているようだ」と記述した。

欧州が打ち出した最新の対策が受け入れられたかどうかは まず、明日のイタリアの入札で試される。イタリアは最大85億 ユーロの国債発行を目指す。イタリアは債務危機拡大に歯止め が掛かるかどうかの焦点になっている。ベルルスコーニ首相は EU諸国から強く迫られ14ページから成る改革の設計図を首 脳らに示した。

担保問題

ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長(ル クセンブルク首相兼国庫相)の言う「銀行を破滅させるような シナリオ」をちらつかせられ、銀行はやむなく損失拡大に同意 したが、担保の問題や将来の政府やEFSFからの保証などの 詳細はこれから決定される。

EFSFの拡充方法も11月に計画がまとめられる。外部投 資家の資金を呼び込むモデルを念頭に、フランスのサルコジ大 統領は27日、中国の胡錦濤国家主席と電話会談し、「緊密な協 力」を取り付けた。日本政府も支援する計画だと関係者が述べ た。

銀行の資本強化については、資本に算入を認める資産の種 類や、株主増資を避けながら資本比率を引き上げる方法などが 課題となる。

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